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新しい召喚者に会いました
その2
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「はぁ~! うまーい! ウィルドさん! 美味いよ! これ全部作ったの?」
ジョンさんが身体を震わせ、喜びを表現する。
うんうん、分かる。ウィルドさんの作ったご飯はおいしーんです!
「足りなかったらいいな。追加作ってやるから」
ウィルドさん、気前いい。
誰にも優しいなあ、ウィルドさん。
(そこが良いんだけど!)
「俺、ベーコンとトーストお代わりしていいですか?」
とアントンさん。ちょっと恥じらいながらウィルドさんにお皿を渡す。
「ああ! 腹一杯くいな!」
それにウィルドさんは超笑顔で応える。
「お、俺も……! ベーコンとウインナーとトースト食いたい!」
「私……サラダ。新鮮な生野菜……久しぶりで嬉しい~!」
つぎつぎとお皿を渡していくメンバー達。
「任せな! ――ミサトは? お代わりは?」
「え、ええと……わ、私は……」
正直もうお腹はいっぱいだ。でも、一緒にお代わりをした方がいいかと悩んでしまう。
「そうだ、昨日カフェ・オレ飲んでねーな。飲むか?」
「――はい! それで!」
ウィルドさんの気遣いときたら!
痒いところに手が届く! 的な世話女房なスキルにもう私はメロメロだよ!
「カフェ・オレ? あるの? 城にはなかったわ」
とキアラさん。めっちゃ驚いてる。
「ミサトが教えてくれたんだ。飲むか?」
「勿論よ!」とにっこにこ。
「そういえば、俺たちの世界にあるような食材もあったよな~」
なんてアントンさんが言い始めて、それからこの世界の食事事情なんかをウィルドさんが教えながら追加の食事を作る。
そんな楽しい時間が過ぎていった。
「いやぁ~美味かった! 久しぶりにまともな食事をとったよ!」
ジョンさんが満足というように腹を撫でる。
「しばらくサバイバル食だったもんね」
とキアラさんも、しんみりと答える。
「今までどこにいたんですか?」
城の中で酒池肉林生活している勇者とその数名達と喧嘩別れして、出て行ったメンバーであるのは間違いないと思う。
「城下街の外とかですか?」
「ああ」とアントンさん。
「その方がモンスターとかに遭遇しやすいかな、って思ってね。レベル上げないといざ国の危機がきたら倒せないだろう?」
ジョンさんが言う。
「……すごいな、あんな王様と王太子を見ていながら役目を全うしようなんて」
感心してしまう。
「あんな統治者だけど、国民に罪はないしね。それに倒さないと帰れないんでしょ?私達」
キアラさんが肩を竦めつつ言った。
「それでまあ城下街の外に出て、森の中に入ったりしてモンスターを倒していたんだけど、あまり大物がでなくてね。これじゃあレベル上がらないねーって移動しようかと相談していたんだ」
「そうしたら――そこのウィルドさんがやってきて『修行にいい場所があるぞ』って洞窟に連れて行ってくれたんだ」
「――えっ?」
私、すごい勢いで首を回してウィルドさんをガン見する。
「どうして私には教えてくれなかったんですか!?」
ウィルドさんは「まいったなー」とつぶやくと頭を掻いた。
「ミサトの『治癒』は行えば行うほどレベルが上がる。お前毎日ガーディアンとか自分に『治癒』施していただろう? 日常でばんばん使っていたからかなりレベル高いし、そこで修行しなくても大丈夫だとふんだんだ」
「……まあ、そうですけど……でも! アントンさん達と面識あったんなら教えてくれてもいいし、そうしたら『治癒』の力を持ってるから洞窟での修行で皆さんのお役に立てましたよ!」
「それなら大丈夫よ、ミサト」
とキアラさんが杖を出す。
「この杖『回復』の付属がついてるの。しかも色々薬を持たせてくれたし。念のためだとウィルドさんの友達も交代できてくれた」
「ええっ?」
ウィルドさんの友達って……いつもやってくる常連客のおっさん達だよね?
「俺達の剣や槍に盾、杖とか防具もウィルドさん達が揃えてくれたんだ――それもかなり良いものを」
「えええっ!?」
私、三度びっくり。
(ウィルドさん! 貴方いったい何者なんだ!)
