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218. ロンド~踊る命~ -35- 百花繚乱③
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礼夏が消え、現れた道を貴之を乗せた車が走っていく。
道の脇に二台のベンツが停車しているのを高城が見つけた。
「うちの護衛車です」
走り出して五分もたたなかった。
黒岩正吾が「戻れたようですね」と一息ついて言った。
二台のベンツの側には、車から降りて周囲を伺っている男達がいた。
男達は道に突然光ったライトを訝しげに見て、それが貴之の乗るセンチュリーであることを見定めると、全員が駆けよった。
センチュリーから貴之と黒岩正吾が降りた。
「おう!心配かけたな!さあ、帰るぞ!」
貴之の豪快ないつもの声に皆、「はい!」と揃った声をあげ、各々が車に乗り込んだ。
前方の護衛車の男が携帯電話で屋敷にいる胡蝶に報告を行った。電話の向こうでは胡蝶が「よかったわ」と、安堵の声をもらした。
三台は再び惣領家への帰途についた。
山あいから太陽が昇るのが見えていた。
午前五時。
惣領家に到着すると、一心と胡蝶を筆頭に、屋敷の全員が門前に並んで貴之を出迎えた。常駐組から全ての使用人、厨房の料理人、はては庭師まで、まさに全員総出だ。
貴之は「大げさだぞ、お前ら」と笑い、一人の男に眼を止めた。弥生の兄・川原巧だ。
「巧・・」
「会長、ご無事で、ご無事でよかったです・・!」
川原巧は頭を垂れ、貴之の無事な姿を喜んだ。
「ああ、俺もお前が惣領家に来てくれて・・嬉しいぜ・・」
弥生と子供の死は自分のせいだと責任を感じ、惣領家の敷居はまたげないと、出所後は松田家の寺にいる巧。
「ここで立ち話も落ちつきませんわ。さあ、なかに入りましょう」
胡蝶の瞳がわずかに濡れている。それだけ心配をさせたのだ。
「コーヒー淹れてくれ。お前が淹れたコーヒーだ」
貴之は胡蝶の肩を軽く抱き、胡蝶は「ええ、淹れてまいりますわ」と笑顔で答えた。
一心が歩きながら貴之に、
「貴之、懐の身代わり童子を出せ」
と、言った。
貴之は懐から童子をだした。
首がもげていた。
「よく生きて戻ったな」
「俺は簡単には死なねえさ。みふゆを遺していくなんてごめんだ」
一心が苦笑いを見せた。
「青木家のことだが」
「火事のことなら知っている。・・みふゆと京司朗は火災現場に行ったのか」
「ああ。お前が行方不明ってのを知られないために、みふゆには京司朗のマンションに行ってもらった」
「・・そうか・・・」
貴之の表情が曇った。
貴之が無事に戻ったのを受け、松田家当主・松田俊也が惣領家を訪れたのは、貴之らが帰宅した三十分後だった。
さらに、みふゆと京司朗が屋敷に帰宅したのは午前八時すぎ。
京司朗だけが貴之の私室に入った。
室内には惣領家の忠臣たる家・黒岩家の当主、かつての若頭・黒岩正吾と、分家・松田家当主の松田俊也がいる。
本来なら京司朗とみふゆと二人で貴之に結婚の報告をするのが道理だが、みふゆは父・貴之にあわす顔がないと車から降りなかったのだ。
「みふゆさんとの結婚の許可を頂きたく帰って参りました」
京司朗が正座をして畳に両手をつき、貴之に頭を深く下げた。
「━━━━みふゆを抱いたのか」
「抱きました」
貴之は立ち上がると京司朗の肩を蹴とばした。
京司朗は肩に受けた衝撃に姿勢を崩したが、すぐにまた姿勢を正した。
「弱ったみふゆの気持ちにつけ込んだのか!」
貴之が激昂した。
「俺のいない間に娘に手ぇ出しやがって!!どういうつもりだ!!」
姿勢を正した京司朗は迷わず答えた。
「男として、愛してやれるのは俺だからです」
━━━━惣領貴之ではなく
京司朗は怒りに燃える貴之の瞳を真っ直ぐにとらえた。
「てめぇ・・!!」
京司朗の言葉の意味を解した貴之が豹変し、懐の短刀を素早く抜くと、刃を京司朗に向けた。
