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「っ、おい、どうなってんだ?」
「おい…なんだよこれ!!」
目が覚めたというのに視界は暗く、ひんやりとした感覚が背中に広がる。目は…開いていて、黒い布から微かに周りの様子が伺える。寝ていたはずの薄い布団はただの床に変わっていた。重い腕を持ち上げゆっくりと立ち上がる。
〈皆さん、お目覚めのようだね〉
ジリジリ…
機械音混じりの…アナウンスだろうか?
無機質な心のない声が辺りに響く。未だ声を発していない俺はゆっくりと口を開いた。
「…誰だ」
〈ワタクシはこの監獄の主であります。君たちはワタクシの手がける"オクスリ"の実験台でして…まず手始めに、君たちにお願いがあります。その目隠し、自分の手で外すと少々痛い目に…いやかなり。周りにいるお友達と協力して目隠しを外して頂ければ、ワタクシからまた新たな試練を設けたいと思います〉
オクスリ…実験台…?
一体なんのことだ?
「ふざけんなよ!意味がわかんねえよ!」
「誰が信じるかよ。お遊びも程々にしろって」
声の近さ的に同じ部屋にいる二人だろう。反発する様な叫びを上げている。目隠し越しではあるが薄ら様子を伺う。2人とも自分の手を目隠しに掛けている。逆らう理由のない場面、やめておけと止めようとしたのも束の間、彼らは遂に目隠しを取った。
「ぐ、ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「う、ぐぁ!!!!!!」
強烈な爆発音と、ビシャビシャと水の撒き散るような音が響く。鉄を思わせる生臭い匂いが辺りに広がり、次第に足元の滑りが良くなる。不明瞭な視界には砕けた肉片と、微かに顔の面影を残した頭部。
〈ワタクシの申し上げることは全て事実であります。ああ、可哀想に…それではひとつワタクシの優しさで、牢屋の鍵を開けて差し上げましょう。それでは〉
ブーブー
低めのブザー音と同時にガチャリ鍵が開く。ゆっくり、ゆっくりと扉に近づき重い鉄の扉を横に押す。甲高い摩擦音が響く中、3人ほどの足音が徐々に此方に近付いてくる。
「お、おい、目隠しを外してやる」
声をかけられて直ぐ、俺の視界にゴツイ腕がチラつく。その瞬間暖色の明かりが真っ直ぐ差し込み、俺はしばらく目を閉じた。
「聞こえたぞ、さっきの叫び声…こりゃやべえな。お前は大丈夫か?」
「ああ…近くには寄らなかったからな。それより、お前ら一体…」
「顔見りゃわかるさ」
軽く瞼を擦り目を開けると、予想通り3人の男が立っていた。確かに顔を見ればわかる、同じ務所の囚人達だった。
「…俺の記憶違いじゃなきゃ、5番、6番、8番だな」
「よーく覚えてんじゃねえか、2番」
「おい…なんだよこれ!!」
目が覚めたというのに視界は暗く、ひんやりとした感覚が背中に広がる。目は…開いていて、黒い布から微かに周りの様子が伺える。寝ていたはずの薄い布団はただの床に変わっていた。重い腕を持ち上げゆっくりと立ち上がる。
〈皆さん、お目覚めのようだね〉
ジリジリ…
機械音混じりの…アナウンスだろうか?
無機質な心のない声が辺りに響く。未だ声を発していない俺はゆっくりと口を開いた。
「…誰だ」
〈ワタクシはこの監獄の主であります。君たちはワタクシの手がける"オクスリ"の実験台でして…まず手始めに、君たちにお願いがあります。その目隠し、自分の手で外すと少々痛い目に…いやかなり。周りにいるお友達と協力して目隠しを外して頂ければ、ワタクシからまた新たな試練を設けたいと思います〉
オクスリ…実験台…?
一体なんのことだ?
「ふざけんなよ!意味がわかんねえよ!」
「誰が信じるかよ。お遊びも程々にしろって」
声の近さ的に同じ部屋にいる二人だろう。反発する様な叫びを上げている。目隠し越しではあるが薄ら様子を伺う。2人とも自分の手を目隠しに掛けている。逆らう理由のない場面、やめておけと止めようとしたのも束の間、彼らは遂に目隠しを取った。
「ぐ、ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」
「う、ぐぁ!!!!!!」
強烈な爆発音と、ビシャビシャと水の撒き散るような音が響く。鉄を思わせる生臭い匂いが辺りに広がり、次第に足元の滑りが良くなる。不明瞭な視界には砕けた肉片と、微かに顔の面影を残した頭部。
〈ワタクシの申し上げることは全て事実であります。ああ、可哀想に…それではひとつワタクシの優しさで、牢屋の鍵を開けて差し上げましょう。それでは〉
ブーブー
低めのブザー音と同時にガチャリ鍵が開く。ゆっくり、ゆっくりと扉に近づき重い鉄の扉を横に押す。甲高い摩擦音が響く中、3人ほどの足音が徐々に此方に近付いてくる。
「お、おい、目隠しを外してやる」
声をかけられて直ぐ、俺の視界にゴツイ腕がチラつく。その瞬間暖色の明かりが真っ直ぐ差し込み、俺はしばらく目を閉じた。
「聞こえたぞ、さっきの叫び声…こりゃやべえな。お前は大丈夫か?」
「ああ…近くには寄らなかったからな。それより、お前ら一体…」
「顔見りゃわかるさ」
軽く瞼を擦り目を開けると、予想通り3人の男が立っていた。確かに顔を見ればわかる、同じ務所の囚人達だった。
「…俺の記憶違いじゃなきゃ、5番、6番、8番だな」
「よーく覚えてんじゃねえか、2番」
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