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ずいぶん深く眠ってた気がする。
ベッドの端っこで、みふゆは時計が6:30を表示してるのを目にした。
━━━━また遅くなった・・。起きないと・・
昨日避難所を手伝いに行き、一階から五階までの間を階段で上り下りしたみふゆは体がキシキシと痛んだ。
筋肉痛。特に足。太腿。
運動不足は否めない。
サボり気味だったスポーツジムも真面目に通おうとベッドのなかで決意も新たに、えいっ!と、起き上がった。
昨日揃えてもらった大量の服からジャージを選んで着替えた。
寝室のドアを静かに開ける。
京司朗も貴之ももう起きてるはずだ。昨夜も京司朗は書斎で、貴之はリビングのカウチソファで眠った。
みふゆは自分ひとりがベッドを使うのは申し訳ないと思い、交代でベッドを使おうと提案したが、すぐに却下されてしまったのだ。
寝室を出るとカタンコトンと音が聞こえた。
京司朗が朝食の準備をしているのかもと、先にキッチンへ向かった。手伝おう。
コーヒーのいい匂いがした。
かすかに・・鼻歌が聞こえる。
━━━━?鼻歌??若頭が??
みふゆは壁から目を含む顔の約半分を出してそっとのぞいた。
目と目があった。
のぞき見失敗。早朝から敗北である。
「おー、起きたか。朝飯そろそろできるぞー」
「組長先生!?」
貴之が朝食をつくっていた。
着物姿にたすき掛け。黒の前掛けを腰からつけていた。
パンは京司朗の作ってくれた、焼きたてのクルミがたっぷり入っているパンだった。
クルミのパンはみふゆの好きなパンの種類の一つだ。
「若頭は・・」
「仕事だ。さっき出ていった」
━━━━いつも忙しいのに・・。朝食のパン作りをまたさせてしまった。
「パンは京司朗だが、あとつくったのは俺だ俺。すげぇだろ?」
自画自賛の、得意気に自分を指差す貴之。みふゆは笑顔で、「はい」と答えた。
「ちょっと早いが、食うぞ」
貴之がカップにコーヒーを注いだ。
みふゆはコーヒーをトレーに乗せテーブルに運んだ。
昨日と同じ白いテーブルクロスに白の洋食器。
窓から差す太陽の光も昨日と同じだ。
けれど京司朗がいない。
みふゆは京司朗の席をみつめた。
「量が多かったら残していいぞ。俺が食べてやる」
貴之が言った。
「大丈夫です!今日も動きまわるのでしっかり食べます!」
「よーし!その意気だ」
貴之がみふゆの頭を撫でた。
塩と黒胡椒のかかっている二個の目玉焼き。添えてあるのはサッと焼いたベーコンに、アスパラ・ニンジンのソテー。
サラダはサニーレタスにアボカド、トマト、サーモン、エビのサラダ。クリームチーズのドレッシングと、レモンドレッシングが器に用意されている。
パン用にバターもある。
デザートにはブルーベリーのたくさん入ったヨーグルト。
目玉焼きは見るからに半熟の美味しそうな気配がする。
「いただきます!目玉焼き、久しぶりです」
「目玉焼きは自分じゃ焼かねえのか?」
「焼くんですけど下手なんです。いつも凄く固くなってしまって、思い通りにいかなくて」
目玉焼きにフォークの先で切れ目を入れると、黄身がやわらかに割れた。
「どうだ?俺は黄身がトロッと流れ出すんじゃない、このくらいの半熟加減が好きなんだ。俺と同じにしちまったが」
「美味しいです!すごくいいです!わたしもこの半熟具合を目指すんですがいつも通り越して固くなるんです」
「タイミングが掴めないか」
「はい。でも組長先生も料理をするなんて知りませんでした」
「俺は調理師免許も持ってるからな」
「いったいいくつ免許持ってるんですか?」
「そうだな、覚えてねえな、はははは」
貴之との二人きりの朝食は、考えてみたら初めてだ。
貴之は懸命にみふゆに話しかけて面白い話題を提供してくれた。
二人だけだったが、楽しい朝食だった。
「あと片付けはわたしがします」
みふゆが食器を持ってキッチンに向かうと、貴之はコーヒーを飲みながら「ああ、頼むぜ」と答えた。
後片付けが終わるとソファに移った貴之が
「プラザまでは桐島と俺が送る」
と言った。
「━━はい」
少しだけみふゆの返事に間があり、「お願いします」と言い添えた。
そうだ。昨日、駅前プラザまで送ると言っていた京司朗はいないのだ。
残念に思う気持ち、寂しさがよぎった。
「桐島が迎えにくるまでコーヒーつきあってくれ」
と貴之が言った。
みふゆはすぐに笑顔で「はい」と答えた。京司朗への気持ちには蓋をした。
新聞を読み終えた貴之に、みふゆは
「お屋敷でもお料理つくったりするんですか?」と聞いた。
