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第3章

事態は悪化していく

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騎士団長 side

初めから警戒はしていたが、村に大規模な結界が張られているとは思わなかった..

最初に突撃させた部隊の異変に気付いた時には既に遅く、部隊の足元が一瞬で凍りつき、何処から現れたのか分からない炎の龍が丸呑みにされてしまった。

それにしてもあの龍は何だ?
あんな種類を見た事が無い....誰かが魔法で作って操っているのだろうか....

「俺らがあの変な龍の相手をする。他の騎士らじゃ相手にならねぇからな。
他の騎士達を結界の解除とかに回してくれ」

「わかった....一等兵は下がれ!魔物の相手は大佐以上に任せろ!」

騎士団は1番隊から20番隊までと分けられており、その中でも更に階級分けがされている。
今回は、各隊から大佐以上大将以下の者が選出され炎の龍を相手をしてもらう事となった。

「さてと、討伐しますか」

1人の騎士が炎の龍の突撃を回避すると同時に剣を振り下ろすと炎の龍は真っ二つにされた。
しかし、炎の龍はそれだけでは死なず、自分を攻撃した騎士を丸呑みにしようとした。

「油断大敵ですよ。大佐君」

「ありがとうございます。准将殿」

騎士を丸呑みにしようとした炎の龍は、他の騎士のアシストにより完全に討伐された。
騎士団長も魔物を圧勝した騎士達を見て安堵のため息を吐くが、討伐し戻ってきた騎士らは納得いかないような表情で戻ってきた。

「騎士団長殿....魔物を討伐出来ましたが、斬って分かった事があります」

「なんだ?」

「はい。斬って分かったのですが、あれは魔物ではなく魔法で作られた魔力の塊でした...並行して魔法を使える者は珍しいですが、ここまで洗練されたものは見た事がありません」

「そうか、すぐ近くに黒髪黒目の少年 ナギアがいるかもしれない。警戒を怠るなよ」

「はっ!」

やはり、ナギアは近くにいるだろう。あそこまでの技術があるのならば騎士団に欲しかったが、王との謁見で敵に回してしまったから仕方ない...


少し時間が経ってから結界解除の方を確認すると一向に進んでいない事を確認した。

もしかしたら、この結界は発動した者にしか解除できないのかもしれないな...

「騎士団長!!!隊の周りに魔物の大軍が!!!」

「ここでもか!魔物は何だ?」

「ヒュ..ヒュドラです!今のところ確認出来た数は、隊の進行方向から東、西、南とそれぞれに8体ずつ見られました!」

「何だと!?」

ありえない...こんな村の近くでランクSS以上と言われる魔物が24体も現れるわけがない!
..ナギアか....しかし、こんな数の魔法を操っていれば、作られたヒュドラの強さに偏りが出るはずだ。

ここは撤退も視野に入れなければな...

「各隊に伝達する!1~4番隊は南の魔物を、5~11番隊は東の魔物を、残りの9隊は西の魔物を倒せ!
一等兵で魔法に長けたものは援護射撃でカバーしろ。魔法の使えないものは警戒と怪我人の手当てに徹しろ!」

騎士達に伝えた後、私は王のいる馬車に向かった。


「失礼します!」

「なんだ?スクリード村は潰し終わったのか?」

どうやら、王は防音の魔道具を発動したままだったらしく、外の状況を理解しておられないようだった。

「いいえ、想定外の事態の連続で大佐以上のレベルでなければ対処出来ない魔法で作られた魔物の群れに襲われております」

「何故そうなった!対処は出来そうにないのか?」

「難しいです。もしもの時は撤退も視野に入れております」

「ならん!撤退などは許可しない!」

「はい、かしこまりました。最後の最後まで戦い続けましょう。
では、私は加勢しに参りますので失礼します」

王に戦況を伝えた後、私はちょうどその場にいた騎士に王の護衛をするようにと伝え、ヒュドラの出た東側に向かうのだった。



隊の東側に着くと、馬や馬車はあるのに対して騎士の姿が1人も見えなかった。
私の中に嫌な予感がよぎったので進める足を速めた。

「あなたが指揮官ですか?」

「!?」

木々を抜けて少し開けた場所に出ると、巨大な体に百近い数の首がついたヒュドラと、その下に黒髪黒目の少年が立っているのだった....
 




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どうも!こんにちは

お気に入り数が3700越えました!
ありがとうございます!

何故ここまで伸びたのか毎回驚いています。
これからも頑張ります!
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