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第4章
ドーイさんのお話
しおりを挟む竹中を助けた冒険者達と赤いスケルトンの戦闘は始まったが、勝負は一瞬でついた。
光属性の魔法を何人かが唱えると赤いスケルトンの体がボロボロと崩れ落ち、すぐに滅びてしまった。
竹中は冒険者達の強さに驚愕したが、赤いスケルトンが討伐されて安全になった事に安心し、意識が飛ぶのだった。
「うっ...ここは?......いっ!」
「竹中君!?」
見知らぬ部屋の布団で意識が戻った竹中は、ここが何処なのか状況を確認するために上半身を起こそうとした。しかし、付与魔法の重ねがけと戦闘での負担が残っているせいで、体を起こす事が出来なかった。
竹中の意識が戻り起き上がろうとしている事に気付いた双葉は、竹中の体を支えながら上半身だけ起こして上げると、竹中の頬を思いっきり叩いた。
「何か言う事があるよね?」
「...ごめん」
パシン!!!
双葉は謝る竹中にもう1度平手で頬を叩いた。
「竹中君も死んじゃったら、私はどうすればいいの?
...もう、目の前で大事な人が亡くなるのは嫌なの!」
目を閉じる度に大粒の涙を流す双葉は竹中の胸に顔を埋めて泣き崩れた。
竹中は体が痛むのを我慢しながら、泣き崩れた双葉が泣き止むまで優しく抱き寄せるのだった。
「...もうあんな事はしない。
そして、俺は葵を安心させる程強くなるよ。
だから、許してくれないか?」
「許すけど、修行する時は1人でやるんじゃなくて、私もまぜなさいよ?」
「わかったよ」
「あっ...お邪魔しちゃいましたかね?」
竹中と双葉の空気が良い感じになってきたところに、竹中をギリギリで助けた『生き抜いた者』の冒険者の人がやって来た。
冒険者の人が部屋に入ってきたことに、2人は抱き合っていた事を思い出しすぐに離れた。
「だ、大丈夫ですよ」
「あの時、助けて下さりありがとうございます」
「次から部屋をノックしてから入ります。
自己紹介がまだでしたね。私はSSランク冒険者のドーイと申しまして、SSランク冒険者パーティー『生き抜いた者』のリーダーをさせてもらってます」
ドーイは自己紹介を済ませると、竹中達を助けるまでの経緯を話し始めた。
竹中達が助けた冒険者達が助けを呼んできてくれたこと。白羅の技で場所を把握出来た事などを話してくれた。
「双葉さんは竹中君の看病をしていたので、知らないと思うので伝えときますね。
巻日野さんから白羅君と月坂さんの戦闘時の行動を聞いた私の仲間が2人に説教をしました。勝手な事をしてしまいましたが、仲間を危険に晒す行動は早いうちに直した方が良いと思いましてね」
月坂は自分の行動を深く反省していたが、白羅は困っている冒険者を助けて良いことをしているのに怒られるている事に納得が出来ない様子だったらしいが、自分の行動のせいで仲間が危険な状況に立ったことを指摘され反省したのだ。
「そういえば、ここは何処ですか?」
「ここは冒険者ギルドの治療室だよ。他の皆は僕の仲間達と一緒に酒場の方に居るはずだよ」
「そうですか、
本当に助けて頂きありがとうございます」
「いいんですよ、
...貴方達2人を見ていると私達の師匠を思い出しますね」
ドーイの言葉に竹中と双葉は目を見開き驚いた。
「あんなに強いのに師匠なんているんですか!?」
「いますよ。私達なんて手も足も出ない程強い師匠がね...
少し私の昔話をお聞かせしましょう」
ドーイは昔を懐かしむ様な表情をした後、何を思い出したのか苦笑いしていた。
「私達は、元々盗賊団に捕まり奴隷になってしまった者でした。
しかし、今の私達の師匠に助けてもらいました。
そこから色々あり、生きていく為に師匠に鍛えてもらう事になりました。
師匠の修行は本当に地獄でした......私達は2週間だけ師匠の修行を受けたお陰でAランク冒険者になる事が出来たのです......
どうですか?信じられないでしょう?」
「え?......2週間の修行でAランク冒険者になったのですか!?」
現在の竹中達の冒険者ランクはBランクだ。
たった2週間の修行でAランク冒険者になれるほどの実力を身に付けたドーイ達に、竹中と双葉は驚きを隠せなかった。
「そうですよ。武器も触ったことの無い民が2週間でAランクです。
その修行内容は、師匠にしか出来ない事ばかりで、今の私達が誰かに教えようと思っても出来ないです。
これ言うと更に混乱すると思いますが言いますね。
その時の師匠はSSSランク冒険者になったばかりの3歳児でした」
「「は!?」」
「この前、何年ぶりかに師匠にあったのですが、とても大きくなってましたね......
竹中君と双葉さんの2人を見ると師匠を思い出すというのは、師匠とその恋人が2人のように初々しいんですよ。
...おっと、そろそろ仲間のところに戻ろうと思いますが2人も一緒に行きますか?」
3歳児が師匠だったと聞いたことで、話についていけてない2人にドーイは仲間のところに行かないかと言い出した。
竹中は行きたかったが、自分の体の痛みが辛いので行けないと断った。双葉も竹中と一緒にいると答え断った。
「あっ...私の師匠が作った薬があるので、飲んで下さい。これで体の調子が良くなると思いますよ」
「え?ありがとうございます」
竹中はドーイから試験管のような容器に入った薄緑色の液体を貰った。
不思議な色をした液体に不安をかんじながらも、竹中は液体を飲み干した。
味はさっぱりとしたマスカット味で、全身を包み込む様に暖かさが内側から広がっていくのを感じた。
「......あれ?体が痛くない...」
「師匠の薬は、何でも治せちゃいますからね。
それでは、行きましょうか」
薬を飲んだ事で竹中の痛がる様子が無くなった。
双葉は驚きのあまり絶句していたが、ドーイと竹中が部屋を出ようとしたので、慌ててついていくのだった...
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どうも!こんにちは
お気に入り数が4200越えました!
ありがとうございます!
三人称で書くのは難しいですね。
(三人称が何なのか詳しく知らない)
もうちょっと
この辺りを勉強した方が良いですね!
予測変換で「ナギア」の文字が出ないくらい登場してないみたいです!
まだまだ会うのは先ですよ(^^)
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