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第2章
幻術魔法も便利です
しおりを挟むこの展開は一体何なんだ?..
ナギアとリルリアの目の前では、ブラッドが変身した博士と戦闘が始まろうとしていた。
「(なんかあの人気持ち悪いね..)」
「(そうだね...正直、この展開は予想してなかったよ。博士のステータスも凄い上がってるからいい勝負になりそうだよね)」
「(ナギア君はどっちが勝つと思う?)」
「(うーん、ブラッドかな。
いくらステータスが高くなったとしても戦闘経験はブラッドの方が上の筈だし、博士の方は自分の力を使いこなせるか分からないしね)」
2人が念話で会話していると博士は力を溜め始めた。大気中の魔力が博士を中心に集まっていく...博士から発せられる覇気だけでも普通の人は怯え、弱い魔物は逃げ出すだろう。現に、3人組冒険者の足は震えていた。
力を溜め終わったのか博士はブラッドに殴りかかり、ブラッドは迫り来る拳に拳をぶつけた。
「..ゴフッ!」
拳同士がぶつかり勝ったのはブラッドだが、博士に何が起きたのかわからないが吹き飛んだ。
「(な、ナギア君!あの人はあんな強そうなオーラ出してたのに何であんなに弱いの!?)」
「(ちょっと待って、僕もビックリしてるから......多分、力の使い方を分かってなかったんだよ。
集めた魔力を殴りかかる時のスピードに大半使ったのと、腕に魔力を使いまくって拳にあまり魔力を通してなかったんだ。そのせいで拳に強度はなく、ブラッドの拳が当たった時に痛みで魔力を反射的に解いてしまって吹き飛んだ...と思う)」
「(そ、そうなんだ..)」
ナギアの曖昧な返答にリルリアは苦笑いした。
博士はとどめを刺される前に転移で何処かに消えてしまった。
まぁ、戦略的撤退だよね....
ってか、あの博士は何しに来たの!?
従魔を研究する為に奪いに来てたはずなのに、後半から僕達の存在が空気になってたよ!
普通転移する前に僕達に「次に会ったときは従魔を頂く」とか言えよ!
結局何だったんだろう?..
ナギアは心の中でこんな事を考えていると、ブラッドは3人組の冒険者をあっという間に倒してしまった。
ブラッドは狂気な笑顔でこちらにゆっくり向かってくる。
これが危険な人の目か..これは怖いね。
念のために結界もう3枚張っておこう。ついでに、幻術かける準備もしておこうかね。
「貴方の目的は何ですか?」
「お?口を開く余裕はあったか...お前らの従魔を奪う為だ。大人しく渡せばあの男達のようにはならないぜ?」
よしよし、舐められてるね。その油断が助かります。
今のうちに幻術に......完了。
ブラッドは幻術にかかるとその場に立ち尽くした。動かないことを確認したあと、魔力糸で縛りブラッドに衝撃を与えない様に横に寝かせる。
ナギアはブラッドが幻術に気付かないように細工をして判断能力を少し落とした。一気に落としたりすれば気付かれ幻術を解除される可能性もあるので安心出来るまで思いつく限りの事を尽くした。
「よし、これで大丈夫だよ。でも警戒はしといてね」
「ナギア君の幻術魔法って本当に強力だよね...
ブラッドは今何の幻術見てるの?」
「あまり良いものじゃないけど見る?」
リルリアは見ると答えたので、ナギアは結界魔法で板を出し魔力糸でブラッドの頭に繋ぐとブラッドの見ているだろう幻術が映し出された。
ブラッドが自分達を切り刻んだり殴って楽しそうにしている映像にちょっと嫌悪感を抱いた。
「ナギア君、もし私があんな事されたらどうする?」
「そうさせないようにしたいな....
そうだね、とりあえず骨全部砕いたり切り落としたりしたあと回復させて繰り返すかな....物騒な事しか浮かばないね..
リアはどうする?」
ナギアは自分の考え方がやばい方向に進んでる事に反省しながらリアに聞く。
「私は動けない様にしてから、体の一部を凍らせて砕いたり溶かした鉄を口から流し入れるよ.....
だって、目の前で好きな人がそんな事されていたら許せないもん!」
リアは目の前の映像がショックだったのか目の端に涙を浮かべながら怒っていた。
リアの頭を撫でながら落ち着かせると気持ちよかったのか怒りは収まって全身の力が抜けていっているのを感じナギアはホットした。
「お主らも物騒な事を考えるのぉ~、しかも敵前でもイチャイチャするでない!」
「「やっと出てきた(ね)」」
「やっぱり気づかれておるのじゃな...
