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22 引き継ぎ
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ジョニーが宰相を正式に引き継げるまであとひと月となった頃、ジョニーはすっかりハイドラのように考えたことを表情に出すことはしなくなり自分の下僕も作っていた。
ハイドラの影とジョニーの下僕ではまだまだ大きな差はあるものの王室へひっそり入ることなど造作もない程の腕利きが何人かいる。
ただアルペンジオ邸へは未だ侵入できていない。
「参りますね…この課題はクリアできなさそう。ハイドラ様、もう少し邸の警備緩めてくれ」
「影を貸したのだからやり方くらいわかっているだろう?」
「それでも貴方の影ほど上手く気配を消せないみたいで。今も上にいるの分かるでしょう?」
「…私が指導しましょうか?」
タジオが自ら指導しようかと申し出るがハイドラに止められる。
「タジオは大人しくしていてくれ。まだ来年からだと言っても無茶をして母体を酷使させるつもりはないよ」
城の執務室でまたも膝上に抱えられながら話を進める彼らに最初こそ呆れていたが最近では最早慣れたジョニーはただ遠い目で「仲睦まじいなぁ」と思うのみだった。
「酷使という程でもないですよ
それにハイドラ様の方が今はお辛いでしょう?なのにこんな膝に抱えるなんて。まだまだ元気がお有りのようで?」
昨夜致した情事を思い出したハイドラは珍しく顔を歪ませジョニーにすらバレてしまう。
「こらタジオ、これ以上虐めないでくれ」
「申し訳ありません、下ろしてくれたらやめますよ」
甘ったるい空気になってしまったこの空間には未だ慣れはしないジョニーだったが初めて知った事実があった。
(あれ?子を産むのはタジオだと言っていたから当然タジオが受け入れる側だとおもってたな。なるほど邸に入れたらこういう情報も…どうやって邸に侵入させるか…)
そう考え出したジョニーを見て宰相になるべく最後の課題へやる気を出せたようで何より、と2人は目を合わせ微笑み合った。
その1週間後ついにジョニーの下僕はアルペンジオ邸へ侵入を果たした。
ただ違和感もあった。なぜならあまり苦労せずにすんなりと入れたからだ。
もしかしたら先日の会話で警備を少し緩めてくれたのかもしれない。そう思ったのも束の間で影にあっさりと捕まってしまり、こういった時の対処法は…など追加で指導を施された。
「ハイドラ様、改めてありがとうございます。おかげでやりたい放題出来そうです」
侵入することが宰相を引き継ぐ最後の課題でそれを見事なし得たジョニーの下僕たち。
その下僕たちへ指導を施した影らの報告によれば問題なく今後も仕事できる域にはあるとの事。
ハイドラは民のことを考えないような者に宰相を引き継がせる予定など更々なく、ジョニーの行動や意志も改めて確認した上で宰相という立場を退いた。
勿論王城に影を忍び込ませるのは継続だが。
後継者を作り始めたと話が出た瞬間から纒わり付く貴族たちを暗に「忙しいから」と告げて華麗に避けてきたが宰相を退いた今なら暇だろうと深い交流を求める者も増えてしまった。
「笑顔、やめたらどうですか?」
今までやらなくてもいい仕事を民の為にと我慢して笑顔で対応してきたハイドラへタジオは捨ててしまえと助言する。
「どうやら張り付いてしまったようでね…困ったものだ。
王もどうにかしたいが先に身の回りから整理していこうかな。あちらにはジョニーがいるしね」
「手筈は整っていますよ。あとはハイドラ様が許可を出して頂けたらと」
「ふふ、さすが私の優秀な子だね!頼もしいよ」
見惚れて動けなくなるほど美しい笑顔にタジオは蕩ける感覚を味わうが直ぐに持ち直す。
「あなたの育てた子であり、伴侶ですから当然ですよ」
「せっかく身軽になったのだからこちらもやりたい放題しようか」
「はい」
─────
