7 / 31
6 安堵 ※
しおりを挟む宰相の長期休暇も明け、城では
「やっと戻られましたか!」
「ご助力ください!」
そう泣き付く国王や公爵らは"なんでもできる宰相様"の普段とは違う冷ややかな目に気づかない。
「(?宰相様がピリピリしてらっしゃるような?)」
ハイドラと無意識に距離を置いていたタジオは自身が原因であることに気づいていなかった。
「ーーがまだーー」
「(目を合わせてくれない)」
「ーーて貰えるよう手配しました。それからーー」
「(以前より一歩遠いな)」
「リストの件ですが…。宰相様聞いておられますでしょうか?」
「(『宰相様』それもいつもより丁寧な口調)
聞いているよ」
ここまであからさまに態度が変わるとは考えて居らずハイドラは自嘲する。
「("なんでもできる宰相"は返上した方がいいようだ)」
休暇明けの仕事量はいつもより多く感じるが気の所為であることは分かっていた。それでもハイドラは「多いな」とため息混じりに発した。
執務室でいつものように自身で淹れた紅茶を啜りタジオをじっと見つめる。
「どうかなさいましたか?」
「いや」
あの件以降性交どころか接吻すら一度もしていない。己が悪い事は自身も承知していた。避けられていることも仕方ないと。
「タジオ」
「はい」
ーー聞きたいことがあった
「こんな所で訊ねるのはマナー違反ではあるが。
君はあんなことした私に失望したかい?」
「っ!いえ、失望などしておりませんっ」
少し喰い気味に答えた。
「では何故私を避けるのか聞いても?」
「避けていたつもりはありませんが、貴方が言うのであればそうなんでしょうね。申し訳ありませんでした」
タジオは顔を赤らめながら、虐められて興奮を覚えたことに嫌われたのではと怖かったと口にする。
そんなことか、とハイドラは安堵した。
「嫌うわけないだろう?」
そんな優しい声で応え、座っていたはずのハイドラがいつの間にかタジオの目の前にいた。
徐に顎を掴まれ、親指で下顎を開かせる。行動に反応出来ずにぼんやりとした瞳を熱の篭った瞳で凝視した。
「いい子だ…」
熱に浮かされて勃ち始めていたペニスを弄られ、ここが城の執務室であることも忘れた。腰にまわされた手で導かれるままに二人はソファーへと移動する。
座らせたタジオの下履のボタンを外して完勃ちしたペニスを取り出す。
「!?ハイドラ様!?」
漸く我に返ったらしい。
「流石に最後まではしないよ。…君のこれは慰めてあげようとは思うのだが」
少し脚を開かせ空かさずその隙間に入り込むとタジオのペニスを咥えこんだ。
「!?……っあっ……」
舌で表面をなぞると小さく声を上げたタジオは、自身の手で口を押えた。ハイドラの頭を押し退けようとし伸ばしたもう片方の手を掴まれ防がれる。
表面を舐めるだけだった口淫を激しいものへと変え、ビクリと刺激に震えたタジオへ視線を向けると息を乱していた。
「ハイドラさまぁ…もうっ…」
絶頂へと誘われている事を確認して更にジュポジュポと激しく音を立て責め立て、口の中にビュルッと精を解き放つ。
「ん」
「!!もうしわけありませんっ」
息を乱しながら謝り「吐き出して下さい」と言ったがハイドラは口に放たれたものをそのまま飲み干した。
自身のモノを咥えられあろう事か吐き出した精を飲んだハイドラへ少し欲情した。
「帰ったら続きをしようか」
「…その前に貴方のモノを私もお慰めさせて頂きたいのですが…」
0
お気に入りに追加
89
あなたにおすすめの小説
BL団地妻on vacation
夕凪
BL
BL団地妻第二弾。
団地妻の芦屋夫夫が団地を飛び出し、南の島でチョメチョメしてるお話です。
頭を空っぽにして薄目で読むぐらいがちょうどいいお話だと思います。
なんでも許せる人向けです。

フローブルー
とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。
高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。
幼馴染は僕を選ばない。
佳乃
BL
ずっと続くと思っていた〈腐れ縁〉は〈腐った縁〉だった。
僕は好きだったのに、ずっと一緒にいられると思っていたのに。
僕がいた場所は僕じゃ無い誰かの場所となり、繋がっていると思っていた縁は腐り果てて切れてしまった。
好きだった。
好きだった。