こう見えても気配を消すのは得意なのじゃがな...何回もバレると自身を無くすわい」
遠くから気配を殺しながら近づいてきたギルマスと10人の冒険者がやって来た。
数人の冒険者はナギアとリルリアを見ると何故ここに?と驚きを隠せず顔に出ていたが、2人を知っている冒険者から話を聞いて更に目を見開き驚いていた。
「ギルマスの目的はブラッドを捕らえる事であってますか?」
「うむ、そうじゃよ。ブラッドには連続殺人事件の容疑者として捕まえるのじゃ。本当は生徒を巻き込みたくなかったのじゃがな..」
「そうだったんですね...そんなに冒険者を連れてくるって事はやっぱりブラッドは強いんですね」
「そうじゃな...ブラッド1人でSランクの魔物を相手に出来る程じゃ、ナギア君とリルリアちゃんには分からないと思うが、Sランクの魔物相手にするにはSランク冒険者10人程で挑まないと倒せないと言われておるのじゃよ。
まぁ、個体によってレベルが違うからあくまで目安じゃな」
ギルマスが言うには、出てきた一匹の魔物のランクによって同じランクの冒険者が数人で対処しないと行けないらしい。
Fランクの魔物は人に攻撃してこないので1人でも問題はない。
Eランクの魔物はEランク1人から
Dランクの魔物はDランク2人以上、
Cランクの魔物はCランク3人以上、
Bランクの魔物はBランク5人以上、
Aランクの魔物はAランク7人以上、
Sランクの魔物はSランク10人以上、
SSランクの魔物はSSランク10人以上必要らしい。しかし、個体のレベルによっては必要人数は上下する。
SSSランクの魔物について聞いたところ、山の山頂や海の底、氷の大地の奥や天空の何処かなどにいるらしく、見つかってもこちらから刺激しなかければ襲われる事はないらしい。
しかし、SSSランクの魔物が過去に暴れた事があり、当時のSSSランクの冒険者を中心に国や冒険者ギルドが戦った。
撃退することは出来たが被害はかなりのものだったそうだ。
SSSランクの冒険者の人は、その戦いで大怪我を負い冒険者を引退し、いくつかの国や村が魔物によって壊滅したらしい。
「聞きたいのじゃが、ブラッドはどういう状態なのじゃ?さっきからニヤけていて気味が悪いのじゃが..」
「幻術を掛けてます。ブラッドは強奪系のスキルを持っていると思うので今のうちにスキルや魔法が使えなくなる魔道具とかで拘束してください。ステータスも高いので頑丈な物でお願いします」
「ナギア君もそういうのなら強奪スキル所持の可能性が更に高くなったの..
では、早速これを付けるか」
ギルマスはブラッドの首に黒い首輪を嵌めた。
犯罪奴隷などに付ける首輪らしいが、ギルマスが鍛冶屋に頼みステータスダウンやスキル封じの効果を加えた強力な奴隷首輪だそうだ。
「あっ..僕も付け加えてもいいですか?」
「む?魔道具に付与する事も出来るのか!?」
「じゃあ付けときますね....付けました。
とりあえず、壊されないように破壊無効と効果改変無効を付けときました」
もし首輪を壊されて逃げないようにと破壊無効を付ける。そして、首輪の効果を変えられないように効果改変無効を付けた。
これで、大丈夫とは言い切れないけど逃げるのは難しいだろう。
「....驚かん...驚かんぞ。
さ、流石じゃな!これでブラッドも逃げられないじゃろう。
あとは国の裁判で死刑にされるだけじゃ。こやつのしてきた事は許される事ではないからの..」
「はい、よろしくお願いします」
ナギアはブラッドの幻術を解き闇魔法で眠らせる。
ブラッドは幻術から覚めて一瞬で景色が変わった事に驚くがすぐに抵抗する暇なく眠らされた。
ナギアの行動を見ていたギルマスと冒険者達はその光景に驚きつつもブラッドを受け取り城の方へ行ってしまった。
ナギアとリルリアはギルマス達を見送った後、手を繋いで森の小屋へ帰っていくのだった...
======================
どうも!こんにちは
お気に入り数が2900超えました!
ありがとうございます!
やっと最初から考えていた
魔物ランクに同ランクの冒険者何人必要かの表?を書く事が出来ました!
ナギア達が強すぎて書く時が無かったんです..
6
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