3 / 14
03. 地位
しおりを挟む
.
「きれいなひとよ。抱いてあげなさい」
伊佐山は返事をしなかった。
「そしてちゃんとイかせてあげなさい。貴方に夢中になるように。人生最後の時間を幸せにしてあげなさい」
これが14の娘の言うセリフか━━━
「女1人、満足させられない男ならわたしも要らないわ。そうね、貴方をボディーガードにするための試験とも思ってちょうだい。期限は一ヶ月よ。一ヶ月以内にわたしの前に連れてきて」
無言を貫きたかったが、伊佐山は「承知いたしました」と答えた。
伊佐山との対話が終わると、風見順は御簾を下ろした。
礼夏はひとつため息を吐くと扇を開いて顔を半分隠しあくびをした。そして思い出したように、
「そうだわ、坂田。お前、玄州様の御殿をはじめ、あちらこちらで異変が現れたことには気づいていて?」
「は、・・異変でございますか?」
坂田はやや間をおいて礼夏に聞き返した。
「お前が気づいていないなど言わせないわよ。顔をあげなさい」
礼夏は平伏したままの坂田を見下ろしているが、坂田は顔をあげる気配はない。礼夏は風見を呼んだ。
「順、坂田はわたしの声が聞こえないみたいよ」
風見は御簾のなかから出て、坂田のすぐそばまで行き背広の上襟とワイシャツの後ろ台襟を掴んだ。力づくで坂田の顔をあげようとしたのだ。坂田は慌てて、
「存じ上げております!存じ上げております!!異変は知世様がお亡くなりになりまもなく起きております!」
と叫んだ。
「そうよ。どう判断したの」
「・・・結界が綻びてると判断し、現在玄州様が抑え込んでおります」
玄州様━━━水無瀬玄州。水無瀬一族を統率する最高指導者・統率者であり、一族で最も高い霊能力を持つ。玄州は、近年体調を崩しがちで、公的な場所にはほとんど姿を現していない。既に90歳を越えているはずの玄州は、姿が若いままだと言われ、不老不死ではないかとも囁かれていた。
「━━━愚かね」
礼夏は辛辣な声を坂田に投げつけた。
「綻びてるのではないわ」
礼夏の言葉を聞き、坂田は一瞬顔をあげたがすぐにひれ伏した。
礼夏の御簾の向こう側の瞳が坂田をとらえているのだ。
「では、では、何故・・・」
「四隅に立たれている方々がお怒りになってるからよ」
坂田は何も言えなくなってしまった。
玄州からはそのような話など聞いていない。
「玄州様はそのようなことは一言も・・・!」
「ならば玄州様は能力が衰えているのかもね。仕方ないわ90を過ぎてるんだもの。近年体調も崩しぎみだし。どちらにせよ、写真の女はお怒りをおさめるために人柱として使うわ。伊佐山、うまくやりなさい。わかったわね?」
伊佐山は「はい。必ず」と答えた。
礼夏は伊佐山の返答を聞くと、持っていた扇をパシンと畳んだ。
「ご当主様、ご退出でございます」
礼夏の脇に控えていた巫女の姿をした女がリーンリーンリーンと鈴を三回鳴らす。御簾の内の扉が両開きに開いた。
風見順が礼夏の手を取り、礼夏は立ち上がった。
「お、お待ち下さい、礼夏様。ご挨拶をしたいと申す者が二名ほどおります。どちらもこの国の命運を握る政治家でございます。どうかご挨拶をお受けください」
ひれ伏したままの坂田が言った。
「聞いてないわ。今日は当主として水無瀬一族への挨拶と伊佐山への宿題をひとつ出して終わりよ」
礼夏は坂田を一瞥すらしない。
「しかしこの二人は今後も我ら一族にとりまして重要な人物になるのは間違いなく」
坂田が食い下がろうとする。
「黙りなさい!」
礼夏は手にしていた扇を坂田に投げつけた。坂田は御簾の外側で平伏していたため、坂田に扇が当たることはなかった。扇は御簾を揺らし、内側にパタリと落ちた。礼夏の手を取っていた風見順が拾った。
「お前達に言っておくわ。わたしは当主に立った以上は一族に責任を持つわ。その覚悟があったからこそ当主という重い立場を引き受けたのよ。それを忘れないでもらいたいわね」
礼夏は御簾の向こう側にいる、平伏したままの一族の代表格達に言い放った。
「坂田本部長、礼夏様はご当主になられたばかりです。心身のご負担を少しは考えたらどうですか」
風見は侮蔑の視線を坂田に落とし、拾った扇を礼夏に渡した。風見は再び礼夏の手を取った。「参りましょう」と言うと、礼夏が頷きゆっくりと前に進んだ。風見は巫女から差し出された鈴を受け取り、扉を開けた二名の巫女がそれぞれに鈴を鳴らした。
リーン、リーン、シャンシャンシャン・・・
リーン、リーン、シャンシャンシャン・・・
礼夏が足を進めた。
礼夏が前に進むと、風見は後ろで両手に持った二種類の鈴を鳴らした。
リーン、リーン、シャンシャンシャン・・・
リーン、リーン、シャンシャンシャン・・・
鈴の音色は波紋となり、拡大しては空に溶け、拡大しては空に溶けを繰り返す。溶けた鈴の音色は礼夏の周囲を纏い、礼夏は鈴の音色に守られるように歩いてゆく。
巫女が礼夏の座っていた中央の座に丸い水晶を鎮座させてから扉を閉めた。
御簾のなかから誰もいなくなった。
鈴の音だけが平伏している水無瀬一族と坂田の耳に聞こえていた。
「きれいなひとよ。抱いてあげなさい」
伊佐山は返事をしなかった。
「そしてちゃんとイかせてあげなさい。貴方に夢中になるように。人生最後の時間を幸せにしてあげなさい」
これが14の娘の言うセリフか━━━
「女1人、満足させられない男ならわたしも要らないわ。そうね、貴方をボディーガードにするための試験とも思ってちょうだい。期限は一ヶ月よ。一ヶ月以内にわたしの前に連れてきて」
無言を貫きたかったが、伊佐山は「承知いたしました」と答えた。
伊佐山との対話が終わると、風見順は御簾を下ろした。
礼夏はひとつため息を吐くと扇を開いて顔を半分隠しあくびをした。そして思い出したように、
「そうだわ、坂田。お前、玄州様の御殿をはじめ、あちらこちらで異変が現れたことには気づいていて?」
「は、・・異変でございますか?」
坂田はやや間をおいて礼夏に聞き返した。
「お前が気づいていないなど言わせないわよ。顔をあげなさい」
礼夏は平伏したままの坂田を見下ろしているが、坂田は顔をあげる気配はない。礼夏は風見を呼んだ。
「順、坂田はわたしの声が聞こえないみたいよ」
風見は御簾のなかから出て、坂田のすぐそばまで行き背広の上襟とワイシャツの後ろ台襟を掴んだ。力づくで坂田の顔をあげようとしたのだ。坂田は慌てて、
「存じ上げております!存じ上げております!!異変は知世様がお亡くなりになりまもなく起きております!」
と叫んだ。
「そうよ。どう判断したの」
「・・・結界が綻びてると判断し、現在玄州様が抑え込んでおります」
玄州様━━━水無瀬玄州。水無瀬一族を統率する最高指導者・統率者であり、一族で最も高い霊能力を持つ。玄州は、近年体調を崩しがちで、公的な場所にはほとんど姿を現していない。既に90歳を越えているはずの玄州は、姿が若いままだと言われ、不老不死ではないかとも囁かれていた。
「━━━愚かね」
礼夏は辛辣な声を坂田に投げつけた。
「綻びてるのではないわ」
礼夏の言葉を聞き、坂田は一瞬顔をあげたがすぐにひれ伏した。
礼夏の御簾の向こう側の瞳が坂田をとらえているのだ。
「では、では、何故・・・」
「四隅に立たれている方々がお怒りになってるからよ」
坂田は何も言えなくなってしまった。
玄州からはそのような話など聞いていない。
「玄州様はそのようなことは一言も・・・!」
「ならば玄州様は能力が衰えているのかもね。仕方ないわ90を過ぎてるんだもの。近年体調も崩しぎみだし。どちらにせよ、写真の女はお怒りをおさめるために人柱として使うわ。伊佐山、うまくやりなさい。わかったわね?」
伊佐山は「はい。必ず」と答えた。
礼夏は伊佐山の返答を聞くと、持っていた扇をパシンと畳んだ。
「ご当主様、ご退出でございます」
礼夏の脇に控えていた巫女の姿をした女がリーンリーンリーンと鈴を三回鳴らす。御簾の内の扉が両開きに開いた。
風見順が礼夏の手を取り、礼夏は立ち上がった。
「お、お待ち下さい、礼夏様。ご挨拶をしたいと申す者が二名ほどおります。どちらもこの国の命運を握る政治家でございます。どうかご挨拶をお受けください」
ひれ伏したままの坂田が言った。
「聞いてないわ。今日は当主として水無瀬一族への挨拶と伊佐山への宿題をひとつ出して終わりよ」
礼夏は坂田を一瞥すらしない。
「しかしこの二人は今後も我ら一族にとりまして重要な人物になるのは間違いなく」
坂田が食い下がろうとする。
「黙りなさい!」
礼夏は手にしていた扇を坂田に投げつけた。坂田は御簾の外側で平伏していたため、坂田に扇が当たることはなかった。扇は御簾を揺らし、内側にパタリと落ちた。礼夏の手を取っていた風見順が拾った。
「お前達に言っておくわ。わたしは当主に立った以上は一族に責任を持つわ。その覚悟があったからこそ当主という重い立場を引き受けたのよ。それを忘れないでもらいたいわね」
礼夏は御簾の向こう側にいる、平伏したままの一族の代表格達に言い放った。
「坂田本部長、礼夏様はご当主になられたばかりです。心身のご負担を少しは考えたらどうですか」
風見は侮蔑の視線を坂田に落とし、拾った扇を礼夏に渡した。風見は再び礼夏の手を取った。「参りましょう」と言うと、礼夏が頷きゆっくりと前に進んだ。風見は巫女から差し出された鈴を受け取り、扉を開けた二名の巫女がそれぞれに鈴を鳴らした。
リーン、リーン、シャンシャンシャン・・・
リーン、リーン、シャンシャンシャン・・・
礼夏が足を進めた。
礼夏が前に進むと、風見は後ろで両手に持った二種類の鈴を鳴らした。
リーン、リーン、シャンシャンシャン・・・
リーン、リーン、シャンシャンシャン・・・
鈴の音色は波紋となり、拡大しては空に溶け、拡大しては空に溶けを繰り返す。溶けた鈴の音色は礼夏の周囲を纏い、礼夏は鈴の音色に守られるように歩いてゆく。
巫女が礼夏の座っていた中央の座に丸い水晶を鎮座させてから扉を閉めた。
御簾のなかから誰もいなくなった。
鈴の音だけが平伏している水無瀬一族と坂田の耳に聞こえていた。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
【本編完結】繚乱ロンド
由宇ノ木
ライト文芸
番外編は時系列順ではありません。
更新日 2/12 『受け継ぐ者』
更新日 2/4 『秘密を持って生まれた子 3』(全3話)
02/01『秘密を持って生まれた子 2』
01/23『秘密を持って生まれた子 1』
01/18『美之の黒歴史 5』(全5話)
12/30『とわずがたり~思い出を辿れば~2,3』
12/25『とわずがたり~思い出を辿れば~1 』
本編は完結。番外編を不定期で更新。
11/11~11/19『夫の疑問、妻の確信1~3』
10/12 『いつもあなたの幸せを。』
9/14 『伝統行事』
8/24 『ひとりがたり~人生を振り返る~』
お盆期間限定番外編 8月11日~8月16日まで
『日常のひとこま』は公開終了しました。
7/31 『恋心』・・・本編の171、180、188話にチラッと出てきた京司朗の自室に礼夏が現れたときの話です。
6/18 『ある時代の出来事』
-本編大まかなあらすじ-
*青木みふゆは23歳。両親も妹も失ってしまったみふゆは一人暮らしで、花屋の堀内花壇の支店と本店に勤めている。花の仕事は好きで楽しいが、本店勤務時は事務を任されている二つ年上の林香苗に妬まれ嫌がらせを受けている。嫌がらせは徐々に増え、辟易しているみふゆは転職も思案中。
林香苗は堀内花壇社長の愛人でありながら、店のお得意様の、裏社会組織も持つといわれる惣領家の当主・惣領貴之がみふゆを気に入ってかわいがっているのを妬んでいるのだ。
そして、惣領貴之の懐刀とされる若頭・仙道京司朗も海外から帰国。みふゆが貴之に取り入ろうとしているのではないかと、京司朗から疑いをかけられる。
みふゆは自分の微妙な立場に悩みつつも、惣領貴之との親交を深め養女となるが、ある日予知をきっかけに高熱を出し年齢を退行させてゆくことになる。みふゆの心は子供に戻っていってしまう。
令和5年11/11更新内容(最終回)
*199. (2)
*200. ロンド~踊る命~ -17- (1)~(6)
*エピローグ ロンド~廻る命~
本編最終回です。200話の一部を199.(2)にしたため、199.(2)から最終話シリーズになりました。
