【短編集】詩とコラムと小説と

詩

未来が見える舟

変わらない毎日を  退屈だけが愛してくれる
本当に愛しい刺激は  誰かの所でひと休み

頬を辿る指先は  傷など一つも付けないけれど
触れて欲しい奥の奥には  距離を置いて知らん顔

「ねぇ  こっちを向いてよ」
そんな言葉は  もう言い飽きた
「ねぇ  私に触って構ってよ」
座った跡がくっきり残る椅子を蹴飛ばし
閉じた窓を叩いて開けた

未来が見える舟に乗って  明日の私に会いたいの
飛び込んだ先が地獄なら  堕ちない努力はできるでしょ
未来が見える舟に乗って  今日の私を置き去りたい
楽しい明日が待ってるなら  笑いながら歩いて行けるから



独りきりを慰めるように  退屈はどこまでもついてくる
頼んだ覚えも無いのに  寄り添って静かな眠りに就く

気まぐれな刺激の隣で  それで良いの？  とお節介
疲れ始めた視界の端で  にこやかに笑うから
甘えたがりの涙がほら  腕を伸ばして地に堕ちた

未来が見える舟に乗って  明日の私に会いたいの
惰性で息を繰り返す  そんな日々がずっと続くのなら
未来が見える舟を停めて  今日の私を抱き締めたい
もう一度歩き出せる私に  戻れる日まで目を閉じさせて


未来が見える舟に乗って  明日の私を変えてしまいたい
だけど未来の舟はいつも  今日の私しか乗せてくれない

私はいつも  今日のままだ