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悪役令嬢は、ハッピーエンドシナリオに改編予定である

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 残りの話は歩いて街道と街道が交差する所にある町に向かっていきながらする事になった。
 理由はこの世界の魔力が動力で動く時計を俺が見て、

「そろそろ行かないと、あの街道が交差する町、プラドからの馬車が出てしまう」

 それを聞いていたクレアが、

「そういえば何処に行く気なの?」
「まだ決まっていないが、良さそうな街候補で一番近いのは、ハゼル町かなと」
「ああ、ギルド関係もそろって居て、冒険したり採取しやすい洞窟などがある……街って言ってもほとんど都市のあの場所? でもそれならその前に別の都市があるでしょう?」
「一番の理由は【治安の良さ】だ。犯罪も少なく【治安】が良いなら、強盗なども発生しにくく【商売】もしやすい、経済も上手く回るからな。そういう場所で俺はスローライフがしたい」

 それを聞いてクレアが変な顔をした。
 そのまま隣で歩いていたリセに、

「スローライフ……普通にもの作ったりゆっくり暮らすことよね? 何が楽しいの?」
「……忙しい現代社会の中、好きな事をやってゆっくり暮らしたい、楽しく暮らしたい、そんな感じね」
「そんなに忙しいの? でもスローライフ……この強い力を上げて魔王を倒してやろう! にならないのね」
「それは人それぞれ。ただ、やる気が無くても【巻き込まれる】という事があるからね」

 そう言ってちらりと俺を見る。
 彼女達と一緒に行動するのは間違っていたんだろうかと俺は今更ながら後悔していたが、そこで、俺はある事に気づいた。

「そうだ! そもそも女神さまの本拠地でかくまってもらった方が良いんじゃないのか?」

 女神さまの本拠地の方が俺といるより安全だと気づいた。
 だがクレアは首を振り、

「……今、女神様、旅行中でしょう?」
「何で知っているんだ」
「聖女の所には女神さまが遊びに来るから。それでね。それに魔王関係は今の所、異世界転移者の能力や力があった方が良いから、貴方がいるならそちらと一緒にいた方が良い」

 との事だった。
 異世界転移者を買いかぶりすぎなのではと俺は思ったがそこで、リセが、

「悪役令嬢の出てくる例の乙女ゲーム、それの舞台になっている場所を確認も会って見に行っている部分もあるの」
「シナリオ通りにしない方が良いんじゃないのか? フラグとしてはバッドエンドなんだろう?」
「でも現在そのシナリオ自体から私たちは逸脱しているけれど、【強制力】のように【シナリオ通り】に話を持っていく……それをされていると困るのよ。だから、起こるシナリオを私たちが【都合がいいように】改変して……出来る限りハッピーエンドのフラグに近づけていくのも目的にしているの」
「バッドエンド確定じゃないのか?」
「ストーリー上はね。ただバッドエンドの方は終わっているけれど、ハッピーエンドの方のフラグはまだいくつか残っているからうまくそちらに乗せられそうならそっちに誘導する予定よ。別ルートを複数の未来予測ととらえれば、結末は【変えられる】」
「なるほど。それで、俺、もしかしてその手伝いもさせられるのか?」
「一部お願いしたいわ。別の転移者にお願いできるまでは」
「そうなのか。それで次のフラグはどこになるんだ?」
「ハゼル町よ」

 偶然の一致とはいえ、ひょっとして俺、何かに巻き込まれているのかなという気がしないでもなかったのだった。
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