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14 クッキー
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料理長が腕自慢に作ったニンジン料理を見なかったことにして別の腕よりの料理を堪能する。
リクエストしていたハイドラの好物、鹿肉のパイ包みもあって凡そ貴族には見えない食べ方で一口に食べる。
「ん美味い」
「これ今朝狩ったばかりだと言ってたんですけど柔らかいですね」
「ノッドは本当にいい腕をしているね」
沢山ある料理に次々と手を伸ばし普段の食事より多い量を皿に盛っていくハイドラを大丈夫かと諫める。
「ハイドラ様さすがに取りすぎでは」
「そうかな?お腹すいていてね」
「確かに今日は頭を使うより体力をよく使いましたしね。でも食べすぎると後が大変ですよ?」
「今夜は止めておこうかな」
「え!?…あ…いえ。すみません。疲れてますよね」
「すまないねもう既にお腹いっぱいなのを自覚したよ。…まだ休みはあるのだから…ね?」
今夜の共寝を拒まれシュンとしたタジオの表情が戻った。
「楽しみにしています」
「明日もまだやる事あるからできるか定かではないけどね」
「そうですね…」
落として上げて落とすハイドラへ酷い御人だと後に影へ愚痴ったのだった。
昨日は暑いと思うほど天気が良かったが今日はまるっきり逆で雨が降りしきっている。
雨が降っていなければ遠出する予定だったのだが。
「昨日の内に畑弄り出来て良かった」
「本日は何しますか?馬車の用意は出来てますけど雨ですし行ける範囲は狭いですが」
「なにかしたいことはないのかい?」
「貴方と一緒にいられるのなら何処でもいいのですが」
「可愛いねそういう発言は」
さて何をしようかと思いつかないまま寝室に設置してあるソファーの上で数分。タジオが急に顔を顰めてハイドラの正面へ回り込む。
ハイドラは数秒目を瞬かせて何を言いたいのだろうかと予想を立てた。
心を読むことに長けているとは言えなんの予想もなしに完璧に読むことなど出来ない。
表情や視線、会話、仕草を細かく観察して行く。
「(こんな昼間から営みたい、と言うわけでは無さそうだ。なら…)」
もしかしてと思い至った。
「これかな?」
そう言って卓上にある手作りのクッキーを持ち上げた。
「それ、先日あの子供から受け取ったものですよね」
「なかなか美味しいんだよ、君も食べるかい?」
「いりませんしハイドラ様も食べないでください。」
あの子供、とは休みに入る前に用事が有って訪ねた先のヴェルディール・グラディオ公爵の息子フィリオ
「先月うちに来てくれた時に少し構ってくれていただろう?その時に貴方に世話になったのだからと何が好きなのか聞かれてね。次はいつ来るのか、早く渡したいと息巻いていたんだ。」
「!!もう!父上!