「屋敷にゃ料理人がいる。料理は料理人の仕事だ。奴等の仕事をとる真似はしねぇさ。京司朗は俺やガキどもにせがまれて作ったりするがな」
「あ!ピザとか?」
「ははは。そうだな。ピザやスパゲッティ、パスタ類は京司朗が一番だ。俺もまさかここまで腕をあげるとは教え始めた頃は思わなかった」
「組長先生が教えたんですか?」
「ああ。仙道家に引きとられる前、一ヶ月くらいか、京司朗は俺と暮らしていた。両親が死んだばかりであいつは一言も誰とも口をきかなかった。学校にも行かなかった。だからメシの作り方を教えた。人間の基礎は食うことだからな。生命の基礎だ」
「生命の・・基礎」
「最初は強制的に命令で動かした。聞かなかったがな。だから初めのうちはよくぶん殴ったもんよ。そのうち、体が料理を作る動きに慣れてきた。習慣化できたんだな。作れるようになると、今度は自分から進んで作るようになった。仙道家に引きとられるのが正式に決まった時にも、週三回は俺のところに来て夕飯を作るように約束をさせた。奴はきっちり約束を守った」
遠い過去を懐かしむ貴之の表情は、みふゆに向ける優しい顔と同じだ。
どんなに京司朗を大切に思っているのかがわかる。
以前、事情があって仙道家の養子になったと言っていた。年齢的に考えると貴之が刑務所を出所したあとの話になる。刑務所にいたのが問題になったんだろうか。
「・・」
「仙道家に預けたのは俺の元にいるより奴の人生に選択の幅が拡がるからだ」
「選択の幅?」
「俺が奴を後取りとして育てたのは間違いねえが、もしも奴が他の生き方を選んだときに生きやすいようにしたかったのさ」
「・・・・」
━━━━なんて深くて広い愛情・・
「みふゆ、俺はお前にもそうしてやりたい」
「え、わたし・・?ですか・・?」
「俺はお前がしたいことなら、望むものならなんでもさせてやりたい。今まで出来なかったこと、これからしたいこともたくさん出てくるだろう。どんなことでも全て叶えてやりたい。だからお前の心の中をちゃんと見せてくれ」
みふゆの欲しかったものはいつだって家族だった。帰っていい場所だった。迎えてくれる家族だった。
一番欲しいものを貴之は与えてくれた。
みふゆを一番愛してくれているのは貴之だ。
だからみふゆにとっても一番は貴之でなくてはならない。
「・・あの・・・、」
「なんだ?」
「・・・元気でいてください・・」
「元気?」
「く、組長先生が・・元気でいてくれたらそれで・・・いいです」
「・・そうか、そうだな。安心しろ。お前を・・・勝手においていったりはしねぇからよ」
みふゆは頷いた。何度も何度も頷いた。
「京司朗とはうまくやっていけそうか?」
ふいをつかれた質問にみふゆはドキリとした。
「お前はもう法的にも俺の娘になった。あとは京司朗だけだ。この災害が落ち着いたら正式にあいつも養子に迎える」
━━━━若頭がホントにお兄さんになる・・
「・・・カッコいいお兄さんができるの嬉しいです。妹としてうまくやっていけると思っています」
━━━━兄として接していけばいい。最初からそれしかなかったはずだ。
「そうか、安心したぜ」
貴之はみふゆの側に座りなおした。そして、
「俺はいつだってお前のことを一番に大事にしている。それを忘れるなよ」
「はい」
━━━━わたしを一番に思ってくれるひとがここにいる。だから・・・
こうして、みふゆは京司朗に対して沸き上がる想いの全てを、妹としての兄への愛情にすり替えていった。
ずいぶん深く眠ってた気がする。
ベッドの端っこで、みふゆは時計が6:30を表示してるのを目にした。
━━━━また遅くなった・・。起きないと・・
昨日避難所を手伝いに行き、一階から五階までの間を階段で上り下りしたみふゆは体がキシキシと痛んだ。
筋肉痛。特に足。太腿。
運動不足は否めない。
サボり気味だったスポーツジムも真面目に通おうとベッドのなかで決意も新たに、えいっ!と、起き上がった。
昨日揃えてもらった大量の服からジャージを選んで着替えた。
寝室のドアを静かに開ける。
京司朗も貴之ももう起きてるはずだ。昨夜も京司朗は書斎で、貴之はリビングのカウチソファで眠った。
みふゆは自分ひとりがベッドを使うのは申し訳ないと思い、交代でベッドを使おうと提案したが、すぐに却下されてしまったのだ。
寝室を出るとカタンコトンと音が聞こえた。
京司朗が朝食の準備をしているのかもと、先にキッチンへ向かった。手伝おう。
コーヒーのいい匂いがした。
かすかに・・鼻歌が聞こえる。
━━━━?鼻歌??若頭が??
みふゆは壁から目を含む顔の約半分を出してそっとのぞいた。
目と目があった。
のぞき見失敗。早朝から敗北である。
「おー、起きたか。朝飯そろそろできるぞー」
「組長先生!?」
貴之が朝食をつくっていた。
着物姿にたすき掛け。黒の前掛けを腰からつけていた。
パンは京司朗の作ってくれた、焼きたてのクルミがたっぷり入っているパンだった。
クルミのパンはみふゆの好きなパンの種類の一つだ。
「若頭は・・」
「仕事だ。さっき出ていった」
━━━━いつも忙しいのに・・。朝食のパン作りをまたさせてしまった。
「パンは京司朗だが、あとつくったのは俺だ俺。すげぇだろ?」
自画自賛の、得意気に自分を指差す貴之。みふゆは笑顔で、「はい」と答えた。
「ちょっと早いが、食うぞ」
貴之がカップにコーヒーを注いだ。
みふゆはコーヒーをトレーに乗せテーブルに運んだ。
昨日と同じ白いテーブルクロスに白の洋食器。
窓から差す太陽の光も昨日と同じだ。
けれど京司朗がいない。
みふゆは京司朗の席をみつめた。
「量が多かったら残していいぞ。俺が食べてやる」
貴之が言った。
「大丈夫です!今日も動きまわるのでしっかり食べます!」
「よーし!その意気だ」
貴之がみふゆの頭を撫でた。
塩と黒胡椒のかかっている二個の目玉焼き。添えてあるのはサッと焼いたベーコンに、アスパラ・ニンジンのソテー。
サラダはサニーレタスにアボカド、トマト、サーモン、エビのサラダ。クリームチーズのドレッシングと、レモンドレッシングが器に用意されている。
パン用にバターもある。
デザートにはブルーベリーのたくさん入ったヨーグルト。
目玉焼きは見るからに半熟の美味しそうな気配がする。
「いただきます!目玉焼き、久しぶりです」
「目玉焼きは自分じゃ焼かねえのか?」
「焼くんですけど下手なんです。いつも凄く固くなってしまって、思い通りにいかなくて」
目玉焼きにフォークの先で切れ目を入れると、黄身がやわらかに割れた。
「どうだ?俺は黄身がトロッと流れ出すんじゃない、このくらいの半熟加減が好きなんだ。俺と同じにしちまったが」
「美味しいです!すごくいいです!わたしもこの半熟具合を目指すんですがいつも通り越して固くなるんです」
「タイミングが掴めないか」
「はい。でも組長先生も料理をするなんて知りませんでした」
「俺は調理師免許も持ってるからな」
「いったいいくつ免許持ってるんですか?」
「そうだな、覚えてねえな、はははは」
貴之との二人きりの朝食は、考えてみたら初めてだ。
貴之は懸命にみふゆに話しかけて面白い話題を提供してくれた。
二人だけだったが、楽しい朝食だった。
「あと片付けはわたしがします」
みふゆが食器を持ってキッチンに向かうと、貴之はコーヒーを飲みながら「ああ、頼むぜ」と答えた。
後片付けが終わるとソファに移った貴之が
「プラザまでは桐島と俺が送る」
と言った。
「━━はい」
少しだけみふゆの返事に間があり、「お願いします」と言い添えた。
そうだ。昨日、駅前プラザまで送ると言っていた京司朗はいないのだ。
残念に思う気持ち、寂しさがよぎった。
「桐島が迎えにくるまでコーヒーつきあってくれ」
と貴之が言った。
みふゆはすぐに笑顔で「はい」と答えた。京司朗への気持ちには蓋をした。
新聞を読み終えた貴之に、みふゆは
「お屋敷でもお料理つくったりするんですか?」と聞いた。
「屋敷にゃ料理人がいる。料理は料理人の仕事だ。奴等の仕事をとる真似はしねぇさ。京司朗は俺やガキどもにせがまれて作ったりするがな」
「あ!ピザとか?」
「ははは。そうだな。ピザやスパゲッティ、パスタ類は京司朗が一番だ。俺もまさかここまで腕をあげるとは教え始めた頃は思わなかった」
「組長先生が教えたんですか?」
「ああ。仙道家に引きとられる前、一ヶ月くらいか、京司朗は俺と暮らしていた。両親が死んだばかりであいつは一言も誰とも口をきかなかった。学校にも行かなかった。だからメシの作り方を教えた。人間の基礎は食うことだからな。生命の基礎だ」
「生命の・・基礎」
「最初は強制的に命令で動かした。聞かなかったがな。だから初めのうちはよくぶん殴ったもんよ。そのうち、体が料理を作る動きに慣れてきた。習慣化できたんだな。作れるようになると、今度は自分から進んで作るようになった。仙道家に引きとられるのが正式に決まった時にも、週三回は俺のところに来て夕飯を作るように約束をさせた。奴はきっちり約束を守った」
遠い過去を懐かしむ貴之の表情は、みふゆに向ける優しい顔と同じだ。
どんなに京司朗を大切に思っているのかがわかる。
以前、事情があって仙道家の養子になったと言っていた。年齢的に考えると貴之が刑務所を出所したあとの話になる。刑務所にいたのが問題になったんだろうか。
「・・」
「仙道家に預けたのは俺の元にいるより奴の人生に選択の幅が拡がるからだ」
「選択の幅?」
「俺が奴を後取りとして育てたのは間違いねえが、もしも奴が他の生き方を選んだときに生きやすいようにしたかったのさ」
「・・・・」
━━━━なんて深くて広い愛情・・
「みふゆ、俺はお前にもそうしてやりたい」
「え、わたし・・?ですか・・?」
「俺はお前がしたいことなら、望むものならなんでもさせてやりたい。今まで出来なかったこと、これからしたいこともたくさん出てくるだろう。どんなことでも全て叶えてやりたい。だからお前の心の中をちゃんと見せてくれ」
みふゆの欲しかったものはいつだって家族だった。帰っていい場所だった。迎えてくれる家族だった。
一番欲しいものを貴之は与えてくれた。
みふゆを一番愛してくれているのは貴之だ。
だからみふゆにとっても一番は貴之でなくてはならない。
「・・あの・・・、」
「なんだ?」
「・・・元気でいてください・・」
「元気?」
「く、組長先生が・・元気でいてくれたらそれで・・・いいです」
「・・そうか、そうだな。安心しろ。お前を・・・勝手においていったりはしねぇからよ」
みふゆは頷いた。何度も何度も頷いた。
「京司朗とはうまくやっていけそうか?」
ふいをつかれた質問にみふゆはドキリとした。
「お前はもう法的にも俺の娘になった。あとは京司朗だけだ。この災害が落ち着いたら正式にあいつも養子に迎える」
━━━━若頭がホントにお兄さんになる・・
「・・・カッコいいお兄さんができるの嬉しいです。妹としてうまくやっていけると思っています」
━━━━兄として接していけばいい。最初からそれしかなかったはずだ。
「そうか、安心したぜ」
貴之はみふゆの側に座りなおした。そして、
「俺はいつだってお前のことを一番に大事にしている。それを忘れるなよ」
「はい」
━━━━わたしを一番に思ってくれるひとがここにいる。だから・・・
こうして、みふゆは京司朗に対して沸き上がる想いの全てを、妹としての兄への愛情にすり替えていった。
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