[R18]黄色の花の物語

梅見月ふたよ

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風と希望の祝福

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 フリューゲルヘイゲン王国の首都ヘイムディンバッハ。
 馬車も人も絶え間なく行き交う活気に満ちたこの都には、王族や貴族達が自分の領地に置く自宅とは別に邸宅を構える一等地……通称『貴族街』なるものが存在する。
 景色良し、交通の便良し、隣家とは程好い距離感で、どの物件も庭付き。なんなら家庭用のプールやパーティー専用の小型ホールまである。
 社交シーズンや城への出仕、持ち主やその親類縁者の旅行などで滞在用に使われる各邸宅には、それぞれに管理人や警備員が常時二人以上張り付いており、シーズン以外では全体的に閑散としつつも、どこか物々しい雰囲気が漂っていた。

 そんな貴族街の一画に、こそこそっと忍ぶ人影が二つ。
 巡回する警備員達の目を盗んで建物や植物の影を素早く渡り歩き、目的の場所へと着実に近付いていく二人は、どこからどう見ても不審者……
 ではなく、イタズラを仕掛けようとしている小さな小さな女の子達。
 一人は肩に届く長い黄金色の髪を後頭部で一つに束ね、青みが濃い紫色の気が強そうな眼差しを爛々らんらんと輝かせ。
 もう一人も、やや薄い黄金色の長い髪を風になびかせ、ほんの少し赤みが強い紫色の好奇心に満ちた両目を、溢れる期待で大きく開いている。
 小走りの連続で赤く染まった柔らかい頬は丸みを帯びて愛らしく、今にも何も無い場所で転んでしまいそうな頼りない身体は、貴族街の住民であればおかしくない上等な衣装を纏っていた。
 そっくりな顔立ちの女の子二人は、目的地らしい場所に辿り着くなり顔を見合わせて頷き、それから周辺を慎重に確認。
 他には誰も居ない、どこからも覗かれていないと確信してから、お互いの右手と左手をぎゅっと力強く握り。
 深呼吸の後に息を止め、底が見えない古井戸の中へと飛び込んだ。



 穏やかな午後の陽射しの下、花々の彩りも鮮やかな王宮の庭園。
「ぐるるーっ!」
「ぐるるーっ!」
 車椅子に腰かけた白金色の短髪を持つ中年男性が、幼い子供達の高い声にゆっくり振り向き、黒紫色の目をふわりと細めた。
「やはり……また、ご両親に黙って来ましたね? お二人共」
「来たのーっ!」
「来たのーっ!」
「ご両親が心配なさいますよ。本当に、困ったご令嬢方だ」
 肉食動物と見紛う勢いで突進してきたずぶ濡れの女の子達は、男性の膝に掛けた白布の上から体当たりするようにしがみつくと、満面の笑みを男性に向け、頭を撫でて撫でてと競って身を乗り出す。
 車椅子を固定していなければ、三人揃って男性の背後の遊歩道を疾走し、段差を乗り越えて植え込みに突っ込んでいたかも知れない。
 二人の行為は非常に危険なものだったが、男性は怒るに怒れない様子で、ねだられるままに女の子達の頭を撫でた。
 女の子達はくすぐったそうに、それ以上に嬉しげにふにゃふにゃと笑う。
「ぐるる、好きぃ~」
「ぐるる、好きぃ~」
 金毛の仔猫を撫でているような心地に苦笑した男性は、風邪を引きますよと言って、二人にふかふかな手触りの白布を差し出した。
 きっちり半分ずつを使ってお互いの髪を拭き合う子供達。きゃっきゃっと無邪気に楽しげに笑う光景は、実に微笑ましい。
 彼女達が生まれるまでの経緯を知る男性から見れば、尚更に。

「それで、今日はどんなご用件ですか?」
 ある程度の水分が取れたところで白布を羽織った二人に首を傾げる男性。
 女の子達はパッと顔を上げて、同時に口を開いた。
「「おくりもの!」」
「贈り物?」
「「かあさまにあげるの!」」
「……シュバイツァー公爵に贈り物をしたいから、相談に乗って欲しいと」
「「なの!」」
 瞬きをくり返す男性にコクコク、コクコクと、何度も頷く女の子達。
 その動きもまったく同じタイミングで、少しのズレも無い。
「かあさま、何が好きかな」
「かあさま、好きとかきらいとか、言わないの」
「何が好き? って聞いても、みんながいれば良いって言うんだよ」
「そうじゃないのに、それで良いって言うんだよ」
「ぐるるは、知ってる?」
「ぐるるは、知らない?」
 一瞬の差も無く二人同時に迫られた男性は、困った顔で首を振る。
 男性も、二人の母グローリア=シュバイツァーを知らない訳ではないが、の公爵が望むものと言われてすぐに思いつくのは、子供達の伯母サーラ・オルトリン・ウェラントとの共同生活のみ。
 御年五歳の双子姉妹には、どうやっても手が届かない高嶺の花だ。
 教えるだけ無駄だろう。

