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13 「キスの練習」
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書類や実物の確認、交渉等を社長である巽が自ら行う事が多々ある。
日々疲れた体を癒してくれるのは猫と食事とマッサージ。
同じベッドに寝るようになってからもマッサージは欠かさず施されるが、そのマッサージオイルの匂いが嫌なのかいつしかさくらは巽の寝室へ来ることが無くなった。
構ってくれない訳では無いがちょっと寂しさを感じていた。
「社長、ダラダラしてないでちゃんと仕事してください」
総一郎は仕事モードだと少し当たりがきつい。彼のおかげで自らの仕事にあまり負担がかかることは無いので感謝しているが、猫に会えないことがこうも仕事に影響するのかと驚愕している今の巽にはあまり響かない。
以前社員と話していた時は「こうはならないだろう」と悠長にしていたがよもや猫がいないと力が漲らないなんて。
スマホを取り出してペットカメラを開くとそこには半田が映っていた。
「あ、半田さんだ」
マイク/スピーカー機能もあるペットカメラは今はまだマイクを繋げていないにも関わらず半田が反応した。
『巽くんかな?お仕事お疲れ様です。さくら連れてきますよ』
スマホで様子を見ようと専用アプリを開くとカメラ側が反応して点滅する仕様だ。どうやらそれで「見ている」と気づいたらしい。
さくらを連れて戻ってきた半田とマイクで繋ぐ。
「さくら何してたの?」
『探検してましたよ、さっきまで階段にいました』
「まだ探検し足りないのかな?外に出しても大丈夫だからね」
『はい 巽くん仕事頑張ってください』
さくらの手を借りてフリフリとした半田としばしの別れを告げて急いで帰ろう!と仕事に打ち込む。
さくらと寝れなくても家に帰れば構ってくれる。
そんな可愛い猫に構い尽くし嫌がられた所で手を引いた。
「日中散歩できる半田さんが羨ましい~明後日は休みだよね」
「昨日変更になったことを忘れた?残念だけど休みは先延ばし」
「社長ってこんなに疲れるんだね…放心状態でやれてた2年が久しいよ」
「俺らのサポートあってだったけどな!巽は覚えてないかもしれねぇーけど何回も壁にぶつかりそうになって最終的に俺が担いで社長室に運んだりしたんだぞ?宛ら荷物だったな 勿論社員がいない所で、だが」
「…その節はありがとうございました…」
記憶にないが総一郎が否定しないのなら本当の事なのだろう。なんてことだ。
今後はできるだけ手を借りないようにしないと社長としての威厳が…
より一層気張ろうと改める。
───
ところで社長の巽が猫を引き取ってからCROWで扱う猫用品が増えた。
鴻が動物好きだったので多種類の商品を扱っていたのだがずば抜けて猫用品が増えた。
そんなことを知るのは数の管理をしている社員くらいなものでさすがにメディアなどには把握はされていない。
贔屓だと言われないように他の種類の動物用品も増やすことにした。
昨今は自分達の子供に縁がなかった場合に動物へ愛を注ぐ事も増えた。
養子を取る人ももちろん居る。
それぞれ「育てる」というのは大変なものだ。
さくらを太らせないか心配をしていたがあの半田さんが食事管理しているのなら大丈夫かと干渉するのを南波はやめたのだった。
───
「お久しぶりですね、黒川社長。沢山見ていってください!」
「お久しぶりです、針城さん」
予定変更させられた日に向かったのは沖縄のガラス工房で、彼が作る物は特に美しく個人的にも買い付けたグラスを今も使っている。
彼の作品はお猪口ひとつで数万する。一般向けとは言えない。
今回は彼の工房で作られた弟子の作品を一般向けとして限定販売する事となったのでその為の品選びに来た。
予定変更になったのは来週には台風が来そうだからということだった。
さすがに自然には逆らえないので予定を開けるしか無かった。
作品を選ぶ為にはまず価格設定。
低くても高くても売れない。低すぎると今後弟子らが独立した時に買い叩かれる可能性がある。
将来がかかっているのだからそれ相応に値段を付けなくてはならない。
ひとつずつみて値段交渉にかかる。
粗方作品と値段のすり合わせも終わりCROW沖縄支社へ出向く。
黒川はどこの支社に行っても大歓迎だ。老若男女問わず慕い見蕩れる。
そんな眼差し等にはとうに慣れた巽達はここでも大して気に止めない。
「来週には台風ですよね、皆さんお気をつけて。備蓄品も増やしてあるので大変かと思いますがよろしくお願い致します」
社員を気遣う巽だから、歴代の社長たちだからこそ辞める理由もできない。
公務員よりもCROWに入ることの方が現在では難しい。
学歴が全てではないという教えから雇うのも大卒以上などとは決めない。
常識と知識があれば中卒でも雇い入れている。
家庭の事情など様々だからだ。
時々心配されることもあるが今のところ問題らしい問題は起きていない。
きっと他企業がやれば一瞬で潰れる策だ。CROWだからこそ成り立つ。
そうした労い等を済ませてホテルで休息を摂る。
2日滞在のち2日目の夜に帰る予定だ。
「髪乾いたか?マッサージするから脱いで」
いつものようにパンツだけを残してうつ伏せで寝転がり愁弥のマッサージを受ける。
仕事量が多い日やどこかへ出向く時にマッサージをして貰うのがほとんどで最近の休みでは施術の頻度が減った。
さくらが来てから仕事量を減らしたからだろう。あまり疲労を感じられない。
気持ちのいいマッサージも終わってオイルなど片付けていく愁弥をみると目が合った。
「なんだ?」
「2人はさ、本当に付き合ったことないの?」
「「ない」」
セルフマッサージをベッドの端でしていた総一郎も同時に否定する。
「…そう。……ねぇ…あのさ、おれたち一応今付き合ってるってことになってるしさ。……俺とキスできる?」
「え…巽?」
ベッドで一緒に寝よう、と言われた時よりも更に上の衝撃が走った。
いくらスイートをとったと言えども…いやその前に巽が大丈夫なのか。
「俺たちはお前とキスできる。でもお前は嫌だろ?なんで急にそんなことを?」
愁弥が問いかけた。
「本当にキスできる?その……このまま…誰ともセ…sex出来なかったら、ってちょっとおもって。したい訳じゃないんだけど」
「うん」
総一郎が促す。まだなにか言いたそうだった。
「2人とも俺の事知ってるし嫌なことはしないのは分かってるから…克服に付き合って貰えたらって。でも!幼馴染みで友達だし良くないよね!ごめん」
総一郎と愁弥は友達ではあるが巽に対して恋心がない訳では無い。ただ事件のことを知っているからお互い好きだなんて口に出せないだけだ。
降って湧いた話をきっかけに巽が克服していつか…。
ここまでをアイコンタクトで済ませた2人は巽の提案に乗る。
ただし
「ただし怖かったらちゃんと、突き飛ばしてもいいから…傷つかないし傷つけないから…遠慮しないで嫌だって言ってね」
「うん、ありがとう」
「どうする?今から試してみるか?帰ってからにする?」
「家だと叫んじゃったら(半田さんに知られるのが)怖いし今がいい」
「わかった。俺が先に試してもいい?巽」
「いいけどちょっと待って。俺から提案しておきながら緊張してきた…スーーハーー
総くん突き飛ばしちゃったらごめんね…」
「いいよ」
小学生の時に受けた性暴力。誕生日に起きたそれは今でも時々夢に出る。
だから大人になっても信頼関係ができている人とすら過度なスキンシップは怖い。
触られるのがすごく不快だ。
でも幼馴染みのこの2人なら…絶対に怖くない。
そう思ってた。
目を瞑ってると怖いかもしれないって言われたから目を開けて総一郎の顔が近づくのを見ていた。
にもかかわらず怖かった。
だから突き飛ばした。
息が上がる。
こわい。
触られたくない。
「巽、大丈夫だよ…何もしない…ほら手が届かない」
「ゆっくり…いつもみたいにゆっくり呼吸をしな…1 2 3 4…」
愁弥のカウントに合わせるように呼吸を整え落ち着きを取り戻す。
「…ごめん総くん」
「大丈夫だよ。今日はやめようか。でもまた試してみよう?いきなりキスは辛かっただろ?次は顔に長く触るって挑戦してみよ」
「そうだな、少しずつ慣らした方がいいだろうから」
「……ごめんね」
「気にしないで 今日は一緒に寝るのやめておく?」
「…ううん、それは大丈夫だと思う」
「触ってもいいか?」
恐る恐る、先程の恐怖心が垣間見えてしまわないかとビクビクしながら両手を伸ばして2人に触りに行くが問題なかった。
そのままいつものように川の字になって寝ても怖くない。
ほっと一息ついて天井を見上げる。
「付き合ってくれてありがとう」
「「やっとごめんじゃなくなった」」
「?」
「何回もごめんって言ってたからまたごめんって言ったら怒るところだったよ」
「次からはごめんの代わりにありがとうって言うようにしてくれよ」
まだ少し緊張していた巽だがそれもなくなり手を繋いだまま明日に備えて眠りについた。
日々疲れた体を癒してくれるのは猫と食事とマッサージ。
同じベッドに寝るようになってからもマッサージは欠かさず施されるが、そのマッサージオイルの匂いが嫌なのかいつしかさくらは巽の寝室へ来ることが無くなった。
構ってくれない訳では無いがちょっと寂しさを感じていた。
「社長、ダラダラしてないでちゃんと仕事してください」
総一郎は仕事モードだと少し当たりがきつい。彼のおかげで自らの仕事にあまり負担がかかることは無いので感謝しているが、猫に会えないことがこうも仕事に影響するのかと驚愕している今の巽にはあまり響かない。
以前社員と話していた時は「こうはならないだろう」と悠長にしていたがよもや猫がいないと力が漲らないなんて。
スマホを取り出してペットカメラを開くとそこには半田が映っていた。
「あ、半田さんだ」
マイク/スピーカー機能もあるペットカメラは今はまだマイクを繋げていないにも関わらず半田が反応した。
『巽くんかな?お仕事お疲れ様です。さくら連れてきますよ』
スマホで様子を見ようと専用アプリを開くとカメラ側が反応して点滅する仕様だ。どうやらそれで「見ている」と気づいたらしい。
さくらを連れて戻ってきた半田とマイクで繋ぐ。
「さくら何してたの?」
『探検してましたよ、さっきまで階段にいました』
「まだ探検し足りないのかな?外に出しても大丈夫だからね」
『はい 巽くん仕事頑張ってください』
さくらの手を借りてフリフリとした半田としばしの別れを告げて急いで帰ろう!と仕事に打ち込む。
さくらと寝れなくても家に帰れば構ってくれる。
そんな可愛い猫に構い尽くし嫌がられた所で手を引いた。
「日中散歩できる半田さんが羨ましい~明後日は休みだよね」
「昨日変更になったことを忘れた?残念だけど休みは先延ばし」
「社長ってこんなに疲れるんだね…放心状態でやれてた2年が久しいよ」
「俺らのサポートあってだったけどな!巽は覚えてないかもしれねぇーけど何回も壁にぶつかりそうになって最終的に俺が担いで社長室に運んだりしたんだぞ?宛ら荷物だったな 勿論社員がいない所で、だが」
「…その節はありがとうございました…」
記憶にないが総一郎が否定しないのなら本当の事なのだろう。なんてことだ。
今後はできるだけ手を借りないようにしないと社長としての威厳が…
より一層気張ろうと改める。
───
ところで社長の巽が猫を引き取ってからCROWで扱う猫用品が増えた。
鴻が動物好きだったので多種類の商品を扱っていたのだがずば抜けて猫用品が増えた。
そんなことを知るのは数の管理をしている社員くらいなものでさすがにメディアなどには把握はされていない。
贔屓だと言われないように他の種類の動物用品も増やすことにした。
昨今は自分達の子供に縁がなかった場合に動物へ愛を注ぐ事も増えた。
養子を取る人ももちろん居る。
それぞれ「育てる」というのは大変なものだ。
さくらを太らせないか心配をしていたがあの半田さんが食事管理しているのなら大丈夫かと干渉するのを南波はやめたのだった。
───
「お久しぶりですね、黒川社長。沢山見ていってください!」
「お久しぶりです、針城さん」
予定変更させられた日に向かったのは沖縄のガラス工房で、彼が作る物は特に美しく個人的にも買い付けたグラスを今も使っている。
彼の作品はお猪口ひとつで数万する。一般向けとは言えない。
今回は彼の工房で作られた弟子の作品を一般向けとして限定販売する事となったのでその為の品選びに来た。
予定変更になったのは来週には台風が来そうだからということだった。
さすがに自然には逆らえないので予定を開けるしか無かった。
作品を選ぶ為にはまず価格設定。
低くても高くても売れない。低すぎると今後弟子らが独立した時に買い叩かれる可能性がある。
将来がかかっているのだからそれ相応に値段を付けなくてはならない。
ひとつずつみて値段交渉にかかる。
粗方作品と値段のすり合わせも終わりCROW沖縄支社へ出向く。
黒川はどこの支社に行っても大歓迎だ。老若男女問わず慕い見蕩れる。
そんな眼差し等にはとうに慣れた巽達はここでも大して気に止めない。
「来週には台風ですよね、皆さんお気をつけて。備蓄品も増やしてあるので大変かと思いますがよろしくお願い致します」
社員を気遣う巽だから、歴代の社長たちだからこそ辞める理由もできない。
公務員よりもCROWに入ることの方が現在では難しい。
学歴が全てではないという教えから雇うのも大卒以上などとは決めない。
常識と知識があれば中卒でも雇い入れている。
家庭の事情など様々だからだ。
時々心配されることもあるが今のところ問題らしい問題は起きていない。
きっと他企業がやれば一瞬で潰れる策だ。CROWだからこそ成り立つ。
そうした労い等を済ませてホテルで休息を摂る。
2日滞在のち2日目の夜に帰る予定だ。
「髪乾いたか?マッサージするから脱いで」
いつものようにパンツだけを残してうつ伏せで寝転がり愁弥のマッサージを受ける。
仕事量が多い日やどこかへ出向く時にマッサージをして貰うのがほとんどで最近の休みでは施術の頻度が減った。
さくらが来てから仕事量を減らしたからだろう。あまり疲労を感じられない。
気持ちのいいマッサージも終わってオイルなど片付けていく愁弥をみると目が合った。
「なんだ?」
「2人はさ、本当に付き合ったことないの?」
「「ない」」
セルフマッサージをベッドの端でしていた総一郎も同時に否定する。
「…そう。……ねぇ…あのさ、おれたち一応今付き合ってるってことになってるしさ。……俺とキスできる?」
「え…巽?」
ベッドで一緒に寝よう、と言われた時よりも更に上の衝撃が走った。
いくらスイートをとったと言えども…いやその前に巽が大丈夫なのか。
「俺たちはお前とキスできる。でもお前は嫌だろ?なんで急にそんなことを?」
愁弥が問いかけた。
「本当にキスできる?その……このまま…誰ともセ…sex出来なかったら、ってちょっとおもって。したい訳じゃないんだけど」
「うん」
総一郎が促す。まだなにか言いたそうだった。
「2人とも俺の事知ってるし嫌なことはしないのは分かってるから…克服に付き合って貰えたらって。でも!幼馴染みで友達だし良くないよね!ごめん」
総一郎と愁弥は友達ではあるが巽に対して恋心がない訳では無い。ただ事件のことを知っているからお互い好きだなんて口に出せないだけだ。
降って湧いた話をきっかけに巽が克服していつか…。
ここまでをアイコンタクトで済ませた2人は巽の提案に乗る。
ただし
「ただし怖かったらちゃんと、突き飛ばしてもいいから…傷つかないし傷つけないから…遠慮しないで嫌だって言ってね」
「うん、ありがとう」
「どうする?今から試してみるか?帰ってからにする?」
「家だと叫んじゃったら(半田さんに知られるのが)怖いし今がいい」
「わかった。俺が先に試してもいい?巽」
「いいけどちょっと待って。俺から提案しておきながら緊張してきた…スーーハーー
総くん突き飛ばしちゃったらごめんね…」
「いいよ」
小学生の時に受けた性暴力。誕生日に起きたそれは今でも時々夢に出る。
だから大人になっても信頼関係ができている人とすら過度なスキンシップは怖い。
触られるのがすごく不快だ。
でも幼馴染みのこの2人なら…絶対に怖くない。
そう思ってた。
目を瞑ってると怖いかもしれないって言われたから目を開けて総一郎の顔が近づくのを見ていた。
にもかかわらず怖かった。
だから突き飛ばした。
息が上がる。
こわい。
触られたくない。
「巽、大丈夫だよ…何もしない…ほら手が届かない」
「ゆっくり…いつもみたいにゆっくり呼吸をしな…1 2 3 4…」
愁弥のカウントに合わせるように呼吸を整え落ち着きを取り戻す。
「…ごめん総くん」
「大丈夫だよ。今日はやめようか。でもまた試してみよう?いきなりキスは辛かっただろ?次は顔に長く触るって挑戦してみよ」
「そうだな、少しずつ慣らした方がいいだろうから」
「……ごめんね」
「気にしないで 今日は一緒に寝るのやめておく?」
「…ううん、それは大丈夫だと思う」
「触ってもいいか?」
恐る恐る、先程の恐怖心が垣間見えてしまわないかとビクビクしながら両手を伸ばして2人に触りに行くが問題なかった。
そのままいつものように川の字になって寝ても怖くない。
ほっと一息ついて天井を見上げる。
「付き合ってくれてありがとう」
「「やっとごめんじゃなくなった」」
「?」
「何回もごめんって言ってたからまたごめんって言ったら怒るところだったよ」
「次からはごめんの代わりにありがとうって言うようにしてくれよ」
まだ少し緊張していた巽だがそれもなくなり手を繋いだまま明日に備えて眠りについた。
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