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九章 教えあいましょう、それで決まりです
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食事も済んで、先に院長は帰っていった。
神徒候補の子供達も察してか自ら後片付けを率先し、客間には菜緒と辰巳しかいない。
兎が気を利かせてお茶を持ってきてくれたが、すぐに引っ込んでしまった。
重厚な座卓を挟んで互いに向き合う。
菜緒は兎が持ってきてくれた茶を一口飲むと、さっそくと口を開いた。
「さて、私の了承も得ずに記憶を塗りつぶした件ですが……」
「あ、菜緒さんには『塗りつぶした』ように感じるんですね」
辰巳が初めて知ったように尋ねてきた。
「はい。……正直、気持ち悪かったです」
ギロリ、と辰巳を睨み付ける。
辰巳は、菜緒の殺気だった視線に肩を竦めた。
神様だろうと、勝手に人の記憶をどうにかしようなんて、菜緒には許せないことだ。
それに――思い出した今、辰巳は他の上位の神様に迎え入れられようとしている、菜緒の邪魔をしていると同じなのだ。
「……辰巳さん、私が全部を思い出すまで、どれだけ不安だったかわからないでしょう?」
不鮮明に隠された記憶が思い起こされるたびに菜緒は、不安だった。
怖さがあり、平気なふりをして日常生活を送っていたが、不意に呼び起こされる記憶は厚い霧がかかっていて、その霧を振り払おうと懸命になっても、その間に消えてしまうのだ。
「そうですね……菜緒さん、他の方よりずっと不可思議なことを感じやすい体質でしたね。自分にかかった『術』に早くも感じてしまって、それを知らずうちに解こうと反応してしまったゆえのことだと思います。しかも、上位の神々も貴女に気づいてもらおうと、ちょっかいを出し続けていたから余計に不安を感じたと思います」
「――だから!」
「すみませんでした」
急に辰巳が頭を下げた。
「菜緒さん、人より数倍も感の強い人だったのを忘れていたわけじゃないんですが、そんなに不安がっていたなんて……よかれと思ってやったことが裏目に出てしまった。菜緒さんの力を侮っていた」
「いや、その……」
辰巳は社はないが、立派な神様だ。
その神様が普通の人に頭を下げるなんて――
そもそも神様のやったことに怒る自分もどうかしてる、と菜緒は改めて思い直し背筋を凍らせた。
「も、申し訳ありません! 辰巳さんに頭を下げさせるなんて……! 罰が当たっちゃいそう!」
菜緒は体を後ろにずらすと思いっきり頭を下げた。思い切りすぎて床に頭が当たったくらいだ。
「菜緒さんが怒るのも当たり前なので。それに貴女になんの罪はない。僕が上位の、恵比寿様達七福神様の意見を素直に受け入れていれば、こんなややこしいことにならなかった。――でも、わかってください。僕は多少霊感の高い貴女が、普通に生活を送っているのを壊したくなかったんです」
どこか哀しそうに辰巳は、菜緒に告げる。
「お気遣いは嬉しく思います。でも私、記憶を塗りつぶされる前に告白してくれた内容は自分にとってストン、と腑に落ちていて既に受け入れていました。それが誰かによって意図的に導かれたことだとしても」
思えば――北海道からやってきて、この街に住む場所を見つけたときから既に導かれていたのかもしれない。
それは本州の神なのか。
それとも蝦夷にいる神なのか。
どちらでも菜緒は構わないと思った。
そうして、こうも納得して受け入れてしまう自分はきっと、心のどこかでそれを望んでいたのかもしれない。
流れる巫女としての自分の古い血が。
「辰巳さんは納得できないかもしれませんけれど、きっと私の持つ『何か』が辰巳さんのお役に立つものかもしれません。だからこそ、上位の神様はこうも私を引き寄せようとしているのかもしれませんよ?」