「会長!」
止めに入った黒岩が貴之に吹っ飛ばされ、障子を突き破った。
京司朗は刃から逃げることなく、短刀を握った貴之の手首を掴んだ。
「俺が死んだら彼女を守れる人間はいなくなる」
京司朗は真正面に貴之と向き合った。
自信に溢れた態度はこれまでの京司朗とは違う。
常に惣領貴之の後ろに控え、貴之の盾として生きてきた京司朗が、主人であり師であり、育ての父でもある惣領貴之を越える位置に自ら進んで立ったのだ。
貴之は掴まれた腕を振りほどいた。
「でけえ口叩きやがって・・!!」
貴之は顔を強張らせたまま自室を出ていった。
貴之のあとを黒岩が追って行った。
部屋には京司朗と松田だけが残された。
━━━━親父・・すまない
貴之の気持ちを踏みにじる言葉であることはじゅうぶんに承知していた。
しかし、言うしかなかった。
黙ったままだった松田が口を開いた。
「京司朗、お前は本当に惣領貴之の跡継ぎにふさわしい男になったな。鬼神と呼ばれた惣領貴之のな」
京司朗は正座したまま松田に向き直った。
「松田家は正式に、仙道京司朗を惣領貴之の後継者とすることに賛同しよう」
京司朗の眉がピクリと動いた。
これまで松田俊也は京司朗を惣領貴之の後継者とすることに賛同も否定もしてこなかった。胡蝶は最初から賛同の意志を公にしていたが、松田家当主の俊也は態度を保留としていた。これで松田夫妻が賛同を公とすることになり、惣領貴之の後継者問題は大きく前進をした。
「ありがとうございます」
京司朗は松田俊也にも深く頭を下げた。
「みふゆ」
貴之は池をぼんやりと眺めて佇んでいるみふゆに声をかけた。
みふゆがびくんと体を揺らし、恐る恐るゆっくり振り向いた。
「ご、ごめんなさい!!あの、つまり、・・・その・・!!」
顔を赤くしてなにかを言おうとしているみふゆに、父親としての思いを告げた。
「みふゆ、俺はお前の幸せだけを願っている」
「・・・お父さん・・」
感情的になり、屋敷に戻らず連絡もせず、『兄』になるはずの京司朗と、男女として一夜をともにしてしまった。叱られるのではないかと覚悟していたみふゆは拍子抜けした。
「京司朗は俺の跡継ぎだ。俺の他に命を張ってお前を守ってやれる唯一の男だ」
「・・若頭との結婚を・・・」
薦められている・・?お父さんは若頭とわたしの結婚を望んでいる?
「認めよう」
「・・・」
「どうした?反対されると思ったか?」
「お・・」
「?お??」
「お父さんが望むなら!・・わたし、若頭と結婚します!」
意を決したかのようにみふゆはキリッと言った。
「・・・・待て。俺が望むならって・・」
「わたし、若頭にちゃんと言ったんです・・・」
みふゆは今朝の京司朗とのやりとりを説明した。
自分が悪かったこと、『忘れてください』と申し出たこと━━━などなど。
貴之は話を聞き、驚いた顔をやがて崩して・・
大爆笑した。
「さすがは俺の娘だ!」
貴之は笑い泣きしながらみふゆの頭を撫で抱き締めた。いつものように。
「その時の京司朗の顔を見てみたかったぜ!そういやあ、おまえはのっけから京司朗をおちょくってたなあ!はーっははははははは」
「え?、いえ、あの、アイスクリームの件は決しておちょくってたわけでは・・・・・」
貴之の笑い声が響く庭に松田と黒岩がやってきた。
京司朗がそのあとを遅れてやってきた。
貴之の大爆笑に察した京司朗がみふゆをねめつけ、みふゆは目を反らし逃げ出した。京司朗が追いかけた。
貴之は松田と黒岩にも暴露し、二人も声をあげて笑った。
にぎやかな庭内に楓が屋敷から明るく顔を出した。
「ねえねえどうしたの?面白い話?」
貴之は、
「なあに、男だけの密談ってやつよ」
と、笑顔で空を仰いだ。
『わたし、結婚はする気はあまりないんです。あまりというか、ぜんぜん無いです』
貴之は秋の晴れ渡る空に、かつてのみふゆの言葉を思い出していた。
