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あなたの後ろに誰かいる
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私には不思議な力があった。いまはもう廃れてしまったが、いわゆる霊能力、霊を視る力があった。
これは隔世遺伝のようで、母にはその力は無く、母の母、私の祖母にあたる女性が強い霊能力を持っていたという。
霊能力の開花は私が五歳。
祖母の葬式会場だった。
「おじさんのうしろにおばあちゃまがいる」
五歳だった私は祖母の葬式に訪れた祖母の義理の息子にあたる男性を指さしたのだという。祖母は晩年再婚したのだが、再婚相手の男性には息子が一人いた。
周囲がざわりとしたのを覚えている。
「な、何を言ってるんだ」
「おばあちゃまがおこってる。すごいこわいかおしておこってる」
「嘘をつくんじゃない!!」
私は怒鳴られたが、おじさんの怒鳴り声はさほど怖くなかった。祖母の顔のほうが怖かったからだ。
「うそじゃないもん!おばあちゃまがおじさんのくびしめようとしてるもん!」
私は負けずに言い返した。
「ひっ・・!」
おじさんは自分の首を両手で触った。
「まさか・・、あんたがお母さんを殺したんか!!」
母の声が頭越しに聞こえた。
祖母は殺害され、回覧板を届けにきたご近所さんによって発見されていた。
祖母の再婚相手はもともと余命宣告されており、再婚後一年でこの世を去っている。祖母が殺されたのはさらにその一年後だった。
「し、知らん!そんな子供の戯言を信じるんか!」
「お母さんがあんたにずいぶん金貸しとる言うとった。あんたまさか・・それで」
「知らん!知らん!なんの証拠があって!だいたい金だって元は親父の金じゃけん!何が貸しとるじゃ!」
「おばあちゃまがてんじょうさがせっていってる。かめらがあるって」
「カメラ・・?」
「お母さんは用心深い人じゃったけん、監視カメラつけてたかもしれん・・」
「警察に連絡しろ!」
葬式会場は騒然となったそうだ。
けっきょく、天井に仕掛けがあり、監視カメラがついていたのだそうだ。
カメラには祖母の首を絞める男の姿があった。
おじさんは当初カメラの男は自分ではないと殺害を否定していたが、その後に玄関の天井からもカメラが発見され、こちらには顔がハッキリと映っていたそうだ。
「それ、おばあちゃまが仕掛けたん?」
私は母に訊いた。
「うーん、仕掛けは多分旦那さんじゃないかね。あの息子に財産遺したくないってうちのお母さんと再婚したくらいだから」
「・・なんだか殺され損じゃない?おばあちゃま」
「・・・どうかねえ。お母さん、再婚したあとはずいぶん楽しく生活してたから」
「楽しくかぁ・・」
そういえば、おばあちゃまの記憶はよく笑ってた顔だけだ。
「なんか複雑な気分」
「霊能力なんてあるばっかりにあまり幸せにはなれなかった人だから、再婚の一年間だけでも幸せだったのは良かったんじゃないのかねぇ」
「そんなもんかなぁ・・?・・ねえ、おばあちゃま?」
今日は祖母の命日だ。
私は祖母の墓に問いかけたが、答えは無い。
もしかしたらお墓の影で笑ってるのかもと思ったが、今の私にはそれさえも感知する力はない。
でも、私はそれでいい。いいと思っている。
私には不思議な力があった。いまはもう廃れてしまったが、いわゆる霊能力、霊を視る力があった。
これは隔世遺伝のようで、母にはその力は無く、母の母、私の祖母にあたる女性が強い霊能力を持っていたという。
霊能力の開花は私が五歳。
祖母の葬式会場だった。
「おじさんのうしろにおばあちゃまがいる」
五歳だった私は祖母の葬式に訪れた祖母の義理の息子にあたる男性を指さしたのだという。祖母は晩年再婚したのだが、再婚相手の男性には息子が一人いた。
周囲がざわりとしたのを覚えている。
「な、何を言ってるんだ」
「おばあちゃまがおこってる。すごいこわいかおしておこってる」
「嘘をつくんじゃない!!」
私は怒鳴られたが、おじさんの怒鳴り声はさほど怖くなかった。祖母の顔のほうが怖かったからだ。
「うそじゃないもん!おばあちゃまがおじさんのくびしめようとしてるもん!」
私は負けずに言い返した。
「ひっ・・!」
おじさんは自分の首を両手で触った。
「まさか・・、あんたがお母さんを殺したんか!!」
母の声が頭越しに聞こえた。
祖母は殺害され、回覧板を届けにきたご近所さんによって発見されていた。
祖母の再婚相手はもともと余命宣告されており、再婚後一年でこの世を去っている。祖母が殺されたのはさらにその一年後だった。
「し、知らん!そんな子供の戯言を信じるんか!」
「お母さんがあんたにずいぶん金貸しとる言うとった。あんたまさか・・それで」
「知らん!知らん!なんの証拠があって!だいたい金だって元は親父の金じゃけん!何が貸しとるじゃ!」
「おばあちゃまがてんじょうさがせっていってる。かめらがあるって」
「カメラ・・?」
「お母さんは用心深い人じゃったけん、監視カメラつけてたかもしれん・・」
「警察に連絡しろ!」
葬式会場は騒然となったそうだ。
けっきょく、天井に仕掛けがあり、監視カメラがついていたのだそうだ。
カメラには祖母の首を絞める男の姿があった。
おじさんは当初カメラの男は自分ではないと殺害を否定していたが、その後に玄関の天井からもカメラが発見され、こちらには顔がハッキリと映っていたそうだ。
「それ、おばあちゃまが仕掛けたん?」
私は母に訊いた。
「うーん、仕掛けは多分旦那さんじゃないかね。あの息子に財産遺したくないってうちのお母さんと再婚したくらいだから」
「・・なんだか殺され損じゃない?おばあちゃま」
「・・・どうかねえ。お母さん、再婚したあとはずいぶん楽しく生活してたから」
「楽しくかぁ・・」
そういえば、おばあちゃまの記憶はよく笑ってた顔だけだ。
「なんか複雑な気分」
「霊能力なんてあるばっかりにあまり幸せにはなれなかった人だから、再婚の一年間だけでも幸せだったのは良かったんじゃないのかねぇ」
「そんなもんかなぁ・・?・・ねえ、おばあちゃま?」
今日は祖母の命日だ。
私は祖母の墓に問いかけたが、答えは無い。
もしかしたらお墓の影で笑ってるのかもと思ったが、今の私にはそれさえも感知する力はない。
でも、私はそれでいい。いいと思っている。
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