 そっかあ~、と残念そうにしぼんでいく女の子達。
 男性はすみませんと言いかけて、ふと湧いた疑問を口にした。
「そもそも何故いきなり贈り物を? 誕生日でも記念日でもないでしょう」
「あのね、かあさまがね、こわがってたの」
「なんかね、ナディアとヴィントを見てね、ちょっとだけこわがってたの」
「……怖がっていた? シュバイツァー公爵が、お二人を見て?」
「「うん。ビクッてしてた」」
 シュバイツァー公爵が、目に入れても痛くないどころか、目に入れたまま笑顔でお茶を嗜みそうなほど溺愛している双子の娘達を見て、何故か怯えていた。
 ありえない情報だが……男性は自身の顎に手を当て、しばし思考する。

「それは、いつの話ですか?」
「んーと……ちょっと前?」
「きのーと、きのーの前と、その前もなの」
「あさ、おはようした時とかね」
「よる、おかえりした時もだよ」
「……ちょっとどころではなく、頻繁に反応してますね」
「ちょっとだけだよ?」
「あれ? って思ったらね、もうね、いつもどーりなの」
「「だから、ちょっとだけなの」」
「…………なるほど」
 怯えた反応は一瞬だけ。
 ただ、それが最近ずっと続いている。
 ということらしい。
「なんかね。かあさま、かわいそうなの」
「びくびくで、こわそうで、笑うんだけど、元気ないの」
「「だから、おくりものなの!」」
 二人同時に両腕を上げたせいで、白布が石畳の上に落ちる。慌てて拾った白布は、けれど水分を吸っていた為、あっという間に砂まみれ。
 女の子達は謝りながら、砂で汚れた面を内側にして丁寧にたたみ、男性の膝上……ではなく、車椅子の背面に備え付けられたポケットにしまった。
 落ち着きが無い半面、細やかな気遣いや礼儀を見せる女の子達に、男性は「お気になさらず。ご丁寧にありがとうございます」と頭を下げて微笑む。

「つまりお二人は、シュバイツァー公爵を元気付けたくて、こっそり贈り物を用意したかったのですね」
「そう! ヴィント、おみやげもらうとうれしい!」
 青紫色の気が強そうな目をしたヴィントが、にぱっと笑い。
「ナディアもね、ナディアがおみやげをもらった時、とうさまとかあさまが笑ってくれるから、すごくうれしい!」
 赤紫色のキラキラした目を持つナディアも、ほわわんと笑う。
「うれしいと、あたまとか、お腹のへんがふわわあ~ってなって、ぽかぽかするんだよ!」
「ぽかぽかであったかいと、びくびくもズキズキもなくなるんだよ!」
「「だから、かあさまに『うれしい』をたくさんあげるのーっ!」」
 多少特殊な環境だったとはいえ高位貴族の娘として生まれ育ったわりに、女の子達は無垢な思考の持ち主だ。物品を貰うよりも物品を介した気持ちのやり取りが嬉しいなど、この年頃の貴族の子供なら、大抵の場合はお世辞の常套句でしかない。
 しかし彼女達は、偽りも飾りもなく本心でそう思っているように見える。それはシュバイツァー公爵夫妻が愛情を込めて二人と向き合ってきた証だ。
 貴族社会にあって、両親を想う二人のまっすぐな笑顔は得がたく、尊い。

 だからこそ、男性は心の内で首を捻った。
 こんなにも愛し愛されている子供達を相手に、シュバイツァー公爵が心の揺らぎを制御できなくなっている。
 まるで、ウェラント王国に居た頃のように。
「一昨日より前……、か」
 でも、何をあげたらうれしいのかな? と、話題をループさせる二人から目線を外し、シュバイツァー夫妻が出仕中の建物を見上げる。

 近年、マッケンティアの小説を裏取引オークションで手に入れる貴族や富豪が大陸中で増加しているという。
 流通禁止の理由が『犯罪組織の資金源になっていたから』なら、原作者に印税が入らない形で回せば良いと考えた連中が、密かに中古本の奪い合いを始めたらしい。
 犯罪組織と繋がっていたマッケンティアの名前が付く本だ。所持しているだけでも社会的に咎められる可能性があると、自らの手で暖炉に投じる者が続出する中、突然、裏取引の場に中古本が出現。未読者に高値で落札されたことがきっかけだった。