菜緒の意見に、ああ、と辰巳が溜め息交じりに声を出した。
「菜緒さん……やはりあなた、無意識に気づいていましたね」
「……はい?」
「その通りです。上位の神様は貴女の協力を仰ごうとして、引き込もうと画策していました。……それに反対していたのが僕です」
やはりそうなのか、と菜緒は頷いた。
それでも疑問はある。
「どうして私を引き込もうとしたんですか? 巫女の血筋ということだけなんでしょうか? それと辰巳さんは、どうして神様が私を引き込もうとしたことに反対したんです? 『普通に暮らしているのに巻き込みたくなかった』だけではありませんよね?」
「いえ、そのままです」
辰巳は呼吸を整えるように一つ息を吐き出すと、真っ直ぐに菜緒を見つめる。
「元々、霊感のある菜緒さんですから心のどこかで理解されていると思いますが、僕と神徒候補の子供達が住んでいる家に出入りして、こうして僕達と関わっていくと、『縁』が生まれてきます。そうしてその『縁』が生まれたことによって、菜緒さんが持ち合わせていた霊感というものが際立っていくんです。しかも『霊』よりももっと高尚な『神』の御許で。そうなると菜緒さん自身の纏う『気』も変化していきます、『神が守り、神に従う巫女』として変化してくるんです」
「凄いことになるんですか?」
「凄い、というか、霊障が起きやすくなるし、あやかしに狙われて、危険な目に遭いやすくなりますね。菜緒さんに相当の覚悟が必要、ということです。それだけ神に関わるというのは大変なことなんです」
一呼吸の重たい沈黙があり、菜緒は「でも」と思い切って再び口を開く。
「大津院長のことはどうなんでしょう? 話しだけですが、院長の親世代から『ここに』関わっているようですけど……?」
そう、辰巳の言っていることは重みがある。
その重みは菜緒に話していることは事実で、また危険なことなんだと知らしめているものだ。
なら――大津医院の院長も、同じように危険と背中合わせではないだろうか?
それなのに、承知でこうして週二、健康診断で訪問し、また急病があったら駆けつけている。
自分より院長の方がよほど危ないではないか。
辰巳は「その通り」と言わんばかりに軽く首肯する。
「けれど大津さんのところはまた別なんです。彼女と彼女の一族はこの土地に長く住んでいて、産土神様と氏神様がお守りしていらっしゃいます。私達が彼女と彼女の周辺の危機をいち早く察知して対処してくださっています。特に大津さんの氏神様はとても強い。さすが長くこの地の権力者であっただけに、先祖神が強力なんです」
「なるほど……私は遠い北海道の地の生まれだから、この地の神様から守られる力が薄いってことですか?」
心配になってしまう。
いままでこうした『視えないもの』に対する免疫はあったとはいえ、いちいち気にする性格ではないし、職業柄でも気にしていたら仕事ができないので、ますます気にしないことを徹底していたからだ。
けれど、現実に認めてしまうほどの経験をしてしまった今、急に不安に駆られる。
「いえ……多成神社にお参りしたでしょう? この土地の神様、つまり『とこぬしのかみ』に、菜緒さんがこの地に住んでいると報告したので、守りやすくはなっていると思います」
「ああ、それで! 診療代を神社に納めてくださいといってくれたんですね」
なるほど、この家は多成神社の鎮守の森に建っている。
だからお礼代わりに奉納してほしい、ということかと思っていたけれど、そういう理由も含めていたのかと、菜緒は改めて納得した。
「なら、私にも守りがあるということだし、大丈夫じゃないでしょうか?」
「……そうだと思いますが」
なんだか辰巳は、不安そうに眉を寄せる。
他に憂うことがあるのだろうか?
