14 / 34
澪ちゃんを救え!
その2
しおりを挟む
「澪ちゃん!」
ギュルルルルルン! とブレーキの音が響き、ガーディアンを止めると私は乗り捨て図書館内へ。
ガーディアンは大丈夫。あの子、一人で立てる子だから。
「澪ちゃん!」
私は喫茶店の場所へ急ぐ。
喫茶店は内装はすでに出来上がっている。
現在はオープンに向けての接客講習と、メニューを思案中だそうで、私達の世界にあるけど、この世界にはない食事を提供しようと模索中なんだそうだ。
日当たりの良い一角を改築し、そこを喫茶店スペースにするという。
私はまだオープンしていない喫茶店内へ飛び込んだ。
「――っ!?」
つい数日前に見に行ったときは、すでにテーブルや椅子が設置されていて、あとは開店日を待つばかりになっていた店内。
なのに――テーブルや椅子が倒れまくってるし、館長が呆然とした様子で立ち尽くしてる。
しかも頬を殴られてる!
「カスターさん! これ、一体……!?」
私はカスターさんの頬を、治癒の力で直しながら尋ねた。
癒しの力でカスターさんが正気に戻ったのか、弾けるように私の肩を掴む。
「ミ、ミサト……! ミオが、王国軍に連れて行かれた……!」
――遅かった。
◇◇◇◇◇
「嫌がるミオを無理矢理抑えつけて連れて行きおった……全く! あれでは犯罪者扱いではないか! ミオは召還された聖女だぞ!」
カスターさんはプリプリしながら、倒された椅子やテーブルを起こす。
それに私と後からやってきたウィルドさんも手伝しながら、当時の詳しい話を聞いていた。
「ミオが城から出ていった以来『聖女』は召還されなかったってことかもな。それで『聖』『光』の属性を持つ者を集めてるってことだ」
ウィルドさんの言ってることは間違いなさそうだ。
「どうしよう……」
助けに行った方がいい?
でも、私も澪ちゃんもこの国を救うために召還された。
ここで瘴気を倒してくれれば、元の世界へ帰れるし正しいルートじゃないだろうか?
――でも
もやもやする。苛立つ。
やり方がおかしいのに、どうしていいのか分からず私は拳を握る。
「無理矢理連れて行かれるのは違うだろう?」
とウィルドさん。
「勝手に召還されたばかりじゃなく、用がなければ追い出したり引き止めることもしないで放っといたり――挙げ句の果ては、必要になったからと話し合いも身勝手さも謝罪せずに、無理強い連れて行くのは許せん!」
「ウィルドさん」
そうだ、その通りだ。
ランダムだからって突然異世界に召還されて――澪ちゃんは、自分の意思で城から出てきた。
大切な仲間だと思うなら引き止めるなりなんなりするものなのに、それすらもしなかった。
そのくせに今になって必要になったからと、嫌がるのを無理矢理連れて行くなんて酷い。
しかもだ――
(私なんて、あのファクターもどきに容姿だけで判断されて追い出されたし!)
あまりに身勝手すぎる! この国の王様も、勇者達も!
「私、今からお城に行ってきます! 許せない! あいつらと瘴気が戦う前に私がファクターもどきのいるパーティをこらしめてやる!」
めちゃくちゃむかついて、身体が熱い。
怒って頭がカァッとなったこと今まで生きてきてあったけど、燃えそうに身体が熱くなることは初めてだ。
「お、おい、ミサト!」
ウィルドさんが私の身体の異変に気づいたのか、軽く肩を叩いてきた。
「止めないで、ウィルドさん! 城を追い出された時の私とは違うんだから!」
払いのけるようにウィルドさんから離れると、私はガーディアンの元へ急ぐ。
「ガーディアン! 行くよ! 澪ちゃんを助けに!」
リーン! 承知したとベルが鳴る。
「特急モード! 解除!」
別にギアなんてついてないけど、うちの子は賢いので早く走れるよう勝手に変速してくれる。
「ガーディアン、GO!」
一気に加速してガーディアンは城へ向かう。
さすがに特急モード。頬が受ける風の勢いで揺れる。
でも、大丈夫!私の身体はガーディアンから離れることはない。
この辺りは異世界補正なのかもしれないガーディアンの機能だ。
「こら! 待てっつーの! お前一人じゃ無理だぞ!」
ウィルドさんのがなる声を後ろから聞きながら、私とガーディアンは城へ向かった。
ギュルルルルルン! とブレーキの音が響き、ガーディアンを止めると私は乗り捨て図書館内へ。
ガーディアンは大丈夫。あの子、一人で立てる子だから。
「澪ちゃん!」
私は喫茶店の場所へ急ぐ。
喫茶店は内装はすでに出来上がっている。
現在はオープンに向けての接客講習と、メニューを思案中だそうで、私達の世界にあるけど、この世界にはない食事を提供しようと模索中なんだそうだ。
日当たりの良い一角を改築し、そこを喫茶店スペースにするという。
私はまだオープンしていない喫茶店内へ飛び込んだ。
「――っ!?」
つい数日前に見に行ったときは、すでにテーブルや椅子が設置されていて、あとは開店日を待つばかりになっていた店内。
なのに――テーブルや椅子が倒れまくってるし、館長が呆然とした様子で立ち尽くしてる。
しかも頬を殴られてる!