 普段は持っていない。
 読みたくなったら中古で。
 読み終わったら裏取引へ。
 小説に秘められた洗脳効果の事実を知らない彼らにとってみれば、妥当な落とし所だったのだろうが。
 まず、マッケンティアの処女作からして冊数が多い。とんでもなく多い。
 一冊一冊はそうでないとしても、シリーズを通して読み終わるまでには、かなりの日数、人によっては年月が掛かる。
 販売停止の後、既に出回っていた分のほとんどが灰と化した後で生まれた需要に、供給量が追いつかなくなるのは、誰の目にも明らか。
 足りない商品、どこまでも吊り上がる値段、満たされない欲求は、彼らの冷静な判断力を失わせた。

『所持者からの強奪』
 表向きは誰も持っていないのだから、奪われても訴えられないし、奪った相手が判明しても表立った仕返しなどはできない。
 だから罪悪感も無く奪い、読んで、裏取引に回す。
 しかし、正規価格よりも遥かに高い代金を払って入手した中古本を横から掻っ攫われて大人しくしていられる人間は、そうそう居ない。

 こうして各国の富裕層で失踪・暴行・暗殺事件が頻発し、裏取引の実態が表沙汰となり、ついにはマッケンティアの小説の既刊全てを全土で禁書指定するに至ったのだが……欲求には懲りるという概念が無いようで、裏取引は現在も表社会の目を盗んで続けられている。
 出現しては捕らえ、出現しては捕らえの、終わりなき『いたちごっこ』。
 フリューゲルヘイゲンにも現れ始めた彼らを取り締まる為、グローリア=ヘンリーとグローリア=シュバイツァー、アーシュマー=シュバイツァーも対策本部に駆り出されていると聞く。
 五日ほど前にもヘイムディンバッハ内で同時多発した裏取引の現場の一つに乗り込み、グローリア=ヘンリーが負傷したらしいが。
 シュバイツァー公爵の異変が関係しているとすれば、その辺りだろうか。
 ただ、グローリア=ヘンリーの負傷が娘達に対して怯える理由になるとは考えにくい。

「……やはり、二人が読み違えているのか……?」
「ぐるる、どうしたの?」
「ぐるる、考えごと?」
「いえ…………いえ、はい。考えごとです」
 女の子達へ目線を戻した途端に真正面から覗き込まれた男性は、否定した言葉を取り消し、軽く頷いた。
 見えているものも、自分が見たいように見てしまう人間の中で、彼女達の目には知識や経験、自己都合の良し悪しなどによる先入観や思い込みや偏見等々が見当たらない。ありのままを、あるがままに捉えている。
 だとしたら、シュバイツァー公爵が娘二人に怯えているのは間違いない。彼女達を愛していることも確かだ。
 ならば。

 「考えごとー?」「なになにー?」と揃って首を傾げる女の子達に男性は
「お二人共、怖いものはありますか?」
 と、尋ねた。
「「こわいもの?」」
「見たくないものや、触りたくないもの。思わず逃げたくなってしまうものなど、どんなものでも良いのですが」
「ん~……。ヴィント、ルビアへーかの目がこわい」
「ナディアもナディアも。ダンデリオンへーかを見るルビアへーかの目が、たまにギラギラのザクザクで、ダンデリオンへーかがケガだらけになりそうでこわい」
「グエンさまといっしょにいると、いつもそうだよね」
「グエンさまには、ふわふわのほよほよで、ぽわぽわなのにね」
「「ね」」
「……………………では、怖いと思った時、お二人はどうしていますか?」
「「ぎゅう~ってするーっ!」」
 お互いに頬をくっつけて抱き合う女の子達。
 恐怖の対象が妹夫婦の恋愛模様になるとは予想外だったものの、双子姉妹の愛らしい行動には目元を緩めて頷く。

「シュバイツァー公爵にも、そうして差し上げるだけで良いと思いますよ」
「ぎゅう~だけ? おくりもの、いらない?」
「でも、ぎゅう~は、いつもしてるよ?」
「足りないと感じるのでしたら、その前にこうしてみてはいかがでしょう」
 男性が前のめりで手招き、女の子達にだけ聞こえる声で耳打ちする。
 ぱちぱちと色違いの目を瞬く、二つのそっくりな顔。
「そしたら、かあさまは元気になる?」
「びくびく、なくなる?」
 片割れの顔を見てから男性を不安げに見つめる二人に「ええ、きっと」と微笑で答えれば、大きな目が更に大きく見開かれた。
「「じゃあ、やってみる!!」」
 同時に上げたヴィントの左手とナディアの右手が、二人の頭上でパンッと高らかに鳴り響く。
「ぐるる、ありがとう!」
「ぐるる、また来るね!」

「「マーシィさまも、またね~っ!」」

「!」
 来た道を嬉しそうに駆け戻っていく女の子達の言葉に目を見張り、男性が周辺の気配を探る。
 現時点、庭園内に居るのは女の子達を除いて二人。
 車椅子に座る男性と、男性をこの場所に移動させた後、男性本人の要望で離れた場所に控えていたルビア王妃付きの侍従のみ。