━━━━ああ、そうさ。ほんの少し夢を見ただけさ。おまえといつまでも一緒にいられる夢を・・・
夢を、見ただけさ━━━━━
礼夏が消え、現れた道を貴之を乗せた車が走っていく。
道の脇に二台のベンツが停車しているのを高城が見つけた。
「うちの護衛車です」
走り出して五分もたたなかった。
黒岩正吾が「戻れたようですね」と一息ついて言った。
二台のベンツの側には、車から降りて周囲を伺っている男達がいた。
男達は道に突然光ったライトを訝しげに見て、それが貴之の乗るセンチュリーであることを見定めると、全員が駆けよった。
センチュリーから貴之と黒岩正吾が降りた。
「おう!心配かけたな!さあ、帰るぞ!」
貴之の豪快ないつもの声に皆、「はい!」と揃った声をあげ、各々が車に乗り込んだ。
前方の護衛車の男が携帯電話で屋敷にいる胡蝶に報告を行った。電話の向こうでは胡蝶が「よかったわ」と、安堵の声をもらした。
三台は再び惣領家への帰途についた。
山あいから太陽が昇るのが見えていた。
午前五時。
惣領家に到着すると、一心と胡蝶を筆頭に、屋敷の全員が門前に並んで貴之を出迎えた。常駐組から全ての使用人、厨房の料理人、はては庭師まで、まさに全員総出だ。
貴之は「大げさだぞ、お前ら」と笑い、一人の男に眼を止めた。弥生の兄・川原巧だ。
「巧・・」
「会長、ご無事で、ご無事でよかったです・・!」
川原巧は頭を垂れ、貴之の無事な姿を喜んだ。
「ああ、俺もお前が惣領家に来てくれて・・嬉しいぜ・・」
弥生と子供の死は自分のせいだと責任を感じ、惣領家の敷居はまたげないと、出所後は松田家の寺にいる巧。
「ここで立ち話も落ちつきませんわ。さあ、なかに入りましょう」
胡蝶の瞳がわずかに濡れている。それだけ心配をさせたのだ。
「コーヒー淹れてくれ。お前が淹れたコーヒーだ」
貴之は胡蝶の肩を軽く抱き、胡蝶は「ええ、淹れてまいりますわ」と笑顔で答えた。
一心が歩きながら貴之に、
「貴之、懐の身代わり童子を出せ」
と、言った。
貴之は懐から童子をだした。
首がもげていた。
「よく生きて戻ったな」
「俺は簡単には死なねえさ。みふゆを遺していくなんてごめんだ」
一心が苦笑いを見せた。
「青木家のことだが」
「火事のことなら知っている。・・みふゆと京司朗は火災現場に行ったのか」
「ああ。お前が行方不明ってのを知られないために、みふゆには京司朗のマンションに行ってもらった」
「・・そうか・・・」
貴之の表情が曇った。
貴之が無事に戻ったのを受け、松田家当主・松田俊也が惣領家を訪れたのは、貴之らが帰宅した三十分後だった。
さらに、みふゆと京司朗が屋敷に帰宅したのは午前八時すぎ。
京司朗だけが貴之の私室に入った。
室内には惣領家の忠臣たる家・黒岩家の当主、かつての若頭・黒岩正吾と、分家・松田家当主の松田俊也がいる。
本来なら京司朗とみふゆと二人で貴之に結婚の報告をするのが道理だが、みふゆは父・貴之にあわす顔がないと車から降りなかったのだ。
「みふゆさんとの結婚の許可を頂きたく帰って参りました」
京司朗が正座をして畳に両手をつき、貴之に頭を深く下げた。
「━━━━みふゆを抱いたのか」
「抱きました」
貴之は立ち上がると京司朗の肩を蹴とばした。
京司朗は肩に受けた衝撃に姿勢を崩したが、すぐにまた姿勢を正した。
「弱ったみふゆの気持ちにつけ込んだのか!」
貴之が激昂した。
「俺のいない間に娘に手ぇ出しやがって!!どういうつもりだ!!」
姿勢を正した京司朗は迷わず答えた。
「男として、愛してやれるのは俺だからです」
━━━━惣領貴之ではなく
京司朗は怒りに燃える貴之の瞳を真っ直ぐにとらえた。
「てめぇ・・!!」
京司朗の言葉の意味を解した貴之が豹変し、懐の短刀を素早く抜くと、刃を京司朗に向けた。
「会長!」
止めに入った黒岩が貴之に吹っ飛ばされ、障子を突き破った。
京司朗は刃から逃げることなく、短刀を握った貴之の手首を掴んだ。
「俺が死んだら彼女を守れる人間はいなくなる」
