死んだのに異世界に転生しました!

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第3章

傀儡ナギア

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リルリア side

「ナギア君!?起きてよ!....ねぇ、何したの?」

今にも泣きそうなリルリアは倒れているナギアの体を揺するが、何の反応も見せなかった。
そして、原因である老翁を問いただした。

「やった....本当に成功したぞ!
リルリアよ、ナギアはもう私の傀儡なのだ!小さなお前さんには残酷な事だが見せてやろう。
さぁ、立て!そして、リルリアを殺せ!」

老翁の言葉にナギアは無言で立ち上がりリルリアを見た。しかし、その目に無機質で感情を感じられない。

「ナギア君!目を覚まして!」

「......」

お願いだから戻ってきて!

リルリアは正気に戻そうと手を広げて声をかけるが、ナギアは無言で剣を取り出しリルリアに振り下ろした。

シュン!ズドォォォォン!!!

ナギアが剣を振り下ろした場所は一直線に亀裂が走り部屋の一部が大きく裂けた。


「お前は馬鹿なの?普通に避けろよ!」

「..え?」

え?..この赤髪の男って誰なの?
ナギア君の剣を見切れる程の実力もった知り合いなんて私いないよ?

「..あっ、この姿だからは分からねぇよな」

そう言うと男の体は全身黒くなった...

「あ!?」

「そうだ、あのメインナギアの影だ。もうすぐで他のやつが....あ、来た来た」

男の正体はナギアの魔法で作られた影だった。
ナギアの影は多重思考を分離した存在を組み込んでいるため、本体が操られても影は影響を受けなかったそうだ。

男が言う通り後から3人やって来た。
1人は見覚えのある真っ黒姿で、もう1人は黒に近い青色の髪の男、最後の1人は金髪の男だった。

「うわぁ..メイン操られてるじゃん」

「メインの反応なし...意識戻ってくれれば何とかなるんだがな」

「加護のお陰で危険感知してたはずだろ!最後まで警戒しとけよ...止められなかった俺らにも非はあるがな」

「メインのミスはサブである俺達がフォローするぞ!」

ナギア君の影ってそれぞれ感じが違うのね..
それに、ナギア君自身が今意識を失っている状態なのね....でも普通に意識失う程度なら、ナギア君はすぐ復活するのに何で意識失ったままなんだろう?
もしかして....

「第三者の介入だね....メシルフィアネ様が言っていた奴かもしれない。まぁ今はメインを移動させなきゃね。この場で戦うと下手したら国消えちゃうしね。
リアも戦いについて行く?」

「お願いします!」

「うん!そう言うと思ったよ」

私はナギア君を絶対正気に戻して見せる。
ナギア君としたい事ややりたい事が残っているんだから!


「お前らは何者じゃ!ナギア!あいつらも殺せ!」

老翁は突然現れた人達に驚きナギアに殺せと命令を出した。

「どうせお前を殺しても傀儡状態から解放出来ないんだろ?」

「があぁぁ!?」

青色の人は老翁に手をかざすと、老翁の体のあちこちから氷が生え燃え上がった。

「やっぱりダメか...仕方ない、全員行くぞ」

リルリアとナギアの影はナギアを連れ城から人が入ることの少ない森へと転移するのだった。


「さて、リアは少し離れててね。今回の目的はメインが自力で戻ってくるまで時間稼ぎだ」

確かにナギア君と本気で戦えば私は無事ではすまないのだろう...でも、何かしたいよ..

「手足切断して動けなくしたあと結界に閉じ込めるというのは?
メインの体は意思のなく命令された事に動く人形だから僕達だけでも相手が出来るぞ?」

「意思がないということは慈悲もないということだからな...それは最終手段だな。
そろそろ来そうだからやるよ」

それから、ナギアとナギアの影の戦いが始まった。

ナギア君は様々な剣を空中に漂わせ影を斬りにかかったり、山のように大きな岩を幾つも飛ばしてきた。
影は斬りかかってくる剣を粉々にして、飛んで来る岩を爆発させたりして回避していく。

私の方にも岩が飛んできたので氷魔法で巨壁を作り防いだ。

時間が経つにつれてナギア君の攻撃は激しさを増していった。
怪物となったブラッドに放った魔法よりも魔力の密度の高い火の玉を幾つも飛ばしてきたり、大地を割り落ちたところ潰すように挟んだり、各属性魔法で象られた龍がそこら中を飛び回り影や私を襲った。

