145 / 278
145. 父と娘
しおりを挟む
.
貴之は立ちつくしていた。
遠ざかる堀内の背中を眺めているしかなかった。
ピンクと白のコスモスが風に揺れている。
━━━『お父さん』と呼びたかったんじゃないのか
みふゆが何かを伝えようとしていたのは、貴之も気がついていた。
だが、『お父さん』という言葉は思いつかなかった。
よりによって堀内に指摘され、貴之は悔しかった。
気持ちがおもはゆい。
『お父さん』と呼ぼうとして呼べなかったみふゆが、ただ愛しかった。
リハビリテーション科へ向かうエレベーターの中、みふゆはひよこのぬいぐるみに顔をグリグリと押しつけていた。悶々としているのがわかる。
「お父さんって呼びたかったんじゃなくて?」
エレベーターの昇降ボタンを押した胡蝶に真意を見抜かれ、みふゆは胡蝶を見上げた。すぐにまた抱っこしているひよこに顔を埋めて「・・はい」と返事をした。貴之の喜ぶ顔が見たかったのに。
「心のなかで練習してたんですけど・・いざとなったら・・・なかなか呼べなくて・・。組長先生をお父さんと呼んでも、亡くなった青木の父を忘れることではないとわかってても・・・なんだか・・」
惣領貴之の養子になっても、青木の家族を捨てたわけじゃない。
惣領貴之を父と呼んでも、青木重弘の娘である事実を捨てたわけじゃない。
何度も何度も考えたのに、ぬぐいきれない思いがある。
みふゆはひよこのぬいぐるみに顔を埋めたまま、落ち込んでいる。
昇っていたエレベーターが止まり、ドアが開いた。
胡蝶は開閉の延長ボタンを押すと、車椅子の後ろにまわった。
「大丈夫よ。自然に言えるタイミングが必ず来るわ」
白黒と、はっきりと分けることができないのが人の心だ。こればかりは仕方がない。
胡蝶は車椅子のブレーキを外して前に進め、エレベーターを降りた。
「・・・そうでしょうか・・」
自信なさげなみふゆの声が返ってきた。
「先生と打ち合わせが終わったらソフトクリームを食べに行きましょうか」
カフェを通りすぎるとき、テーブルに運ばれるソフトクリームをじっと見ていたみふゆ。
「ソフトクリーム!?」
みふゆはガバッと顔をあげ、胡蝶を振り向いた。ニコニコと笑顔だ。
「三階にも喫茶室があるのよ。バニラとチョコと抹茶のソフトクリームがあるわ」
「抹茶!抹茶がいい!」
先ほどの落ち込みとはうって変わって、みふゆはご褒美をもらえる子供の笑顔で胡蝶を見上げた。言葉遣いも児童を思わせる。
「でもバニラもいいなあ」
みふゆの気持ちはすっかりソフトクリームにとりつかれている。
「私がバニラを頼むから一口でも二口でも交換しましょうか」
「ほんとう?!交換してくれる?やったぁ!」
みふゆは喜び、胡蝶は微笑んだ。
端々に現れる『子供』のみふゆ。
大人のみふゆであれば喜ぶにしてもこんなに素直な反応はしなかったろう。ひよこのぬいぐるみの手足を動かしひとり遊びしているみふゆの姿は、七~八歳に見える。
みふゆの印象を問われれば、いつも一歩退きつつ周囲の様子を注意深く伺っている娘━━━と、胡蝶は答えるだろう。礼儀正しさという名の壁を、常に自分と周囲との間に作っていたのが青木みふゆだ。
あれは今年の、紫陽花が美しく咲く時期だった。
貴之が松田家を訪ねてきた。
『青木みふゆ』の後見人になってほしいと頼みにきたのだ。
貴之は、青木みふゆが自分の実子であることを松田俊也・胡蝶夫妻に伝えた。すでにDNA鑑定も終えており、親子の証明は成されていた。
みふゆ本人は何も知らないことから、おりを見計らい、養子縁組を申し込むつもりだとも言った。
その上で、もしも貴之自身に何かあったとき、みふゆを支えてやってくれないかと頼まれたのだ。
松田俊也・胡蝶夫妻は、貴之の実子が現れた事実に驚愕したが、一も二も無くその場ですぐに引き受けた。
胡蝶は驚愕とともに喜びが体内を駆け巡った。
惣領貴之の血をひく娘がこの世に存在していた。たとえ母親があの水無瀬礼夏だとしてもそれがなんだというのか。
重要なのは、惣領貴之の血をひいていることだ。
みふゆの母・水無瀬礼夏は水無瀬一族の最後の当主だった。
水無瀬は、元々は祓い屋を家業とし、特に女に強い霊能力が引き継がれる一族だった。それが地位を確固たるものにしたのは、戦後『祓い屋・水無瀬』を率いた水無瀬玄州が、男でありながら特殊な力を持ち、政治・経済界に食い込んでいったからだ。水無瀬玄州は自分の力を最大限利用し、富を築き権力を得て、栄華を誇ったのだ。
