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第4章

ダンジョンと変異種

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「それでは、勇者殿らにはダンジョンでの修行をしてもらいます」

初の魔物との戦闘から早くも2週間が経過した。

2週間の間は戦闘に慣れるために冒険者ギルドから様々な依頼を受けて過ごしていた。
ギルマスが気を使ってくれているのか俺達のレベルに合わせた採取系と討伐系の依頼を出してくれたお陰で、俺達のレベルは順調に上がっていった。

更なるレベルアップのため、俺達はナータリャクラ国の近くにあるダンジョン攻略をする事になった。
俺達はダンジョンの入口前に集まり兵士長の説明を受けている最中だ。

「ここのダンジョンは、国から近いのでレベル上げをしている冒険者もいる。なので、魔物と間違えて攻撃しない様に注意して下さい。

ダンジョン内でのマナーについても説明します。
ダンジョンでは、魔物討伐の横取りはしないで下さい。宝を見つけた場合は見つけた人の物になります。
これだけ、注意していれば大丈夫でしょう。

ダンジョンは地下に10層あり、10層の奥にはボス部屋があります。
中は入り組んでいるので、帰れなくなって困った時は、この転移結晶をお使い下さい。

それと滅多に現れる事はありませんが、突然変異種が出た場合は刺激せずに戻ってきて下さい。通常の魔物より何倍も強いので、今の勇者殿らのレベルではきつい部分があるでしょう」

兵士長の説明が終わった後、俺達は7日分の食料を持ってチーム事にダンジョンに入るのだった。



「わんさか出ると思ったけどあんまり魔物は出ないね!」
「何かの前触れとかじゃないよね?」
「前もそんなこと言ってたけど、何も無かったじゃん」
「警戒は怠らないようにね」
「ん?..近いよ」
「お前...どんだけ鋭いんだよ..」

ダンジョン内の道は意外と広く、俺達が横に広がって歩いても余裕がある程だった。
たまにオークやトロール、蛇みたいな魔物が出て来たが、俺達は落ち着いて討伐していく。

森でオークやトロールと初めて戦った時はレベルが低かったこともあり、俺達は連携をとって討伐していた。しかし、今ではレベルが上がった事1人でも余裕で討伐出来るようになったのだ。

白羅が魔物の気配を感じ取ったので、俺達は警戒を強めて気配のする方に歩いて行くと戦闘音と叫び声が聞こえてきた。

「え?..誰か戦っている?」
「何人か倒れてるぞ!急いで助けよう!」
「ちょ!待てよ白羅!」

俺達が戦闘音がしていた場所に辿り着くと、そこには5人組の冒険者が巨大なスケルトンと戦っていた。既に3人が地面に倒れており、残りの2人はボロボロになりながら戦っていた。
その光景を見た白羅はスケルトンに向かって剣を片手に走っていった。

「大丈夫ですか!?」

「何で子供が...このスケルトンは変異種だ。俺達を助けるよりも他の冒険者にこの事を伝えてきてくれ」

「僕は勇者です!困っている貴方達を見捨てるわけには行きません!
早く仲間を連れて逃げてください!」

「ゆ、勇者!?
...わかりました。ここはお任せします」


白羅と冒険者の人が話している間に、巻日野は倒れている冒険者達に回復魔法を使い回復させていると、白羅と話していた冒険者の人は、後から来た俺達を警戒しだしたが、勇者と聞いて警戒を解いてくれた。

「貴方の仲間に回復魔法を使いました。命に別状はありませんが、しばらくは安静にさせて下さい。
それと、この転移結晶を使って下さい」

「ありがとうございます。
助けを必ず呼んできますので、ご無事でいて下さい!」

冒険者達が転移結晶でその場から消えた事を確認した後、俺達は1人で突然変異種のスケルトンに立ち向かう白羅に加勢するのだった。


「..くっ、攻撃してるのに再生しやがる..」

突然変異種のスケルトンは、通常のスケルトンの2,3倍大きく、骨の色や形が少し違っていた。
そんなスケルトンの攻撃を白羅はギリギリで躱しながら攻撃を入れていた。

「白羅君!手伝うよ!」
「助かる!」
「『オールステータス・エンチャント』『付与「光属性」』」
「『付与効果・デュレーション』『ライトフィールド』」

葵は俺達のステータス全てが上昇する魔法を放った後、全ての武器に光属性を付与した。
スケルトンもアンデット系の魔物に部類するので、一番ダメージが与えられる光属性を使ったのだろう。

その効果を持続させるために巻日野は持続魔法を使った後、聞いたことの無い魔法を発動した。

「この『ライトフィールド』はアンデット系を浄化する結界みたいなものです。
この変異種には効果があるか分かりませんけど..」

いつ覚えたのか気になるが戦闘に集中しよう。

「『インクルードウォール・ブレイク』」

俺は白羅がスケルトンから下がったタイミングを見計らって竹中が魔法を放つと、沢山の岩の壁はスケルトンに襲いかかり土煙が上がった。

元々は壁を張って攻撃を防ぐ物だが、相手に飛ばす事で攻撃手段にもなるのだ。しかし、魔力は半分以上持ってかれる....

「や、やったか?」
「やめろ!」
「あー...フラグが..」

白羅が言ってはいけない事を呟いた後に土煙が晴れると、そこには先程までのスケルトンの姿が無くなっていた代わりに真っ赤なスケルトンが立っていた。

「カタカタカタカタカタカタ」

真っ赤なスケルトンは何処の骨で鳴らしているのか分からない不気味な音を鳴らしながら、ゆっくり俺達に近づいてくるのだった。




======================
どうも!こんにちは

第2ラウンドですね!

突然変異種はたまに生まれる個体です。
通常の個体より何倍も強いです!

次回は話を1歩動かそうと思います


余談ですが、
出てくる敵をスケルトンにした理由は
真夜中に何処からかカタカタカタと聞こえてくるので、
そこから連想しましたー!

スケルトンのイメージってカタカタと骨がなってそうですよね。
....逆に鳴き声あったらそれはそれで面白そうです。


(カタカタの正体はまだわかってません)
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