…あの時は楽しかったです!忙しいとは思いますがまたいらしてください!これはお礼です!」
遊んでくれたお礼にと8歳の小さな手から渡されたクッキーをハイドラは笑顔で受け取った。
「またお邪魔するよ、これもありがとう」
自分の意見は後回しにしてしまう様な子供だったはずのフィリオが初めてわがままを言ったのがクッキー作りでヴェルディール家の料理長と一緒に作ったそうだ。
あそこもあまり貴族然としていなくて好感の持てる良い友人だとハイドラはよく言っていた。
そんな人物の息子からの手作りクッキー。
受け取らないわけもなく何も入っていないと分かってはいるが。
「可愛いじゃないか?初恋の想いを貰ったんだ」
意地の悪い事だ。気づいててまた会おうと言ってクッキーを受け取っているだなんで。
「貴方は渡しません」
「何回も聞いたよ」
「クッキー…勿体ないので食べてあげてください」
フィリオの淡い恋心にさっきまで嫉妬していたのにハイドラの話を聞いて同情した。
「食べてから何するかまた決めましょう」
「そうだね」
紅茶を淹れ直してくると席をたったタジオをハイドラは愛おしそうな目で見つめた。
リクエストしていたハイドラの好物、鹿肉のパイ包みもあって凡そ貴族には見えない食べ方で一口に食べる。
「ん美味い」
「これ今朝狩ったばかりだと言ってたんですけど柔らかいですね」
「ノッドは本当にいい腕をしているね」
沢山ある料理に次々と手を伸ばし普段の食事より多い量を皿に盛っていくハイドラを大丈夫かと諫める。
「ハイドラ様さすがに取りすぎでは」
「そうかな?お腹すいていてね」
「確かに今日は頭を使うより体力をよく使いましたしね。でも食べすぎると後が大変ですよ?」
「今夜は止めておこうかな」
「え!?…あ…いえ。すみません。疲れてますよね」
「すまないねもう既にお腹いっぱいなのを自覚したよ。…まだ休みはあるのだから…ね?」
今夜の共寝を拒まれシュンとしたタジオの表情が戻った。
「楽しみにしています」
「明日もまだやる事あるからできるか定かではないけどね」
「そうですね…」
落として上げて落とすハイドラへ酷い御人だと後に影へ愚痴ったのだった。
昨日は暑いと思うほど天気が良かったが今日はまるっきり逆で雨が降りしきっている。
雨が降っていなければ遠出する予定だったのだが。
「昨日の内に畑弄り出来て良かった」
「本日は何しますか?馬車の用意は出来てますけど雨ですし行ける範囲は狭いですが」
「なにかしたいことはないのかい?」
「貴方と一緒にいられるのなら何処でもいいのですが」
「可愛いねそういう発言は」
さて何をしようかと思いつかないまま寝室に設置してあるソファーの上で数分。タジオが急に顔を顰めてハイドラの正面へ回り込む。
ハイドラは数秒目を瞬かせて何を言いたいのだろうかと予想を立てた。
心を読むことに長けているとは言えなんの予想もなしに完璧に読むことなど出来ない。
表情や視線、会話、仕草を細かく観察して行く。
「(こんな昼間から営みたい、と言うわけでは無さそうだ。なら…)」
もしかしてと思い至った。
「これかな?」
そう言って卓上にある手作りのクッキーを持ち上げた。
「それ、先日あの子供から受け取ったものですよね」
「なかなか美味しいんだよ、君も食べるかい?」
「いりませんしハイドラ様も食べないでください。」
あの子供、とは休みに入る前に用事が有って訪ねた先のヴェルディール・グラディオ公爵の息子フィリオ
「先月うちに来てくれた時に少し構ってくれていただろう?その時に貴方に世話になったのだからと何が好きなのか聞かれてね。次はいつ来るのか、早く渡したいと息巻いていたんだ。」
「!!もう!父上!
…あの時は楽しかったです!忙しいとは思いますがまたいらしてください!これはお礼です!」
遊んでくれたお礼にと8歳の小さな手から渡されたクッキーをハイドラは笑顔で受け取った。
「またお邪魔するよ、これもありがとう」
自分の意見は後回しにしてしまう様な子供だったはずのフィリオが初めてわがままを言ったのがクッキー作りでヴェルディール家の料理長と一緒に作ったそうだ。
あそこもあまり貴族然としていなくて好感の持てる良い友人だとハイドラはよく言っていた。
そんな人物の息子からの手作りクッキー。
受け取らないわけもなく何も入っていないと分かってはいるが。
「可愛いじゃないか?初恋の想いを貰ったんだ」
意地の悪い事だ。気づいててまた会おうと言ってクッキーを受け取っているだなんで。
「貴方は渡しません」
「何回も聞いたよ」
「クッキー…勿体ないので食べてあげてください」
フィリオの淡い恋心にさっきまで嫉妬していたのにハイドラの話を聞いて同情した。
「食べてから何するかまた決めましょう」
「そうだね」
紅茶を淹れ直してくると席をたったタジオをハイドラは愛おしそうな目で見つめた。
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