「あの人たちがイチャついてる気配がする。と言っている場合ではなくてこの量をあの人たちは熟していたのか…死にそう。」
誰にともなく宰相の執務室で独りごちたジョニーの目の前にはおよそ確認だけでも数日かかりそうな書類の山が聳えていたのだった。
ハイドラの影とジョニーの下僕ではまだまだ大きな差はあるものの王室へひっそり入ることなど造作もない程の腕利きが何人かいる。
ただアルペンジオ邸へは未だ侵入できていない。
「参りますね…この課題はクリアできなさそう。ハイドラ様、もう少し邸の警備緩めてくれ」
「影を貸したのだからやり方くらいわかっているだろう?」
「それでも貴方の影ほど上手く気配を消せないみたいで。今も上にいるの分かるでしょう?」
「…私が指導しましょうか?」
タジオが自ら指導しようかと申し出るがハイドラに止められる。
「タジオは大人しくしていてくれ。まだ来年からだと言っても無茶をして母体を酷使させるつもりはないよ」
城の執務室でまたも膝上に抱えられながら話を進める彼らに最初こそ呆れていたが最近では最早慣れたジョニーはただ遠い目で「仲睦まじいなぁ」と思うのみだった。
「酷使という程でもないですよ
それにハイドラ様の方が今はお辛いでしょう?なのにこんな膝に抱えるなんて。まだまだ元気がお有りのようで?」
昨夜致した情事を思い出したハイドラは珍しく顔を歪ませジョニーにすらバレてしまう。
「こらタジオ、これ以上虐めないでくれ」
「申し訳ありません、下ろしてくれたらやめますよ」
甘ったるい空気になってしまったこの空間には未だ慣れはしないジョニーだったが初めて知った事実があった。
(あれ?子を産むのはタジオだと言っていたから当然タジオが受け入れる側だとおもってたな。なるほど邸に入れたらこういう情報も…どうやって邸に侵入させるか…)
そう考え出したジョニーを見て宰相になるべく最後の課題へやる気を出せたようで何より、と2人は目を合わせ微笑み合った。
その1週間後ついにジョニーの下僕はアルペンジオ邸へ侵入を果たした。
ただ違和感もあった。なぜならあまり苦労せずにすんなりと入れたからだ。
もしかしたら先日の会話で警備を少し緩めてくれたのかもしれない。そう思ったのも束の間で影にあっさりと捕まってしまり、こういった時の対処法は…など追加で指導を施された。
「ハイドラ様、改めてありがとうございます。おかげでやりたい放題出来そうです」
侵入することが宰相を引き継ぐ最後の課題でそれを見事なし得たジョニーの下僕たち。
その下僕たちへ指導を施した影らの報告によれば問題なく今後も仕事できる域にはあるとの事。
ハイドラは民のことを考えないような者に宰相を引き継がせる予定など更々なく、ジョニーの行動や意志も改めて確認した上で宰相という立場を退いた。
勿論王城に影を忍び込ませるのは継続だが。
後継者を作り始めたと話が出た瞬間から纒わり付く貴族たちを暗に「忙しいから」と告げて華麗に避けてきたが宰相を退いた今なら暇だろうと深い交流を求める者も増えてしまった。
「笑顔、やめたらどうですか?」
今までやらなくてもいい仕事を民の為にと我慢して笑顔で対応してきたハイドラへタジオは捨ててしまえと助言する。
「どうやら張り付いてしまったようでね…困ったものだ。
王もどうにかしたいが先に身の回りから整理していこうかな。あちらにはジョニーがいるしね」
「手筈は整っていますよ。あとはハイドラ様が許可を出して頂けたらと」
「ふふ、さすが私の優秀な子だね!頼もしいよ」
見惚れて動けなくなるほど美しい笑顔にタジオは蕩ける感覚を味わうが直ぐに持ち直す。
「あなたの育てた子であり、伴侶ですから当然ですよ」
「せっかく身軽になったのだからこちらもやりたい放題しようか」
「はい」
─────
「あの人たちがイチャついてる気配がする。と言っている場合ではなくてこの量をあの人たちは熟していたのか…死にそう。」
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