ジョンさんが身体を震わせ、喜びを表現する。
うんうん、分かる。ウィルドさんの作ったご飯はおいしーんです!
「足りなかったらいいな。追加作ってやるから」
ウィルドさん、気前いい。
誰にも優しいなあ、ウィルドさん。
(そこが良いんだけど!)
「俺、ベーコンとトーストお代わりしていいですか?」
とアントンさん。ちょっと恥じらいながらウィルドさんにお皿を渡す。
「ああ! 腹一杯くいな!」
それにウィルドさんは超笑顔で応える。
「お、俺も……! ベーコンとウインナーとトースト食いたい!」
「私……サラダ。新鮮な生野菜……久しぶりで嬉しい~!」
つぎつぎとお皿を渡していくメンバー達。
「任せな! ――ミサトは? お代わりは?」
「え、ええと……わ、私は……」
正直もうお腹はいっぱいだ。でも、一緒にお代わりをした方がいいかと悩んでしまう。
「そうだ、昨日カフェ・オレ飲んでねーな。飲むか?」
「――はい! それで!」
ウィルドさんの気遣いときたら!
痒いところに手が届く! 的な世話女房なスキルにもう私はメロメロだよ!
「カフェ・オレ? あるの? 城にはなかったわ」
とキアラさん。めっちゃ驚いてる。
「ミサトが教えてくれたんだ。飲むか?」
「勿論よ!」とにっこにこ。
「そういえば、俺たちの世界にあるような食材もあったよな~」
なんてアントンさんが言い始めて、それからこの世界の食事事情なんかをウィルドさんが教えながら追加の食事を作る。
そんな楽しい時間が過ぎていった。
「いやぁ~美味かった! 久しぶりにまともな食事をとったよ!」
ジョンさんが満足というように腹を撫でる。
「しばらくサバイバル食だったもんね」
とキアラさんも、しんみりと答える。
「今までどこにいたんですか?」
城の中で酒池肉林生活している勇者とその数名達と喧嘩別れして、出て行ったメンバーであるのは間違いないと思う。
「城下街の外とかですか?」
「ああ」とアントンさん。
「その方がモンスターとかに遭遇しやすいかな、って思ってね。レベル上げないといざ国の危機がきたら倒せないだろう?」
ジョンさんが言う。
「……すごいな、あんな王様と王太子を見ていながら役目を全うしようなんて」
感心してしまう。
「あんな統治者だけど、国民に罪はないしね。それに倒さないと帰れないんでしょ?私達」
キアラさんが肩を竦めつつ言った。
「それでまあ城下街の外に出て、森の中に入ったりしてモンスターを倒していたんだけど、あまり大物がでなくてね。これじゃあレベル上がらないねーって移動しようかと相談していたんだ」
「そうしたら――そこのウィルドさんがやってきて『修行にいい場所があるぞ』って洞窟に連れて行ってくれたんだ」
「――えっ?」
私、すごい勢いで首を回してウィルドさんをガン見する。
「どうして私には教えてくれなかったんですか!?」
ウィルドさんは「まいったなー」とつぶやくと頭を掻いた。
「ミサトの『治癒』は行えば行うほどレベルが上がる。お前毎日ガーディアンとか自分に『治癒』施していただろう? 日常でばんばん使っていたからかなりレベル高いし、そこで修行しなくても大丈夫だとふんだんだ」
「……まあ、そうですけど……でも! アントンさん達と面識あったんなら教えてくれてもいいし、そうしたら『治癒』の力を持ってるから洞窟での修行で皆さんのお役に立てましたよ!」
「それなら大丈夫よ、ミサト」
とキアラさんが杖を出す。
「この杖『回復』の付属がついてるの。しかも色々薬を持たせてくれたし。念のためだとウィルドさんの友達も交代できてくれた」
「ええっ?」
ウィルドさんの友達って……いつもやってくる常連客のおっさん達だよね?
「俺達の剣や槍に盾、杖とか防具もウィルドさん達が揃えてくれたんだ――それもかなり良いものを」
「えええっ!?」
私、三度びっくり。
(ウィルドさん! 貴方いったい何者なんだ!)
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