京司朗は真正面に貴之と向き合った。
自信に溢れた態度はこれまでの京司朗とは違う。
常に惣領貴之の後ろに控え、貴之の盾として生きてきた京司朗が、主人であり師であり、育ての父でもある惣領貴之を越える位置に自ら進んで立ったのだ。
貴之は掴まれた腕を振りほどいた。
「でけえ口叩きやがって・・!!」
貴之は顔を強張らせたまま自室を出ていった。
貴之のあとを黒岩が追って行った。
部屋には京司朗と松田だけが残された。
━━━━親父・・すまない
貴之の気持ちを踏みにじる言葉であることはじゅうぶんに承知していた。
しかし、言うしかなかった。
黙ったままだった松田が口を開いた。
「京司朗、お前は本当に惣領貴之の跡継ぎにふさわしい男になったな。鬼神と呼ばれた惣領貴之のな」
京司朗は正座したまま松田に向き直った。
「松田家は正式に、仙道京司朗を惣領貴之の後継者とすることに賛同しよう」
京司朗の眉がピクリと動いた。
これまで松田俊也は京司朗を惣領貴之の後継者とすることに賛同も否定もしてこなかった。胡蝶は最初から賛同の意志を公にしていたが、松田家当主の俊也は態度を保留としていた。これで松田夫妻が賛同を公とすることになり、惣領貴之の後継者問題は大きく前進をした。
「ありがとうございます」
京司朗は松田俊也にも深く頭を下げた。
「みふゆ」
貴之は池をぼんやりと眺めて佇んでいるみふゆに声をかけた。
みふゆがびくんと体を揺らし、恐る恐るゆっくり振り向いた。
「ご、ごめんなさい!!あの、つまり、・・・その・・!!」
顔を赤くしてなにかを言おうとしているみふゆに、父親としての思いを告げた。
「みふゆ、俺はお前の幸せだけを願っている」
「・・・お父さん・・」
感情的になり、屋敷に戻らず連絡もせず、『兄』になるはずの京司朗と、男女として一夜をともにしてしまった。叱られるのではないかと覚悟していたみふゆは拍子抜けした。
「京司朗は俺の跡継ぎだ。俺の他に命を張ってお前を守ってやれる唯一の男だ」
「・・若頭との結婚を・・・」
薦められている・・?お父さんは若頭とわたしの結婚を望んでいる?
「認めよう」
「・・・」
「どうした?反対されると思ったか?」
「お・・」
「?お??」
「お父さんが望むなら!・・わたし、若頭と結婚します!」
意を決したかのようにみふゆはキリッと言った。
「・・・・待て。俺が望むならって・・」
「わたし、若頭にちゃんと言ったんです・・・」
みふゆは今朝の京司朗とのやりとりを説明した。
自分が悪かったこと、『忘れてください』と申し出たこと━━━などなど。
貴之は話を聞き、驚いた顔をやがて崩して・・
大爆笑した。
「さすがは俺の娘だ!」
貴之は笑い泣きしながらみふゆの頭を撫で抱き締めた。いつものように。
「その時の京司朗の顔を見てみたかったぜ!そういやあ、おまえはのっけから京司朗をおちょくってたなあ!はーっははははははは」
「え?、いえ、あの、アイスクリームの件は決しておちょくってたわけでは・・・・・」
貴之の笑い声が響く庭に松田と黒岩がやってきた。
京司朗がそのあとを遅れてやってきた。
貴之の大爆笑に察した京司朗がみふゆをねめつけ、みふゆは目を反らし逃げ出した。京司朗が追いかけた。
貴之は松田と黒岩にも暴露し、二人も声をあげて笑った。
にぎやかな庭内に楓が屋敷から明るく顔を出した。
「ねえねえどうしたの?面白い話?」
貴之は、
「なあに、男だけの密談ってやつよ」
と、笑顔で空を仰いだ。
『わたし、結婚はする気はあまりないんです。あまりというか、ぜんぜん無いです』
貴之は秋の晴れ渡る空に、かつてのみふゆの言葉を思い出していた。
━━━━ああ、そうさ。ほんの少し夢を見ただけさ。おまえといつまでも一緒にいられる夢を・・・
夢を、見ただけさ━━━━━
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