「カスターさん! これ、一体……!?」
私はカスターさんの頬を、治癒の力で直しながら尋ねた。
癒しの力でカスターさんが正気に戻ったのか、弾けるように私の肩を掴む。
「ミ、ミサト……! ミオが、王国軍に連れて行かれた……!」
――遅かった。
◇◇◇◇◇
「嫌がるミオを無理矢理抑えつけて連れて行きおった……全く! あれでは犯罪者扱いではないか! ミオは召還された聖女だぞ!」
カスターさんはプリプリしながら、倒された椅子やテーブルを起こす。
それに私と後からやってきたウィルドさんも手伝しながら、当時の詳しい話を聞いていた。
「ミオが城から出ていった以来『聖女』は召還されなかったってことかもな。それで『聖』『光』の属性を持つ者を集めてるってことだ」
ウィルドさんの言ってることは間違いなさそうだ。
「どうしよう……」
助けに行った方がいい?
でも、私も澪ちゃんもこの国を救うために召還された。
ここで瘴気を倒してくれれば、元の世界へ帰れるし正しいルートじゃないだろうか?
――でも
もやもやする。苛立つ。
やり方がおかしいのに、どうしていいのか分からず私は拳を握る。
「無理矢理連れて行かれるのは違うだろう?」
とウィルドさん。
「勝手に召還されたばかりじゃなく、用がなければ追い出したり引き止めることもしないで放っといたり――挙げ句の果ては、必要になったからと話し合いも身勝手さも謝罪せずに、無理強い連れて行くのは許せん!」
「ウィルドさん」
そうだ、その通りだ。
ランダムだからって突然異世界に召還されて――澪ちゃんは、自分の意思で城から出てきた。
大切な仲間だと思うなら引き止めるなりなんなりするものなのに、それすらもしなかった。
そのくせに今になって必要になったからと、嫌がるのを無理矢理連れて行くなんて酷い。
しかもだ――
(私なんて、あのファクターもどきに容姿だけで判断されて追い出されたし!)
あまりに身勝手すぎる! この国の王様も、勇者達も!
「私、今からお城に行ってきます! 許せない! あいつらと瘴気が戦う前に私がファクターもどきのいるパーティをこらしめてやる!」
めちゃくちゃむかついて、身体が熱い。
怒って頭がカァッとなったこと今まで生きてきてあったけど、燃えそうに身体が熱くなることは初めてだ。
「お、おい、ミサト!」
ウィルドさんが私の身体の異変に気づいたのか、軽く肩を叩いてきた。
「止めないで、ウィルドさん! 城を追い出された時の私とは違うんだから!」
払いのけるようにウィルドさんから離れると、私はガーディアンの元へ急ぐ。
「ガーディアン! 行くよ! 澪ちゃんを助けに!」
リーン! 承知したとベルが鳴る。
「特急モード! 解除!」
別にギアなんてついてないけど、うちの子は賢いので早く走れるよう勝手に変速してくれる。
「ガーディアン、GO!」
一気に加速してガーディアンは城へ向かう。
さすがに特急モード。頬が受ける風の勢いで揺れる。
でも、大丈夫!私の身体はガーディアンから離れることはない。
この辺りは異世界補正なのかもしれないガーディアンの機能だ。
「こら! 待てっつーの! お前一人じゃ無理だぞ!」
ウィルドさんのがなる声を後ろから聞きながら、私とガーディアンは城へ向かった。
0
お気に入りに追加
23
あなたにおすすめの小説

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する
高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。
手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜
KeyBow
ファンタジー
間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。
何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。
召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!
しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・
いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。
その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。
上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。
またぺったんこですか?・・・

異世界でネットショッピングをして商いをしました。
ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。
それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。
これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ)
よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m
hotランキング23位(18日11時時点)
本当にありがとうございます
誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる