【本編完結】繚乱ロンド

由宇ノ木

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37. 反省と戒め (1)

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組長先生から、再びブルーベリーの収穫のお誘いがあり、邪魔にならなければ伺いたいとお返事をした。ブルーベリー以外でも、プルーンや桃、葡萄、トウモロコシ、秋は栗や柿の収穫があるそうだ。

今回は、途中から黒岩さんと奥様の楓さんが一緒に収穫を手伝ってくれた。本当は若頭がいるはずだったが、仕事でまた海外に行ってしまったとベリー君が教えてくれた。

ベリー君はとても残念そうだった。

黒岩さん達がくるまで、ベリー君は若頭がどんなに周囲の人間を大切にしているかを話してくれた。それは立場の上下に関わらず、尊重してくれているのだという。

「ベリー君は若頭が大好きなんだね」
「はい。憧れてます。若頭のように器のデカイ男になりたいです。・・・みふゆさんは若頭のことどう思いますか?」

聞かれて、わたしはドキリとした。

「・・・よくわからない・・かな?普段、そんなに接してるわけではないし」
若頭はわたしをなんか疑ってるしな。

「あ、そうですね。これからですもんね」

「・・、そうだね」
言えない。すでに亀裂が入ってるっぽいことを。

でも例え亀裂が入ってるっぽくても、会ったら笑顔で世間話ができるのが大人の対応だ。
そうだ、わたしはこれからよりいっそう大人になろう。
次に帰ってきて、また会うことがあったら、ニッコリ笑って世間話できるくらいには。

三十分たった頃、ジャージ姿の黒岩さんと楓さんが現れた。
グレーのジャージが黒岩さん。
赤みが強いピンクのジャージの楓さん。
二人とも背が高い。黒岩さんは180くらいありそうだし、楓さんも170近いように見える。


「やっぱり女の子がいるっていいわあ。いつもだったら野郎どもに囲まれて一人ぽつんとひたすら収穫だもの」

楓さんは、わたしがお寺に連れていかれて各会派の代表様と顔合わせのようなことをされた日、着物の着付けをしてくれた女性ひとだ。
組長先生の姪にあたる人でもある。

普段、周りに女の人がほとんどいないので、話相手が欲しいと言って、以来、仲良くさせてもらっている。
お屋敷ここにお花を配達にきた時など、よく話をしている。


今日もこのあと、朝食をごちそうになったら着物を選ぶことになっている。松田さんのお茶会に呼ばれたからだ。
組長先生の話だと、『お礼』だそうで、わたしが背中をポンポンと祓った意味に気づいたらしい。気づくの早い。

『着付けは楓がやってくれる。着物はうちで何枚か用意するから、嬢ちゃん好きなの選んでくれや』

どちらかというと、着物は柄を観るのが好きだ。
絵画を鑑賞するのと同じだ。
反物や帯の織りや絵付け、かんざしの細工など、日本の伝統美をいつかじっくりみてみたいと思っていた。


女二人でいろいろ話していたが、楓さんはなぜか突拍子もないことを言い出した。

「そーだ!みふゆちゃん、会長の子になっちゃいなさいよ!会長だってきっと大喜びよ!」

突然の台詞にわたしは困惑した。

「え?い、いえ、あの」
「うちの会長嫌い?」
「いえ、決してそんな」
「そうよねー?!」
楓さんは押しが強い。なんか、花屋の社長の奥さんに似てる感がある。

「楓、無責任なこと言うんじゃねえ」

黒岩さん、ナイスフォロー。

「・・・そうか、そうよね、なんたってうちはアレな家だもんね。一昔前はうちの敵はおまわりさんだったもんね」

「・・・」
いまもたいして変わらないのでは・・?
組長先生が花屋に来てる時、ほぼ、必ずと言っていいほどパトカーの姿もみかける。通りすがるようにグルグルと店の周辺を回ってるような・・・。

「でもね、うちはいろんな事業を展開していまや日本のトップ企業になりつつあるのよ!将来有望よ!」
「ぞ、存じ上げております」
花屋の社長からもベリー君からも聞いております。
「あ、そうだわ!うちの京司朗の嫁になるってどお?」

なぜそこに考えが至るのか。




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