※この物語はフィクションです。実在する団体・企業・人物とはなんら関係ありません。架空の町が舞台です。
現在の関連作品
『邪眼の娘』更新 令和7年1/25
『月光に咲く花』(ショートショート)
以上2作品はみふゆの母親・水無瀬礼夏(青木礼夏)の物語。
『恋人はメリーさん』(主人公は京司朗の後輩・東雲結)
『繚乱ロンド』の元になった2作品
『花物語』に入っている『カサブランカ・ダディ(全五話)』『花冠はタンポポで(ショートショート)』
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
イケメン副社長のターゲットは私!?~彼と秘密のルームシェア~
美和優希
恋愛
木下紗和は、務めていた会社を解雇されてから、再就職先が見つからずにいる。
貯蓄も底をつく中、兄の社宅に転がり込んでいたものの、頼りにしていた兄が突然転勤になり住む場所も失ってしまう。
そんな時、大手お菓子メーカーの副社長に救いの手を差しのべられた。
紗和は、副社長の秘書として働けることになったのだ。
そして不安一杯の中、提供された新しい住まいはなんと、副社長の自宅で……!?
突然始まった秘密のルームシェア。
日頃は優しくて紳士的なのに、時々意地悪にからかってくる副社長に気づいたときには惹かれていて──。
初回公開・完結*2017.12.21(他サイト)
アルファポリスでの公開日*2020.02.16
*表紙画像は写真AC(かずなり777様)のフリー素材を使わせていただいてます。
救助隊との色恋はご自由に。
すずなり。
恋愛
22歳のほたるは幼稚園の先生。訳ありな雇用形態で仕事をしている。
ある日、買い物をしていたらエレベーターに閉じ込められてしまった。
助けに来たのはエレベーターの会社の人間ではなく・・・
香川「消防署の香川です!大丈夫ですか!?」
ほたる(消防関係の人だ・・・!)
『消防署員』には苦い思い出がある。
できれば関わりたくなかったのに、どんどん仲良くなっていく私。
しまいには・・・
「ほたるから手を引け・・!」
「あきらめない!」
「俺とヨリを戻してくれ・・!」
「・・・・好きだ。」
「俺のものになれよ。」
みんな私の病気のことを知ったら・・・どうなるんだろう。
『俺がいるから大丈夫』
そう言ってくれるのは誰?
私はもう・・・重荷になりたくない・・・!
※お話に出てくるものは全て、想像の世界です。現実のものとは何ら関係ありません。
※コメントや感想は受け付けることはできません。メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
ただただ暇つぶしにでも読んでいただけたら嬉しく思います。
すずなり。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
独身寮のふるさとごはん まかないさんの美味しい献立
水縞しま
ライト文芸
旧題:独身寮のまかないさん ~おいしい故郷の味こしらえます~
第7回ライト文芸大賞【料理・グルメ賞】作品です。
◇◇◇◇
飛騨高山に本社を置く株式会社ワカミヤの独身寮『杉野館』。まかない担当として働く有村千影(ありむらちかげ)は、決まった予算の中で献立を考え、食材を調達し、調理してと日々奮闘していた。そんなある日、社員のひとりが失恋して落ち込んでしまう。食欲もないらしい。千影は彼の出身地、富山の郷土料理「ほたるいかの酢味噌和え」をこしらえて励まそうとする。
仕事に追われる社員には、熱々がおいしい「味噌煮込みうどん(愛知)」。
退職しようか思い悩む社員には、じんわりと出汁が沁みる「聖護院かぶと鯛の煮物(京都)」。
他にも飛騨高山の「赤かぶ漬け」「みだらしだんご」、大阪の「モダン焼き」など、故郷の味が盛りだくさん。
おいしい故郷の味に励まされたり、癒されたり、背中を押されたりするお話です。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる