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私もチェンジ?
その2
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「そこのロクデナシ隊! 白魔法使いがいるだろう!? 何でも良い、ミオに回復攻撃を!『瘴気』をミオから切り離せば自分を取り戻せる可能性がある!」
ウィルドさんが叫ぶ。
「で、でも……私、実際に使ったことないよ~!」
「今までなにやっていたんだ! 良いから、やってみろ!」
泣きべそをかきながら、必死に手をかざし澪ちゃんにむかって回復魔法を唱える。
けれど――不発だった。
「こ、怖い……怖くて呪文が……無理! 無理無理無理!!」
とうとうギャン泣きしてうずくまってしまった。しっかり愛人の王さまの膝に。
「役立たず……」とどうにか闇属性攻撃から逃れたキアラさんが、めっちゃ凍った眼差しで見下ろしてます。
同性同士の方が言い方きついよね……
「ガーディアン! 来て!」
私はガーディアンを呼ぶと飛び乗る。
「回復魔法でギリギリまで攻撃してみます!」
澪ちゃんが力つきる一歩前まで回復魔法をかけて、それから『瘴気』から澪ちゃんを切り離す!
「ガーディアン! 行くよ! なるべく澪ちゃんに近づいて!」
私の指示に同意するようにベルを鳴らすと、一気に浮上する。
(澪ちゃん……)
綺麗なストレートな黒髪がうねって、幾つもの束になって宙をうねっている。
顔はもう、澪ちゃんの顔じゃない。
力を使えば使うほど能面のようになっていって、今は蛇みたいに鼻もないし口まで裂けている。
(澪ちゃん、ごめんね……あのとき手を握っていれば……)
後悔にまた涙が出そうになる。
――絶対に澪ちゃんを「国を滅ぼすモンスター」になんかさせない!
ガーディアンが澪ちゃんの長い髪と爪の攻撃を避けながら、彼女の回りを迂回するように飛ぶ。
「回復魔法!」
私は澪ちゃんの背中に魔法をかける。
それから横に回り、また回復魔法。今度は真正面と、近づく度に何度も回復魔法をかける。
炎の魔法よりもずっと効いているみたいだ。
宙に浮いている澪ちゃんが、身体を捻りながら叫び声を上げている。
断末魔の叫びで「まさか澪ちゃん死んじゃう?」と不安になるほどに激しい叫びだ。
「おい! デブス! あとはこの俺様に任せろ!」
勇者ミナトが余計な一言付きで私に言ってきた。
「その空飛ぶチャリ、俺に渡せ! 俺が使ってやる!」
でっかい剣を背負い、「おらおら」と手招きしている。
「あんたに使える子じゃないよ!」
ガン無視している私の代わりにキアラさんが言ってくれた。
「勇者は俺だぞ! 俺が使うべきだろう!」
まだ勇者気分らしいけど、役にたってないじゃん。
「その大剣をまともに使えるのか!? 使えるようになってから勇者を名乗れよ!」
おっさんがミナトをどついたようだ。
ミナトはおっさんのどつきのせいか、それとも背中に背負った剣が重たいのか、よたついて尻餅をついてしまっていた。
私は下のやりとりに気をとられている場合じゃない。
ガーディアンに攻撃を避けることをまかせて、必死に澪ちゃんに回復魔法を仕掛ける。
「澪ちゃん! 目を覚まして! 私だよ! 実里だよ」
澪ちゃんと向かい合う。
澪ちゃん、動きが止まった。
首を傾げ不思議そうに私を見ているように思える。
何も映らない瞳だけど、私が見えていると思いたい。
けれど――横から巨大化した手が振り落とされる。
ブオン!
と大きく風を切る音がする。
高速で振り落とされる手に、私とガーディアンは動けなかった。
「ミサト!」
叩かれる――その瞬間、ガーディアンが動く。
でも、その動き方がおかしい――
まるで私の身体を守るように覆い被さってきた。
(ううん……違う!)
私の身体に纏うように密着してる。
「……えっ?」
「はい……?」
ウィルドさんも。
おっさんズも。
勇者軍団も。
王様と王太子も。
ここにいる兵士達も。
唖然と口を開けて私を見ている。
――いや、一番驚いてるのは当の本人である私なんですけど。
単身で宙に浮いてる。
そして――鎧を着てる。
この鎧、どっから来た?
「……ちょっ、ちょっと待って……?」
恐る恐る、鎧に触れる。
背中からリーン、とベルの音!
「あ、あんた! ガ、ガーディアン!? ガーディアンか!?」
ガーディアンが鎧化した?
しかも私にピッタリだよ!
「レベルアップだ……治癒師からチェンジした」
ウィルドさんが私のステータスを視たらしく、めっちゃ驚いてます。
信じられない、という顔をしていますが……私、一体なににチェンジしたんでしょうか?