そんな自らの一族を崩壊させたのが水無瀬礼夏だった。
何があったのかは知らないが、崩壊後、関わっていた全ての人間が固く口を閉ざした為、真相はわからずじまいだ。
探ろうとしたジャーナリスト二名が不可解な死をとげたせいで、生き残っているかもしれない水無瀬の報復を誰もが恐れた。
いまとなっては、『水無瀬一族』は存在したのかしなかったのかさえ怪しく思える。
『祓い屋・水無瀬』の名は、まさに瞬時に消えたのだ。
みふゆが誰かと必要以上に関わろうとしない理由も、母親から引き継いだ能力目当ての同級生たちに傷つけられた出来事やバス事故の話も、貴之から聞いている。
エレベーターを降りた胡蝶とみふゆは、渡り廊下を通りリハビリテーション科と表示されたエリアに入った。
胡蝶はリハビリテーション科 森永正とプレートのあるドアをノックし、開けた。
誰もいない。
「あら、おかしいわね・・約束の時間ピッタリなのに」
胡蝶がつぶやくと、
「胡蝶先生、森永先生なら病棟のナースステーションにいますよ。呼んできましょうか?」
理学療法士のユニフォームを着た男性が声をかけてきた。
「ありがとう。でもいいわ。私達が行くから。急な患者かもしれないし」
胡蝶が言うと男性は「わかりました。胡蝶先生が顔を見せるとみんな喜びますよ。憧れの先生ですからね」
「まあ、お世辞が上手いわね。あとで差し入れを持っていくわ」
男性は笑いながら「ラッキー!楽しみにしてますから!」と手を振って離れていった。
「大モテなんですね」
みふゆがイタズラっぽい瞳で胡蝶を見る。
「ふふ、めったに現れないせいね」
「疲れませんか?いつも押してもらって申し訳ないです。わたし、入院してからもずっと甘えっぱなしで・・。車椅子、ひとりで動かせます」
『大人』としてのみふゆが気遣う。
「大丈夫よ。あなたはひよこが逃げないようにしっかり抱っこしてらっしゃい」
胡蝶が優しく言うと、みふゆは一瞬きょとんとして、「はーい!」と笑ってひよこを抱きしめた。
大人と子供のみふゆが交互に現れる。
この先みふゆの精神状態がどこへ向かうのか胡蝶にもわからない。
ただ、みふゆが作っていた周囲との壁は、子供特有の素直さを甦らせているおかげで、うまい具合に取り払われている。京司朗にもすっかり懐いてしまったくらいだ。
胡蝶は、みふゆの本来の性質は、『人懐こい』のではないのかと考えた。生まれながらの性質は、母親譲りの能力がもたらした弊害で変質してしまった。誰かに信頼を寄せても、相手からは警戒され嫌われることを学んでしまったからだ。
警戒される前に警戒し、誰かを好くことも好かれたいと望むこともやめてしまったのだろう。
かえっていまのままのほうがみふゆにとっても良いのではないかとさえ胡蝶は思った。
そう、
幼児にまで退行することがなければ━━━━
貴之は立ちつくしていた。
遠ざかる堀内の背中を眺めているしかなかった。
ピンクと白のコスモスが風に揺れている。
━━━『お父さん』と呼びたかったんじゃないのか
みふゆが何かを伝えようとしていたのは、貴之も気がついていた。
だが、『お父さん』という言葉は思いつかなかった。
よりによって堀内に指摘され、貴之は悔しかった。
気持ちがおもはゆい。
『お父さん』と呼ぼうとして呼べなかったみふゆが、ただ愛しかった。
リハビリテーション科へ向かうエレベーターの中、みふゆはひよこのぬいぐるみに顔をグリグリと押しつけていた。悶々としているのがわかる。
「お父さんって呼びたかったんじゃなくて?」
エレベーターの昇降ボタンを押した胡蝶に真意を見抜かれ、みふゆは胡蝶を見上げた。すぐにまた抱っこしているひよこに顔を埋めて「・・はい」と返事をした。貴之の喜ぶ顔が見たかったのに。
「心のなかで練習してたんですけど・・いざとなったら・・・なかなか呼べなくて・・。組長先生をお父さんと呼んでも、亡くなった青木の父を忘れることではないとわかってても・・・なんだか・・」
惣領貴之の養子になっても、青木の家族を捨てたわけじゃない。
惣領貴之を父と呼んでも、青木重弘の娘である事実を捨てたわけじゃない。
何度も何度も考えたのに、ぬぐいきれない思いがある。
