宰相様は抱き枕がほしい【完結】

うなきのこ

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15 雨の日

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ハイドラが紅茶を淹れに少し席を外した隙に、先の会話を聞いて影が雨の日でも2人で楽しめる卓上ゲームをいくつか用意してくれていた。

「これとかどうですか?」
目に付いた物の中身を取り出す。
「やったことの無い地方のものだね」
「説明書には
『①色つきのコマをそれぞれ選びボードの縁に置いて指で弾く。②コマをボードに書いてある円上に飛ばす。③最終的に置いてあるコマの下の合計数字が高い方が勝ち』みたいです。以前やった異国のダーツというゲームの応用みたいですね
簡易版、でしょうか」

大人数でもできるのだろう。
赤白黒黄青があってハイドラは青、タジオは白を選んでハイドラから始める。

「(ボードの端に置いたコマを指で弾いて中央に…と)」
見事ど真ん中に置かれた楕円の平べったいコマは次に弾かれた白いコマによって円外に出された。
「タジオ、君は私を立ててくれるつもり無いようだね」
「やり甲斐がないと楽しくないでしょう?」
「では私も本気でやろうか」
ゾクリと背筋が凍る笑顔を向けられたタジオはそこまで本気にならなくてもと恐怖を抱いた。

コマはそれぞれ10個あって交互に弾いていくがこのゲームは後攻が有利になるだろう。
そう思っていたタジオはしかし最後の1つで中央に固められたハイドラのコマをどう散らばらせるかと考え込んでいた。
「うーん…」
「君に勝ち目は無さそうだが粘るのかい?さっさと楽になってしまいなさい」
「ゲームとはいえ本気でやる、と言ったのですから勝ちに行きますよ」

円の中心からハイドラのコマ色の青、その周りに2つの白、更に外に青4つ。
円外はカウントされないので現在の円内にあるコマだけで見るとハイドラの勝利だ。

ほくそ笑みながらこれをどう攻略するのかと楽しみに盤上を見ると気づいてしまった。
「(私のコマとタジオのコマが中央で並んでいるから強く弾かれればもしかしたら…)」
タジオもほぼ同時にその可能性に気づいたようでコマを弾く。

カツンッと小さく音がなりコマが弾かれると見事ハイドラのコマが少し押し出され中央にはタジオのコマが2つ。
このゲームは中央にあるコマが1番得点が高く他の3つの円は外側程点が低い
「10点差か…大きいな」
「これは大人数でも十分楽しめそうです」
「今度またイカサマ無しで屋敷のものたちでやってみようか。トーナメント形式で」
「では次の雨の日の休日にでも」
「1試合しかやっていないが結構時間が経ったね」
「本当ですね  他のゲームもやってみますか?」

簡単そうなものを持ち上げハイドラへ差し出すが
「君はこういう事をして楽しみたいのかい?勿論問題はないけども」
「??」
受け取るなり何か変な言い回しをしたハイドラの手元へ目を向ける。
一見ただの投げ輪に見えるがよくよく見ると箱には『オトナ向け』とかいてあった。
「!?それって…!?」
「君が寄越したんだろう?説明書には…『ローションを商品に塗りつけ秘部へ押し当ててください。前立腺を刺激する為のものです』だそうだ

これも本気でやらなくてはね?」

何故確認しなかったのか。影が持ってきた物へ何故信頼してしまったのか。
後悔先に立たずとはこの事だ。

ハイドラとは1度も自身が受け入れる側をやったことはなかったが尻を差し出すようにと言われた。タジオは心の準備ができていなかったが受け入れるしかなかった。
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