「あの、辰巳さんは?」
「はい?」
「辰巳さんは私の守りはしないってことでしょうか?」
「……っ! そ、それは……っ、その……無理、ということではないのですか、その、気持ち的に無理というか、無理、というのは、別に菜緒さんが嫌なわけではなくて……」
辰巳の頬がほんのりと色づき、口調がまごついた。
神様がおたついている。
こういう姿を見ると、ほとんど人で、失礼だけれどあまり『神様』という感じがしない。
(なんというか、親しみを感じてしまうというか……)
こほん、と気持ちを立て直すためか辰巳は一つ咳払いをする。
「そ、その……私が菜緒さんの守りをするということは、僕の『巫女』になるのが条件なんです」
神徒候補の子供達も察してか自ら後片付けを率先し、客間には菜緒と辰巳しかいない。
兎が気を利かせてお茶を持ってきてくれたが、すぐに引っ込んでしまった。
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菜緒は兎が持ってきてくれた茶を一口飲むと、さっそくと口を開いた。
「さて、私の了承も得ずに記憶を塗りつぶした件ですが……」
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辰巳が初めて知ったように尋ねてきた。
「はい。……正直、気持ち悪かったです」
ギロリ、と辰巳を睨み付ける。
辰巳は、菜緒の殺気だった視線に肩を竦めた。
神様だろうと、勝手に人の記憶をどうにかしようなんて、菜緒には許せないことだ。
それに――思い出した今、辰巳は他の上位の神様に迎え入れられようとしている、菜緒の邪魔をしていると同じなのだ。
「……辰巳さん、私が全部を思い出すまで、どれだけ不安だったかわからないでしょう?」
不鮮明に隠された記憶が思い起こされるたびに菜緒は、不安だった。
怖さがあり、平気なふりをして日常生活を送っていたが、不意に呼び起こされる記憶は厚い霧がかかっていて、その霧を振り払おうと懸命になっても、その間に消えてしまうのだ。
「そうですね……菜緒さん、他の方よりずっと不可思議なことを感じやすい体質でしたね。自分にかかった『術』に早くも感じてしまって、それを知らずうちに解こうと反応してしまったゆえのことだと思います。しかも、上位の神々も貴女に気づいてもらおうと、ちょっかいを出し続けていたから余計に不安を感じたと思います」
「――だから!」
「すみませんでした」
急に辰巳が頭を下げた。
「菜緒さん、人より数倍も感の強い人だったのを忘れていたわけじゃないんですが、そんなに不安がっていたなんて……よかれと思ってやったことが裏目に出てしまった。菜緒さんの力を侮っていた」
「いや、その……」
辰巳は社はないが、立派な神様だ。
その神様が普通の人に頭を下げるなんて――
そもそも神様のやったことに怒る自分もどうかしてる、と菜緒は改めて思い直し背筋を凍らせた。
「も、申し訳ありません! 辰巳さんに頭を下げさせるなんて……! 罰が当たっちゃいそう!」
菜緒は体を後ろにずらすと思いっきり頭を下げた。思い切りすぎて床に頭が当たったくらいだ。
「菜緒さんが怒るのも当たり前なので。それに貴女になんの罪はない。僕が上位の、恵比寿様達七福神様の意見を素直に受け入れていれば、こんなややこしいことにならなかった。――でも、わかってください。僕は多少霊感の高い貴女が、普通に生活を送っているのを壊したくなかったんです」
どこか哀しそうに辰巳は、菜緒に告げる。
「お気遣いは嬉しく思います。でも私、記憶を塗りつぶされる前に告白してくれた内容は自分にとってストン、と腑に落ちていて既に受け入れていました。それが誰かによって意図的に導かれたことだとしても」
思えば――北海道からやってきて、この街に住む場所を見つけたときから既に導かれていたのかもしれない。
それは本州の神なのか。
それとも蝦夷にいる神なのか。
どちらでも菜緒は構わないと思った。
そうして、こうも納得して受け入れてしまう自分はきっと、心のどこかでそれを望んでいたのかもしれない。
流れる巫女としての自分の古い血が。
「辰巳さんは納得できないかもしれませんけれど、きっと私の持つ『何か』が辰巳さんのお役に立つものかもしれません。だからこそ、上位の神様はこうも私を引き寄せようとしているのかもしれませんよ?」