みふゆはひよこのぬいぐるみに顔を埋めたまま、落ち込んでいる。
昇っていたエレベーターが止まり、ドアが開いた。
胡蝶は開閉の延長ボタンを押すと、車椅子の後ろにまわった。
「大丈夫よ。自然に言えるタイミングが必ず来るわ」
白黒と、はっきりと分けることができないのが人の心だ。こればかりは仕方がない。
胡蝶は車椅子のブレーキを外して前に進め、エレベーターを降りた。
「・・・そうでしょうか・・」
自信なさげなみふゆの声が返ってきた。
「先生と打ち合わせが終わったらソフトクリームを食べに行きましょうか」
カフェを通りすぎるとき、テーブルに運ばれるソフトクリームをじっと見ていたみふゆ。
「ソフトクリーム!?」
みふゆはガバッと顔をあげ、胡蝶を振り向いた。ニコニコと笑顔だ。
「三階にも喫茶室があるのよ。バニラとチョコと抹茶のソフトクリームがあるわ」
「抹茶!抹茶がいい!」
先ほどの落ち込みとはうって変わって、みふゆはご褒美をもらえる子供の笑顔で胡蝶を見上げた。言葉遣いも児童を思わせる。
「でもバニラもいいなあ」
みふゆの気持ちはすっかりソフトクリームにとりつかれている。
「私がバニラを頼むから一口でも二口でも交換しましょうか」
「ほんとう?!交換してくれる?やったぁ!」
みふゆは喜び、胡蝶は微笑んだ。
端々に現れる『子供』のみふゆ。
大人のみふゆであれば喜ぶにしてもこんなに素直な反応はしなかったろう。ひよこのぬいぐるみの手足を動かしひとり遊びしているみふゆの姿は、七~八歳に見える。
みふゆの印象を問われれば、いつも一歩退きつつ周囲の様子を注意深く伺っている娘━━━と、胡蝶は答えるだろう。礼儀正しさという名の壁を、常に自分と周囲との間に作っていたのが青木みふゆだ。
あれは今年の、紫陽花が美しく咲く時期だった。
貴之が松田家を訪ねてきた。
『青木みふゆ』の後見人になってほしいと頼みにきたのだ。
貴之は、青木みふゆが自分の実子であることを松田俊也・胡蝶夫妻に伝えた。すでにDNA鑑定も終えており、親子の証明は成されていた。
みふゆ本人は何も知らないことから、おりを見計らい、養子縁組を申し込むつもりだとも言った。
その上で、もしも貴之自身に何かあったとき、みふゆを支えてやってくれないかと頼まれたのだ。
松田俊也・胡蝶夫妻は、貴之の実子が現れた事実に驚愕したが、一も二も無くその場ですぐに引き受けた。
胡蝶は驚愕とともに喜びが体内を駆け巡った。
惣領貴之の血をひく娘がこの世に存在していた。たとえ母親があの水無瀬礼夏だとしてもそれがなんだというのか。
重要なのは、惣領貴之の血をひいていることだ。
みふゆの母・水無瀬礼夏は水無瀬一族の最後の当主だった。
水無瀬は、元々は祓い屋を家業とし、特に女に強い霊能力が引き継がれる一族だった。それが地位を確固たるものにしたのは、戦後『祓い屋・水無瀬』を率いた水無瀬玄州が、男でありながら特殊な力を持ち、政治・経済界に食い込んでいったからだ。水無瀬玄州は自分の力を最大限利用し、富を築き権力を得て、栄華を誇ったのだ。
そんな自らの一族を崩壊させたのが水無瀬礼夏だった。
何があったのかは知らないが、崩壊後、関わっていた全ての人間が固く口を閉ざした為、真相はわからずじまいだ。
探ろうとしたジャーナリスト二名が不可解な死をとげたせいで、生き残っているかもしれない水無瀬の報復を誰もが恐れた。
いまとなっては、『水無瀬一族』は存在したのかしなかったのかさえ怪しく思える。
『祓い屋・水無瀬』の名は、まさに瞬時に消えたのだ。
みふゆが誰かと必要以上に関わろうとしない理由も、母親から引き継いだ能力目当ての同級生たちに傷つけられた出来事やバス事故の話も、貴之から聞いている。
エレベーターを降りた胡蝶とみふゆは、渡り廊下を通りリハビリテーション科と表示されたエリアに入った。
胡蝶はリハビリテーション科 森永正とプレートのあるドアをノックし、開けた。
誰もいない。
「あら、おかしいわね・・約束の時間ピッタリなのに」
胡蝶がつぶやくと、
「胡蝶先生、森永先生なら病棟のナースステーションにいますよ。呼んできましょうか?」
理学療法士のユニフォームを着た男性が声をかけてきた。
「ありがとう。でもいいわ。私達が行くから。急な患者かもしれないし」
胡蝶が言うと男性は「わかりました。胡蝶先生が顔を見せるとみんな喜びますよ。憧れの先生ですからね」