好きだった。
離れることで断ち切った縁。
気付いた時に断ち切られていた縁。
辛いのは、苦しいのは彼なのか、僕なのか…。

【完結】神様はそれを無視できない
遊佐ミチル
BL
痩せぎすで片目眼帯。週三程度で働くのがせいっぱいの佐伯尚(29)は、誰が見ても人生詰んでいる青年だ。当然、恋人がいたことは無く、その手の経験も無い。
長年恨んできた相手に復讐することが唯一の生きがいだった。
住んでいたアパートの退去期限となる日を復讐決行日と決め、あと十日に迫ったある日、昨夜の記憶が無い状態で目覚める。
足は血だらけ。喉はカラカラ。コンビニのATMに出向くと爪に火を灯すように溜めてきた貯金はなぜか三桁。これでは復讐の武器購入や交通費だってままならない。
途方に暮れていると、昨夜尚を介抱したという浴衣姿の男が現れて、尚はこの男に江東区の月島にある橋の付近っで酔い潰れていて男に自宅に連れ帰ってもらい、キスまでねだったらしい。嘘だと言い張ると、男はその証拠をバッチリ録音していて、消して欲しいなら、尚の不幸を買い取らせろと言い始める。
男の名は時雨。
職業:不幸買い取りセンターという質屋の店主。
見た目:頭のおかしいイケメン。
彼曰く本物の神様らしい……。
隣のアイツは俺の嫁~嫌いなアイツの正体は、どうやら推しのバーチャルストリーマーらしい~
藤掛ヒメノ@Pro-ZELO
BL
夕暮れ寮シリーズ第三弾。
バーチャルストリーマーが好きな榎井飛鳥は、オタク全否定の隠岐聡が大の苦手だった。
だが隠岐の方には実は秘密があって――。
両視点から進む、ヤキモキのラブストーリー!
またのご利用をお待ちしています。
あらき奏多
BL
職場の同僚にすすめられた、とあるマッサージ店。
緊張しつつもゴッドハンドで全身とろとろに癒され、初めての感覚に下半身が誤作動してしまい……?!
・マッサージ師×客
・年下敬語攻め
・男前土木作業員受け
・ノリ軽め
※年齢順イメージ
九重≒達也>坂田(店長)≫四ノ宮
【登場人物】
▼坂田 祐介(さかた ゆうすけ) 攻
・マッサージ店の店長
・爽やかイケメン
・優しくて低めのセクシーボイス
・良識はある人
▼杉村 達也(すぎむら たつや) 受
・土木作業員
・敏感体質
・快楽に流されやすい。すぐ喘ぐ
・性格も見た目も男前
【登場人物(第二弾の人たち)】
▼四ノ宮 葵(しのみや あおい) 攻
・マッサージ店の施術者のひとり。
・店では年齢は下から二番目。経歴は店長の次に長い。敏腕。
・顔と名前だけ中性的。愛想は人並み。
・自覚済隠れS。仕事とプライベートは区別してる。はずだった。
▼九重 柚葉(ここのえ ゆずは) 受
・愛称『ココ』『ココさん』『ココちゃん』
・名前だけ可愛い。性格は可愛くない。見た目も別に可愛くない。
・理性が強め。隠れコミュ障。
・無自覚ドM。乱れるときは乱れる
作品はすべて個人サイト(http://lyze.jp/nyanko03/)からの転載です。
徐々に移動していきたいと思いますが、作品数は個人サイトが一番多いです。
よろしくお願いいたします。
ペイン・リリーフ
こすもす
BL
事故の影響で記憶障害になってしまった琴(こと)は、内科医の相澤に紹介された、精神科医の篠口(しのぐち)と生活を共にすることになる。
優しく甘やかしてくれる篠口に惹かれていく琴だが、彼とは、記憶を失う前にも会っていたのではないかと疑いを抱く。
記憶が戻らなくても、このまま篠口と一緒にいられたらいいと願う琴だが……。
★7:30と18:30に更新予定です(*´艸`*)
★素敵な表紙は らテて様✧︎*。
☆過去に書いた自作のキャラクターと、苗字や名前が被っていたことに気付きました……全く別の作品ですのでご了承ください!
【完結】運命さんこんにちは、さようなら
ハリネズミ
BL
Ωである神楽 咲(かぐら さき)は『運命』と出会ったが、知らない間に番になっていたのは別の人物、影山 燐(かげやま りん)だった。
とある誤解から思うように優しくできない燐と、番=家族だと考え、家族が欲しかったことから簡単に受け入れてしまったマイペースな咲とのちぐはぐでピュアなラブストーリー。
==========
完結しました。ありがとうございました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる