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※年下バーテンダー×年上客
しおりを挟む「はぁっ、あっ!…ん、ちょっと…」
室内に響く嬌声は目の前にいる恋人にしか聞こえないがもちろんその嬌声を出している俺にも聞こえるわけで。
もう数え切れない程セックスしているというのに未だ自分の声に慣れない。
「っあっ!ん…はぁっ…んんっ…あんっ」
「章吾さん、あんま締め付けないでって」
「っ…んな事言ったって…気持ちよすぎて、身体が勝手に──あぁっ!ちょっ…ん、ばかっ!んぁっあ!啓!やめっ、、ん」
気持ち良すぎて身体が勝手に収縮するのだから仕方ないだろう。
激しくなった律動に何故だと己の発した言葉を反芻する。
犯される後孔に集中せずとも快楽が齎されるせいで何故急に恋人のテンションが上がったのかを考えることが出来ない。
「うあっ…はぁっ…ん…っ……けい…啓っ!もうイク…んぅっ───」
「───っは、章吾さん…」
「…ぅ…ん」
「…っ…」
絶頂を迎えるとキスする癖。本人は無意識らしいがそれが可愛くてたまらない。
年下の彼に犯される悦びを一般には理解されることも無いが他人の考えなんて関係ない。
「啓…少しこのままで…まだ治まんないから」
肉壁が快楽で痙攣していて中にある啓のちんこを搾り取るように締め付けてしまう。
「ぅ…2回目は?」
「しない」
「…わかりました…」
「…次の休みには何回かしような」
「!!」
折れてくれたけど、本当は1回じゃ足りないのだろうにこちらの意見をいつも最優先にしてくれる彼を愛おしく思わないわけが無い。
高校当時付き合っていた女の子とセックスができなかった時に初めて自分の性指向を疑った。
周りが皆可愛い女の子と付き合っていて自身も告白された子と付き合ってみたのだ。
その子を好きだった訳では無いが知っていけば好きになるかと思っていた。
けれどいざ本番。
全く勃たず。
「最初だし仕方ないよね」とフォローされ、その後も試したがダメでその子とは円満に別れた。
「オナニーをする時はちゃんと勃っていたのに…」
病気かもしれないからと調べるとサイトで見つけたエッセイのタイトルが気になった。
『僕はゲイだったらしい』
読んでいくと自身と同じような経験をしたと綴られていた。
"AVみて勃つのに女性を前にすると勃たない。どこかおかしいのかと病院にいくと機能的な問題はないと告げられた。医師には「もしかしたら」と仮定を聞かされた。そして気付いたのだ。AVでは女性の立場になって見ていたことに。自身は男に犯されたいと思っていることに。"
そのエッセイを見た時はありえないと見なかったことにした。
だが成人してみるとやはり女性の体に興味が湧かず、代わりに男性の体つきが気になるようになった。
受け入れ難い自身の心に抗うように男を避けていった。
男同士ふざけ合う事にすら抵抗を感じて誰とも仲良くすることもしないでいると仕事相手ともついには衝突してしまいその職場は退職することになった。
無職の間に開き直り、思い切って所謂ハッテン場に行ってみた。
そこには色んなタイプの男性が沢山いて、でも作法も何も分からないからとりあえずバーカウンターの片隅に座った。
話しかけられても全て無視する俺に店員が話しかけてきた。
「もしかしてこういう所、初めてですか?」
俺より少し若そうな店員は酒を提供しながらこっそりとアドバイスをくれる。
「…えぇ、実は。」
「それなら、さっき話しかけてきた男性は評判いいですよ。付き合っている間はしっかり恋人のことだけ見てくれるらしいです。長続きしないそうですが…それでも初めてならああいう方がいいですよ。理想は高すぎず低すぎず、ですね」
店員に聞かされた話を聞いてそれならいいかもしれないとその男性へ視線を向けていると目が合った。
彼はこちらに気づき話していた相手と別れて近づいてきた。
「ヤナギくんに何か聞いた?この子、新規の客によく俺を勧めるんだよ」
困ったものだよねと言いながらも笑う彼は本当には嫌がっていないのだろう。
「でも今回はとても嬉しい紹介だな。
さっきは聞けなかったけど、俺はシシドだ。貴方の名前は?」
「…大塚です」
「オオツカくん、あなたが良ければ私と付き合いませんか?」
まさかいきなりそんなことを言われるなんて思ってもみなかったが、店員が言うように確かに悪くない印象の人で付き合ってみることにした。
俺より年上で物腰柔らかな誠実な人だった。
ハッテン場なんて何となくヤリたいだけの集まりかと思ってたけどそうでは無いらしい。
シシドさんとバーを出て並んで歩き、よく知りもしない相手と初めてを経験するのか、なんてホテルへ向かう道中に思っていたがセックスはその日にはしなかった。
いや本当は出来なかった。
ホテルへ着くとお互いシャワーを浴びてベッドへ流れ込んだ。
俺は初めてって伝えてあったからシシドさんが色々世話をしてくれたんだ。
相当恥ずかしかったけど、まずは尻の中まで洗ってもらって、ベッドではローション塗りたくられて穴に指を突っ込まれ…
最初は特に精神的にきついだろうからって乳首をいじられたりキスしたり内腿にキスされたり…
息を上げさせられている間に、何本か指が入ったよと告げられる。自身の物が入るくらいまで広がったし挿入してもいいかと訊ねられ、俺はコクリと頷いた。
けれどやはり指は挿入ることは出来てもチンコは無理だった。
シシドさんは慣らせばそのうちできるから大丈夫だよと優しくしてくれた。
本当だろうか…。
だって!あんなの!うんこより太いんだぞ!?怖いっ!
と、まぁ、怖気付いて。
その後も何度かチャレンジしたのだがダメだった。
そして彼とは程なくして別れることにした。
新たな出会いを求めて1人でバーに行くと今度はヤナギくんから突然アプローチを受けた。
「俺と付き合いませんか?」
別れたと告げてからすぐの告白に戸惑わないわけが無い。
「シシドさんを勧めてきたのはヤナギくんだろ?」
「勧めてしまってから一目惚れしていたことに気づいたんです…惜しいことをしたなって。でも別れたと聞いたらチャンスだと思って…つい…」
しゅんとする彼に不覚にもときめいてしまった。
「ヤナギくん、俺ね、まだシシドさんとできてないんだよ。それに多分俺は受け入れる側なんだ。それでも大丈夫?」
シシドさんとホテルへ行った時にお互い一応どちらかの確認をした。
彼は相手によるらしい。
俺は分からないって伝えたら「多分君は受け入れる側だよ」なんて言ってきた。
正直疑ってしまったが、入れられるのは怖がったけど嫌ではなかったんだ。
挿入したい側はそう思うことはないらしい。
ならやっぱり俺はそっちなんだと思う。
「!まだなんですね?良かった…
あの、付き合って貰えますか?」
「ヤナギくんがいいのなら」
「!よろしくお願いします!」
それから付き合うようになって俺の心の準備と尻の準備が整った。
ヤナギくんはシシドさん以上に優しかった。
「慣れるまでいつまでも付き合います」
チャレンジする度にそう言ってくれた彼にときめき、少し無理して初めてのセックスを迎えた。
「っ、いいんですか…?辛いですよね…力入ってますし」
「いや、大丈夫…頑張るよ」
内心ビビりまくっていた。
身長はシシドさんより低いのにシシドさんと多分同じくらいの太さがあるちんこが見える。
心臓がバクバクいって張り裂けそうだし肛門も裂けてしまわないか不安だった。
「痛かったら言ってくださいね。少し力抜けますか?」
「ん………」
「そうです、そのまま…入れますね」
「っっ」
穴に宛てがわれていた亀頭がグッと入り込むのがわかった。
緩めてないと裂けやすくなると脅されていたのでどうにか力が入らないように集中してるとヤナギくんのチンコが押し進められて腹の中の圧迫感が増す。
うんこ出すときだってこんな異物感なかったぞ!?なんて変なこと考えてたらヤナギくんが「全部入りましたよ」と告げる。
四つん這いになっているからあんなデカいのがマジで