「まあ、お世辞が上手いわね。あとで差し入れを持っていくわ」
男性は笑いながら「ラッキー!楽しみにしてますから!」と手を振って離れていった。
「大モテなんですね」
みふゆがイタズラっぽい瞳で胡蝶を見る。
「ふふ、めったに現れないせいね」
「疲れませんか?いつも押してもらって申し訳ないです。わたし、入院してからもずっと甘えっぱなしで・・。車椅子、ひとりで動かせます」
『大人』としてのみふゆが気遣う。
「大丈夫よ。あなたはひよこが逃げないようにしっかり抱っこしてらっしゃい」
胡蝶が優しく言うと、みふゆは一瞬きょとんとして、「はーい!」と笑ってひよこを抱きしめた。
大人と子供のみふゆが交互に現れる。
この先みふゆの精神状態がどこへ向かうのか胡蝶にもわからない。
ただ、みふゆが作っていた周囲との壁は、子供特有の素直さを甦らせているおかげで、うまい具合に取り払われている。京司朗にもすっかり懐いてしまったくらいだ。
胡蝶は、みふゆの本来の性質は、『人懐こい』のではないのかと考えた。生まれながらの性質は、母親譲りの能力がもたらした弊害で変質してしまった。誰かに信頼を寄せても、相手からは警戒され嫌われることを学んでしまったからだ。
警戒される前に警戒し、誰かを好くことも好かれたいと望むこともやめてしまったのだろう。
かえっていまのままのほうがみふゆにとっても良いのではないかとさえ胡蝶は思った。
そう、
幼児にまで退行することがなければ━━━━
10
あなたにおすすめの小説
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。
すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。
だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。
イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。
変わり果てた現実を前に、
夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。
深い後悔と悲しみに苛まれながら、
失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。
しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。
贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。
そして、母の心を知っていく子供たち。
イネスが求める愛とは、
そして、幸せとは――。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
なぜ、私に関係あるのかしら?
シエル
ファンタジー
「初めまして、アシュフォード公爵家一女、セシリア・アシュフォードと申します」
彼女は、つい先日までこの国の王太子殿下の婚約者だった。
そして今日、このトレヴァント辺境伯家へと嫁いできた。
「…レオンハルト・トレヴァントだ」
非道にも自らの実妹を長年にわたり虐げ、婚約者以外の男との不適切な関係を理由に、王太子妃に不適格とされ、貴族学院の卒業式で婚約破棄を宣告された。
そして、新たな婚約者として、その妹が王太子本人から指名されたのだった。
「私は君と夫婦になるつもりはないし、辺境伯夫人として扱うこともない」
この判断によって、どうなるかなども考えずに…
※ 中世ヨーロッパ風の世界観です。
※ ご都合主義ですので、ご了承下さい、
※ 画像はAIにて作成しております
壊れていく音を聞きながら
夢窓(ゆめまど)
恋愛
結婚してまだ一か月。
妻の留守中、夫婦の家に突然やってきた母と姉と姪
何気ない日常のひと幕が、
思いもよらない“ひび”を生んでいく。
母と嫁、そしてその狭間で揺れる息子。
誰も気づきがないまま、
家族のかたちが静かに崩れていく――。
壊れていく音を聞きながら、
それでも誰かを思うことはできるのか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