菜緒の意見に、ああ、と辰巳が溜め息交じりに声を出した。
「菜緒さん……やはりあなた、無意識に気づいていましたね」
「……はい?」
「その通りです。上位の神様は貴女の協力を仰ごうとして、引き込もうと画策していました。……それに反対していたのが僕です」
やはりそうなのか、と菜緒は頷いた。
それでも疑問はある。
「どうして私を引き込もうとしたんですか? 巫女の血筋ということだけなんでしょうか? それと辰巳さんは、どうして神様が私を引き込もうとしたことに反対したんです? 『普通に暮らしているのに巻き込みたくなかった』だけではありませんよね?」
「いえ、そのままです」
辰巳は呼吸を整えるように一つ息を吐き出すと、真っ直ぐに菜緒を見つめる。
「元々、霊感のある菜緒さんですから心のどこかで理解されていると思いますが、僕と神徒候補の子供達が住んでいる家に出入りして、こうして僕達と関わっていくと、『縁』が生まれてきます。そうしてその『縁』が生まれたことによって、菜緒さんが持ち合わせていた霊感というものが際立っていくんです。しかも『霊』よりももっと高尚な『神』の御許で。そうなると菜緒さん自身の纏う『気』も変化していきます、『神が守り、神に従う巫女』として変化してくるんです」
「凄いことになるんですか?」
「凄い、というか、霊障が起きやすくなるし、あやかしに狙われて、危険な目に遭いやすくなりますね。菜緒さんに相当の覚悟が必要、ということです。それだけ神に関わるというのは大変なことなんです」
一呼吸の重たい沈黙があり、菜緒は「でも」と思い切って再び口を開く。
「大津院長のことはどうなんでしょう? 話しだけですが、院長の親世代から『ここに』関わっているようですけど……?」
そう、辰巳の言っていることは重みがある。
その重みは菜緒に話していることは事実で、また危険なことなんだと知らしめているものだ。
なら――大津医院の院長も、同じように危険と背中合わせではないだろうか?
それなのに、承知でこうして週二、健康診断で訪問し、また急病があったら駆けつけている。
自分より院長の方がよほど危ないではないか。
辰巳は「その通り」と言わんばかりに軽く首肯する。
「けれど大津さんのところはまた別なんです。彼女と彼女の一族はこの土地に長く住んでいて、産土神様と氏神様がお守りしていらっしゃいます。私達が彼女と彼女の周辺の危機をいち早く察知して対処してくださっています。特に大津さんの氏神様はとても強い。さすが長くこの地の権力者であっただけに、先祖神が強力なんです」
「なるほど……私は遠い北海道の地の生まれだから、この地の神様から守られる力が薄いってことですか?」
心配になってしまう。
いままでこうした『視えないもの』に対する免疫はあったとはいえ、いちいち気にする性格ではないし、職業柄でも気にしていたら仕事ができないので、ますます気にしないことを徹底していたからだ。
けれど、現実に認めてしまうほどの経験をしてしまった今、急に不安に駆られる。
「いえ……多成神社にお参りしたでしょう? この土地の神様、つまり『とこぬしのかみ』に、菜緒さんがこの地に住んでいると報告したので、守りやすくはなっていると思います」
「ああ、それで! 診療代を神社に納めてくださいといってくれたんですね」
なるほど、この家は多成神社の鎮守の森に建っている。
だからお礼代わりに奉納してほしい、ということかと思っていたけれど、そういう理由も含めていたのかと、菜緒は改めて納得した。
「なら、私にも守りがあるということだし、大丈夫じゃないでしょうか?」
「……そうだと思いますが」
なんだか辰巳は、不安そうに眉を寄せる。
他に憂うことがあるのだろうか?
「あの、辰巳さんは?」
「はい?」
「辰巳さんは私の守りはしないってことでしょうか?」
「……っ! そ、それは……っ、その……無理、ということではないのですか、その、気持ち的に無理というか、無理、というのは、別に菜緒さんが嫌なわけではなくて……」
辰巳の頬がほんのりと色づき、口調がまごついた。
神様がおたついている。
こういう姿を見ると、ほとんど人で、失礼だけれどあまり『神様』という感じがしない。
(なんというか、親しみを感じてしまうというか……)
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