まあ、「聖母」ではないな――とは思う。
「ウィルドさん、私! 何に?」
「『聖勇者』だ……!!」
はあああああああああああっ?
ウィルドさんが叫ぶ。
「で、でも……私、実際に使ったことないよ~!」
「今までなにやっていたんだ! 良いから、やってみろ!」
泣きべそをかきながら、必死に手をかざし澪ちゃんにむかって回復魔法を唱える。
けれど――不発だった。
「こ、怖い……怖くて呪文が……無理! 無理無理無理!!」
とうとうギャン泣きしてうずくまってしまった。しっかり愛人の王さまの膝に。
「役立たず……」とどうにか闇属性攻撃から逃れたキアラさんが、めっちゃ凍った眼差しで見下ろしてます。
同性同士の方が言い方きついよね……
「ガーディアン! 来て!」
私はガーディアンを呼ぶと飛び乗る。
「回復魔法でギリギリまで攻撃してみます!」
澪ちゃんが力つきる一歩前まで回復魔法をかけて、それから『瘴気』から澪ちゃんを切り離す!
「ガーディアン! 行くよ! なるべく澪ちゃんに近づいて!」
私の指示に同意するようにベルを鳴らすと、一気に浮上する。
(澪ちゃん……)
綺麗なストレートな黒髪がうねって、幾つもの束になって宙をうねっている。
顔はもう、澪ちゃんの顔じゃない。
力を使えば使うほど能面のようになっていって、今は蛇みたいに鼻もないし口まで裂けている。
(澪ちゃん、ごめんね……あのとき手を握っていれば……)
後悔にまた涙が出そうになる。
――絶対に澪ちゃんを「国を滅ぼすモンスター」になんかさせない!
ガーディアンが澪ちゃんの長い髪と爪の攻撃を避けながら、彼女の回りを迂回するように飛ぶ。
「回復魔法!」
私は澪ちゃんの背中に魔法をかける。
それから横に回り、また回復魔法。今度は真正面と、近づく度に何度も回復魔法をかける。
炎の魔法よりもずっと効いているみたいだ。
宙に浮いている澪ちゃんが、身体を捻りながら叫び声を上げている。
断末魔の叫びで「まさか澪ちゃん死んじゃう?」と不安になるほどに激しい叫びだ。
「おい! デブス! あとはこの俺様に任せろ!」
勇者ミナトが余計な一言付きで私に言ってきた。
「その空飛ぶチャリ、俺に渡せ! 俺が使ってやる!」
でっかい剣を背負い、「おらおら」と手招きしている。
「あんたに使える子じゃないよ!」
ガン無視している私の代わりにキアラさんが言ってくれた。
「勇者は俺だぞ! 俺が使うべきだろう!」
まだ勇者気分らしいけど、役にたってないじゃん。
「その大剣をまともに使えるのか!? 使えるようになってから勇者を名乗れよ!」
おっさんがミナトをどついたようだ。
ミナトはおっさんのどつきのせいか、それとも背中に背負った剣が重たいのか、よたついて尻餅をついてしまっていた。
私は下のやりとりに気をとられている場合じゃない。
ガーディアンに攻撃を避けることをまかせて、必死に澪ちゃんに回復魔法を仕掛ける。
「澪ちゃん! 目を覚まして! 私だよ! 実里だよ」
澪ちゃんと向かい合う。
澪ちゃん、動きが止まった。
首を傾げ不思議そうに私を見ているように思える。
何も映らない瞳だけど、私が見えていると思いたい。
けれど――横から巨大化した手が振り落とされる。
ブオン!
と大きく風を切る音がする。
高速で振り落とされる手に、私とガーディアンは動けなかった。
「ミサト!」
叩かれる――その瞬間、ガーディアンが動く。
でも、その動き方がおかしい――
まるで私の身体を守るように覆い被さってきた。
(ううん……違う!)
私の身体に纏うように密着してる。
「……えっ?」
「はい……?」
ウィルドさんも。
おっさんズも。
勇者軍団も。
王様と王太子も。
ここにいる兵士達も。
唖然と口を開けて私を見ている。
――いや、一番驚いてるのは当の本人である私なんですけど。
単身で宙に浮いてる。
そして――鎧を着てる。
この鎧、どっから来た?
「……ちょっ、ちょっと待って……?」
恐る恐る、鎧に触れる。
背中からリーン、とベルの音!
「あ、あんた! ガ、ガーディアン!? ガーディアンか!?」
ガーディアンが鎧化した?
しかも私にピッタリだよ!
「レベルアップだ……治癒師からチェンジした」
ウィルドさんが私のステータスを視たらしく、めっちゃ驚いてます。
信じられない、という顔をしていますが……私、一体なににチェンジしたんでしょうか?
まあ、「聖母」ではないな――とは思う。
「ウィルドさん、私! 何に?」
「『聖勇者』だ……!!」
はあああああああああああっ?
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