「あー、もう!普通の人なら4年使い続けても余る魔力を使い切っちゃったよ...メインはいつ目覚めるんだよ」

「不味いですね、まだ余力はありますが、もって3時間でしょうか..
他の影にも魔力の提供させるか」

ナギアが先に込めていた魔力と渡された魔晶石の数が減ってきた事に焦りを感じ始めた影達は、戦闘よりも監視に力を入れた影から魔力の提供してもらうため連絡をする。

「...あはは、あれはヤバくない?」

ナギア君は上空に片手を上げると晴れていたはずの空は黒雲が広がり始め、様々な色に光り輝く何かが降り注いできた...
サイズは直径5mほどの大きさで様々な形状をしており、落ちた箇所には火柱や水柱、竜巻などの属性に応じた爆発が起こり出した。

「最悪だわ...少しでも被害抑えないとこの辺り一帯滅びるよ」

影達は雨のように降り注ぐ魔法を連鎖爆破させたり空間魔法で閉じ込めたりと対処を始めた。
私も風魔法で1箇所に集めたり地面になるべく落ちないようにしたりとした。

魔法の雨は10分程続きやっと終わるが、ナギア君は無表情でこちらを見下ろしながら空中に静止していた。

「....はぁ..まじ辛いわ」

「..魔力回復系が影にも備えてほしいわ」

「いやいや、それやったら本当にチートだよ」

元々込められていた魔力と所持していた魔晶石含めほとんど使ってしまった影たちは、所々人型を維持出来なくなり掠れたりしていた。

そんな影達をナギア君は瞬間移動で目の前まで移動し剣を振り下ろし消しにかかるが、影もそれを避け剣を取り出し攻撃を始めた。

「くっ...互角だけど、魔力を纏う量が反則だ!..グゥ!」

ナギア君は影を力任せに剣を振るったことで影は耐えきれなくり吹き飛んでいくが、ナギア君は空間魔法で吹き飛んだ先と自分の場所を繋げたことで、吹き飛んだ影はナギア君の前に出て真っ二つに斬られてしまった。

「すまなねぇ..残り魔力は有意義に使ってくれ。頼んだぞ」

そう言うと斬られた影は四散して消えてしまった。

「仕方ありませんね。手足切断して隔離しますよ」

青の影はナギアに一瞬で近づき剣を振るいナギア君と打ち合うかたちとなった。瞬間地面が盛り上がりナギア君を中へ身を投げだされ、地面に勢いよく叩きつけられた。

地魔法で地面を盛り上げて重力魔法で叩きつけたのかな?...ナギア君の影なのに凄い..

青の影は地面にめり込んだナギア追い打ちを食らわす様に火魔法を打ち込み火柱が上がった。

「駄目でしたか...すみませんが私はここでリタイアですね」

そう言うと青の影はそのまま四散してしまった。

「え?な、何があったのですか?」

「幻術魔法だ...それの影響で魔力を乱され四散したんだよ。俺たちはメインから作られた魔力の塊だから、結界張っとかないとかかるんだ。あの影は魔力の消費を抑えるため一瞬結界解いたことでかかったんだろう...来るぞ」

地面に空いた穴からナギア君はゆっくり出てきた。
どうすれば良いのだろう?
このままでは影は全滅してしまう...例え私達を全員倒してもナギア君は命令を出す人がもういないから、動かない人形になっちゃう。
ナギア君の意識を取り戻すしか方法はない...

ナギア君は剣をまた空間から取り出し私の目の前まで一瞬で移動し剣を突き刺そうとしてきた。

..一か八かでやってみよう。
これで失敗すれば私は確実に死ぬけど、成功すれば死ぬ確率は減る..

ズグゥチュ..

リルリアはナギアの意識を戻す魔法を発動させる為に、腹を剣で刺されながら自分の口でナギアの口を塞ぐのだった...




======================
どうも!こんにちは

影はナギアの多重思考を分離させた存在を仕込んでいるので、一般の魔法使いが出来ないような事が簡単に出来ます。
魔力があれば
ナギアとほとんど同じような事が出来ます。

アイデアを思いついても忘れる事が多いのでよくメモしています。
しかし、メモできない時に浮かんだものは、メモする前に忘れる事が多いですよ....はい。

最後の方の話をどうするかを書いてる時に思い出せたので良かった..

次回はナギア視点でお楽しみください
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