「……マッケンティア王太后陛下?」
「……子供の純粋な目は欺けませんね。自信を失くしてしまいそうです」
 信じられない思いで声を掛けた男性に、侍従は苦笑いで答える。
 車椅子の隣に立った侍従は、短い金髪を後ろに撫でつけながら光の加減で色みを変える神秘的なサファイアの虹彩をイタズラっぽく細めた。
 真っ黒な紳士服がよく似合う、スラッとした身体の線や隙が無い所作は、どう見ても三十から四十代の男性だ。その喉を通って放たれた声も、かすれ気味ながらお腹に響くような心地好い重低音。
 車椅子の男性が知るベルゼーラ王国のマッケンティア王太后が放っていた女性的な色香は、まったく感じ取れない。
「こんな所で何をなさっておいでなのですか、貴女は」
「フリューゲルヘイゲン王国の観察です。他国の王宮で働くなんて、滅多にない貴重な経験ですから。次回作の為に堪能させていただこうかと」
「だからといって、今日一日中私に付くなど……ルビア王妃陛下も貴女も、お人が悪い」
「ダンデリオン両陛下は御存知ありませんので、どうぞ内密に」
「善処いたしますが、私は演技が下手ですよ」
「グリューエル様は真面目な方でいらっしゃいますね」
「よく言われます」
 疲れた息を吐く男性に、マーシィことマッケンティアはくすくす笑う。

「それにしても、グリューエル様と双子達は、いつお知り合いに? とても仲がよろしいご様子でしたけれど」
「フィオルシーニ皇国へ強制連行される少し前に、一度だけ庭園ここでお二人の護衛を兼ねた遊び相手をさせていただいたことがあったんです。どうもその時の記憶が残っているようで、再会するなりあの調子でした」
「まあ! グリューエル様がタオルを持って庭園へ出たがられていたのは」
「いつ来るのかまでは分かりませんが、何度言っても毎回地下水路を通って侵入するので。公爵家ご令嬢に風邪を引かせる訳にはいかないでしょう?」
「王宮に不法侵入だなんて、困った子達ね」
「まったくです」
「私でも通れるかしら」
「やめてくださいね? 絶・対・に、やめてくださいね?」
「……残念です……」
 ちょっとワクワクした目になっていたマッケンティアが、しょんぼり肩を落とす。
 格好だけでなく行動まで王太后らしくない女性を見上げ、権力者の趣味はよく解らないと言いたげに口を閉ざす男性。
 呆れとも取れる視線に、マッケンティアは苦笑う。

「この数日、オーリィードが精神的に不安定になっているようだったので、公爵邸での生活ぶりを覗いてみたかったのですよ。冒険心を刺激された点は否定しませんが」
「しないんですか」
「地下探検ですよ? ワクワクしませんか?」
「すみません。私には解らないです」
「バスティーツ大陸は控えめな方が多くて、ちょっぴり淋しいです」
 元より貴女が少数派なのでは……? と思っても口にはしない、紳士的で思いやり溢れる元騎士グリューエル。
「とにかく、仕事にも影響が出てこようものなら、傷付くのはオーリィード自身ですから。せめて事情を把握しておきたいと思ったのです。見当違いであったり、足りない言葉で子供を追い詰めてしまうのは、私の本意ではありませんもの」
「……そうですね。その気持ちは少し、分かる気がします」
 かつての自分も、足りない配慮で妹を追い詰めてしまったから。
 同意を込めて頷いた男性の横で、マッケンティアの顔が前を向く。
「冒け、いえ、王宮から出られないのは残念ですが、今は双子達があの子を支えてくれると、信じるしかありませんね」
「…………大丈夫ですよ。お二人を心から大切にしていますから。彼女も、アーシュマー殿も。お互いに向き合っていられるなら、響き合えます」
 女の子達が乾いた石畳の上に点々と残していった水滴と黒い足跡をじっと見つめるマッケンティアに、男性はゆったりと微笑み。
 車輪を固定していたストッパーを外し、王宮へと転身する。
「私達も戻りましょうか」
「……はい、グリューエル様」
 やや間を置いて職務に復帰した侍従も、車椅子の持ち手を掴み。
 ゆっくり、ゆっくりと、遊歩道を歩いていった。


 この日以降、しばらくの間。
 タオルを膝に乗せた車椅子の男性が庭園に出た時は、何故か毎回植え込みではなく遊歩道が満遍なく水浸しになっている、それをガッカリした様子で見つめている人影が居ると、不思議な噂が王宮内で広まったという。





【夕方、貴族街・シュバイツァー公爵邸の前にて】






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