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第3章
フルガファダイア帝国へ出発
しおりを挟む「では、行くぞ」
ナギアとリルリアは騎士団が野宿などに必要な道具を入れた少し大きめの馬車に乗り込んだ。
ナギア達も一応道具や何ヶ月分の食料などを常に《無限収納》の中に持ち歩いているが、騎士団の人には教えなかった。
馬車を引く馬のスピードは時速30kmほどで、本気で走らせば時速50km出るらしい。フルガファダイア帝国までの道は長く、馬がすぐ疲れてしまうためこのペースで行くのだと騎士団のディアスが言っていた。
騎士団の現在の隊列は馬車を中心に先頭2人、後方2人、左右に1人ずつ配置につき一定のペースを保ちながら進んでいた。
ディアスは何故か馬車の操縦をしているのだが、理由が「他に馬車の操縦を出来るものがいなかった」という理由らしい。
乗馬の訓練は騎士全員やっているが、馬車の操縦はやらない。そして、結果的に馬車の操縦が出来ない者が多くなってしまったのだ。
では、いつも馬車を操縦する時はどうしているのかというと、馬車を操縦できる奴隷に任せているそうだ。
馬車での旅はとても順調で魔物は1匹も現れなかった。
理由は先回りしている者が何名かおり、その人達が馬車の通り道に近い魔物を瞬殺していっているからだ。
もちろん、ナギアとリルリアは探知系のスキルで気づいているが気づいてない振りを続けた。
「魔物がこんなに出ないなんて、凄く良い日ですね」
「あぁ、そうだな。旅の神が我らを導いてくれているようだな」
ディアスは裏で動いている者を知っているが、教えてくれる気はないようで知らぬ振りをした。
「(リア、何考えているかわかる?)」
「(気づいていないのか?と疑問に思っている感じだよ)」
ナギアは相手を油断させる事を狙っていた。
ディアスが魔道具か何かで定期的に誰かと連絡を取り合いナギアとリルリアの事について話しているのは知っている。なので、これが出来てあれが出来ないというのも報告されるので、嘘の情報を送り付けようとしているのだ。
相手が入手している情報は魔物討伐や学園祭の事とかが伝わっていると考えている。しかし、僕達の年齢を相手から考えると「力の強い子供」程度にしか把握されていないだろう。
スクリード村から出発し数時間後、開けた平原で昼食をとることになり、騎士団の人に渡されたサンドイッチのようなものを渡された。
「食べ物をパンに挟むだけと手軽で腹にも溜まるから、これが楽なんだ」
ディアスはそれだけ言うとサンドイッチに噛みついたので、ナギア達もサンドイッチを食べ始めた。
冷たいが味は染み渡っていたので美味しかった。
昼食を済ませ馬車での移動を再開し数時間が経過した。村や町などには寄らなかったので野宿することになり野営の見張りは騎士団の人がするからということでナギアとリルリアは先に寝る事にした。
もちろん、ナギアは多重思考や影を使っての警戒も行った。
翌朝、ナギアは目が覚めるとAランク程の魔物が近づいて来る気配を感じた。
先回りして魔物を瞬殺していた者達では倒せないらしく気配を消し動かないでいた。
「戦闘準備に入れ!Aランク魔物デュアルデスベアーとの交戦に備えろ!」
「デスベアーにも勝てねぇのに何でこんな....」
「無駄口を叩く暇があったら戦闘準備しろ!2人にも協力してほしい。正直の私達だけで戦えば部下が何人か死ぬだろう...頼む」
「「わかりました」」
デスベアーとは森で出逢えば死ぬと言われている魔物だ。スピードもあり力もとても強く、餌や敵を見つけると標的が死ぬまで追いかけてくるそうだ。
そして、デュアルデスベアーとはデスベアーの頭が2つと手が4本生えたデスベアーの変異種である。身体能力的なものはデスベアーの倍で凶暴性も増しているそうだ。
この魔物は普段森の奥地に生息しており、餌が足りないと人間の住む場所までやって来ることがたまにあるらしい。
デュアルデスベアーの目撃情報があると冒険者ギルドは討伐隊を編成し即座に討伐しに行くのだ。
デュアルデスベアーがこちらに気づき咆哮を上げながら突っ込んで来たのに対し、ディアス以外の騎士は魔物に恐怖しているのか動こうとしないで突っ立っていた。
「はあぁ!」
ディアスは1人でデュアルデスベアーの腹を剣で切り裂くが、体が硬いせいでダメージは全然通っていなかった。
「(リア、行くよ)」
「(わかった)」
ここにいる騎士団の人ではデュアルデスベアーにダメージを与えられない事がわかったので2人は剣を抜きながら前に出るのだった....
ディアス side
私の部下がデュアルデスベアーを目の前にして恐怖で動けないでいる事に呆れてしまったが、これは少しピンチだ...
様子見の為、6割の力で切り裂こうとしたが全くダメージが通らなかった。
これだと私が全力でやってもまともなダメージを与えられずに殺られてしまうだろう。
「やりますね」
ナギアとリルリアは前に出てきたので、私は素直に下がった。
今の自分の実力では勝てないのと2人の実力を少しでも知るためにも、今はこの目で確認しなくてはならない。
しかし、結果は私の斜め上の方向を行き戦いが終わった。
ナギアとリルリアはその場から消えたと思ったらデュアルデスベアーの2つの首は地面に落ち、手足には深く斬られた跡を遺した体が立っていたのだ。
「終わりました~」
私がナギアに斬りかかった時はまだ避ける姿を確認する事が出来たが、今の動きは目で捉える事が出来なかった。
私含め部下達も何が起きたのか全く把握出来ずにいた。
目の前でナギアとリルリアの力の一端に触れた私達は、龍など軽くあしらえるような化物が存在する事を初めて知るのだった....
======================
どうも!こんにちは
この章での目標は
変なところで
グダグダしない様にする事です!
いつもならこの辺りで
「内容が少ないから何か起こすか~」と
大きなイベントを入れてしまい
話が増えて進まない事が多かったので
今回はすぐ終わるイベントを
起こして終わらせました!
これで話が少しスムーズになると思います
(書けるとは言いません..)
あと少し変更で
前回のタイトルをリアへの課題→リルリアへの課題に変えさせて頂きます
ストーリーには影響はありません
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