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26 接触禁止
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宰相という役職も退き暇になったかと言われればそうでもなく、時々ジョニーが相談兼遊びにくる。
「これなんですけどこの案を通した方がいいのか、もう1枚の…こっちにした方がいいか決めかねてまして」
ジョニーがハイドラへ向けた紙をタジオがちらりと盗み見るが今回も遊びに来ただけらしい。
どっちの案を採用したところで結果は大差ないからだ。
勿論やり方によっては優劣がはっきりするがそんな重要案件でもなかった。
この程度の内容なら他の貴族に任せればいいのに、とハイドラを奪われたタジオは絶賛謹慎中だ。
つい先日まで行われたお仕置の仕返しで1週間、ハイドラに触れることは疎か話すことも禁止された。
ハイドラと対峙している相手がいる場合も然り。
確かにやりすぎだとは反省したが愛の深さを見くびったハイドラが悪いのだとお仕置に関してはタジオは悪びれない。
最初は10日の接触禁止命令だったのだが交渉の末に7日までに縮めた。
運悪く、その間に尋ねてくる人物が多くてタジオのフラストレーションは溜まっていくばかりだった。
「ご意見ありがとうございました。では──
チェスをしよう。先日は負けてしまったがまだ一勝一敗。まだ5日もあるし」
口を挟めないのが忌々しい。
唇を強く噛み締めるタジオはハイドラの一言で持ち直す。
「ジョニーはまた煽って…君たちは仲直りしたのではなかったのかい?口出ししたくはないが、謹慎中とはいえ私の可愛い恋人なのだから虐めすぎないでくれよ」
可愛い恋人!私も貴方のことを可愛い恋人と認識してます!
声に出すことは禁止されているので心の中で叫ぶ。
「虐められたのはハイドラ様だろう?2日前に訪れた時はびっくりしたよ。『足腰立たないから出直してくれ』なんて」
やれやれと呆れた様な演技を大袈裟にするジョニーは応接室の隅に置いてあるチェスを取りに行き、ソファーに座って机に盤を広げその上に駒を並べていく。
「タジオがなかなか私を解放してくれなくてね。けれどおかげでどれだけ愛されているか確認できたから問題ないんだよ」
恥ずかしがることも無くハイドラは惚気けるがタジオは居た堪れない。
己の失態のようなものなのだから。
もう無理だと言われたのにやめようとはせず、更にハイドラを追い立てて失神させたのだ。
恋人なら何をしてもいいという訳でもない。
なので反省はしている。
この状態では言いたいことも言えないが気恥しさはジョニーに伝わったようで
「そうですか」
と言った顔はタジオに向かっていやらしく笑っていた。
「チェックメイト」
「あぁっ…2連敗か…明日は勝てるといいが」
「明日?確か明日は定例会議があるだろう、宰相殿」
機密情報もハイドラにかかればなんのその。
そんな当たり前な事には驚きもしなかった。
「早めに解決して遊びにくるさ」
「これなんですけどこの案を通した方がいいのか、もう1枚の…こっちにした方がいいか決めかねてまして」
ジョニーがハイドラへ向けた紙をタジオがちらりと盗み見るが今回も遊びに来ただけらしい。
どっちの案を採用したところで結果は大差ないからだ。
勿論やり方によっては優劣がはっきりするがそんな重要案件でもなかった。
この程度の内容なら他の貴族に任せればいいのに、とハイドラを奪われたタジオは絶賛謹慎中だ。
つい先日まで行われたお仕置の仕返しで1週間、ハイドラに触れることは疎か話すことも禁止された。
ハイドラと対峙している相手がいる場合も然り。
確かにやりすぎだとは反省したが愛の深さを見くびったハイドラが悪いのだとお仕置に関してはタジオは悪びれない。
最初は10日の接触禁止命令だったのだが交渉の末に7日までに縮めた。
運悪く、その間に尋ねてくる人物が多くてタジオのフラストレーションは溜まっていくばかりだった。
「ご意見ありがとうございました。では──
チェスをしよう。先日は負けてしまったがまだ一勝一敗。まだ5日もあるし」
口を挟めないのが忌々しい。
唇を強く噛み締めるタジオはハイドラの一言で持ち直す。
「ジョニーはまた煽って…君たちは仲直りしたのではなかったのかい?口出ししたくはないが、謹慎中とはいえ私の可愛い恋人なのだから虐めすぎないでくれよ」
可愛い恋人!私も貴方のことを可愛い恋人と認識してます!
声に出すことは禁止されているので心の中で叫ぶ。
「虐められたのはハイドラ様だろう?2日前に訪れた時はびっくりしたよ。『足腰立たないから出直してくれ』なんて」
やれやれと呆れた様な演技を大袈裟にするジョニーは応接室の隅に置いてあるチェスを取りに行き、ソファーに座って机に盤を広げその上に駒を並べていく。
「タジオがなかなか私を解放してくれなくてね。けれどおかげでどれだけ愛されているか確認できたから問題ないんだよ」
恥ずかしがることも無くハイドラは惚気けるがタジオは居た堪れない。
己の失態のようなものなのだから。
もう無理だと言われたのにやめようとはせず、更にハイドラを追い立てて失神させたのだ。
恋人なら何をしてもいいという訳でもない。
なので反省はしている。
この状態では言いたいことも言えないが気恥しさはジョニーに伝わったようで
「そうですか」
と言った顔はタジオに向かっていやらしく笑っていた。
「チェックメイト」
「あぁっ…2連敗か…明日は勝てるといいが」
「明日?確か明日は定例会議があるだろう、宰相殿」
機密情報もハイドラにかかればなんのその。
そんな当たり前な事には驚きもしなかった。
「早めに解決して遊びにくるさ」
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