入ってんの!?と直接は確認できなかったが密着する肌でそれはわかった。
しかも本当に腹がきつい。
自覚すると腹に力を入れてしまって、それをしたのは俺なのに体がビクンと揺れた衝撃で変な声が漏れた。
「あんっ………」
自分から漏れた声だと思いたくなくて敷かれていた枕に顔を埋めるとヤナギくんの上半身がぺっとりと俺の背中にくっついた。
「んぅ」
「恥ずかしがることないですよ?俺が動いたらまたそういう声出ちゃうと思いますし」
余計恥ずかしいじゃないか。
「痛かったりしますか?もうそろそろ動いてもいいと思うんですけど」
あぁ、そうだよな。ヤナギくんとセックスしてるんだから彼も気持ちよくさせてあげなきゃ
「大丈夫…、動いていいよ。…でもゆっくりね」
「はい」
みっちり挿入しているちんこがゆっくり引き抜かれていき肛門のギリギリまで行くとまたゆっくり埋めていく。
何回かそれを繰り返し、俺は異物感に慣れて時々前立腺に彼のちんこが当たって気持ちよくて、ちんこも同時に弄られて初めての快感に射精した。
でも彼はまだだと思う。
もっと好きに動きたいだろうにもしかしたらさっき俺の言った「ゆっくり」を守ってるのだろうかと思って声をかけた。
「ヤナギくん、好きに動いていいんだよ?」
「いえ、俺は大丈夫ですよ。でもオオツカさんが行為に慣れた時は覚悟してくださいね?」
ちょっとゾクッとした。
結局ヤナギくんが射精した様子はなく、俺は初めてのセックスに疲れて寝てしまった。
起きると身体は綺麗に拭かれていたし服も着させられていた。隣にはぐっすり眠っているヤナギくん。
多分俺が寝たあとトイレとかで抜いたんだろうなと思うと申し訳ない。
初めて相手に凄く優しくて、その後も付き合って時々セックスして。本当に優しくて。
付き合っていくうちに彼は有言実行タイプだと知った。
「んんっ、ん、あっ…啓ぃ」
「章吾さんっ」
俺がセックスに慣れて体内を擦られることに快感を得られるようになった頃。
遠慮しながらもしっかりと腰を動かして抜き挿しを繰り返して向かい合った俺の表情を確認しながら啓は気持ちよくなる場所を探し攻め立てる。
繋がった所からぐちゅぐちゅぱちゅぱちゅと淫猥な音がする。
「もう、無理だってぇっ…バカになりそっ、あっ、あんぅ」
「まだ欲しいって…ここ、言ってますよ?」
啓は俺のことを知り尽くし、本当はまだ1回は出来そうだということもバレバレだった。
「でもっ」
「大丈夫です、ここは防音ですしフロア全体章吾さんの家なんですから、誰に聞かれることも無いですよ」
起きているのに意識があるのに、聞こえてくる嬌声を堪えることが出来なくなるのが嫌で抵抗する。
でも本当に嫌がることはしない彼はギリギリを攻めるのが上手い。
「章吾さんの声、もっと聴きたいです」
顔を近づけキスをしながらさらにグッと押し入れられ、俺はそれを受け入れる。
「ぅ、ふ、ぁっ」
「は、ん、はぁ…気持ちいいですか?」
「ん、きもち、いいよ…もっとして…」
優しいのは変わりないが、それでいて自分の意見も通す彼に流石、毎日客を捌いてるだけあるなと感心した。
初めはゲイであるという事自体が怖かったのにヤナギくんと付き合うようになってからはなんとも思わなくなった。
今では恋人は居るのかと聞かれたら彼氏がいるとはっきり言うし、俺の立ち上げた会社では差別発言を禁止している。
啓は変わらずバーで働いている。
常連には俺がいることは知られているし、知らない新規客に言い寄られても、俺同様彼氏がいるからと指輪を見せびらかしているそうだ。
俺の事を好きになってくれた啓、付き合っていくうちに俺も啓をすごく好きになっていった。
それに時々甘えてくるのが可愛いんだ。
「章吾さん、やっぱり2回目しませんか…?」
「…わかったよ、でも明日は早───ん、んぅ」
…甘えてくる啓に弱いのはそのうちどうにかしたいと思う。
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