夢の記録

さとよだ

文字の大きさ
上 下
1 / 21
2021.06

2021.06.?? ) 呪われた村の観光

しおりを挟む
 今日は久々に会社の人と話す機会があった。昼休みだっただろうか、彼女は私にとある駅について訊ねる。
「この駅に行きたいんですけど、どうやっていけますかね」
 彼女が指し示す路線図を覗き込む。初めて見る駅で、周囲の駅も聞いたことがない。どうやって行くのか、どれくらい遠いのか全く見当がつかなかった。だが、雰囲気から私鉄を使えばいけるのではないかと思い、そう伝えてみる。
 それを聞いた彼女は、昼休みが終わると退社しその駅に向かったようだった。その後、話を聞いていたのか上司たちもその駅に行こうと提案する。小さな社員旅行の形で、我々も駅に向かうことになった。
 たどり着いた駅周辺は、どうやら観光地兼資料館的役割を担っているようだった。大昔にこの地域は呪われた村として存在していたらしい。
 昔の様子を再現されたであろう村を訪ねると、我々以外には誰もいなかった。呪われた村とだけあって薄気味悪く、これ以上立ち入ってはいけないという気持ちが強く感じられた。
 所々、家の入り口付近にパネルか置いてあり、そこで何が起きたのか説明があった。強く記憶に残っているのは、手足の千切れた遺体がこちらを凝視している写真。それが大きく貼り出されていたことだ。助けを求めているのか、あるいは助けることをしなかった我々を恨んでいるのか、その鋭い目線に言い様のない恐怖を感じた。
 すぐに目を逸らしては、そそくさとその場から立ち去ろうとした。動いても、その写真の目はずっとこちらを見ているような気がしたのを覚えている。
 そのあと広場に出たようで、観光客向けのレストランがあったのを見つけた。人が少ないためかまたは営業時間が終わったのか、店は閉まっていた。誰もいないことに加え、レストランが閉まっているとなると呪われた村の雰囲気がより強く感じられた。
 それから通りを抜けていくと、村の人々が利用していたと思われる銭湯の前を通った。誰でも利用できるのだろうか、店前で足湯エリアが展開されている。もちろん今は誰も利用していない。少し広い足湯を眺めていると、視界の端に何かがあることに気づいた。
 同行する上司たちはそれに気づいているのかいないのか、そちらを見ようともせず通り過ぎようとする。私は気になって、その何かが何なのか見続ける。
 見てはいけないものだった、ものではない。ここは呪われた村を模倣した町。呪いはもうない。故にそこにあったのは水死体を模倣した人形である。一瞬血の気が引いたが、そのことに気づくと納得した。紐に繋がれた人形は、お湯の流れに従って浮き沈みする。それが嫌になるほどリアルに見えた。"呪われた村"では、日常茶飯事だったのだろうか。そこにあった歴史を、実際に目の当たりにしたようで何とも言えない気持ちになった。
 一通り見て回った後は、帰宅しようと皆で駅に向かった。日は暮れ始め、夕暮れが少し綺麗に見えた。未だに感じる薄気味悪さを抱えながら、たまにはこういうのも悪くはないかもなと到着した電車に乗り込んだ。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子

ちひろ
恋愛
マッサージ師にそれっぽい理由をつけられて、乳首とクリトリスをいっぱい弄られた後、ちゃっかり手マンされていっぱい潮吹きしながらイッちゃう女の子の話。 Fantiaでは他にもえっちなお話を書いてます。よかったら遊びに来てね。

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

世紀色彩ブラスター制作秘話

uchublazers22
エッセイ・ノンフィクション
漫画「世紀色彩ブラスター」を連載している池田宇宙と申します。2022年からPixivで毎週連載しています。この書き下ろし作品では、世紀色彩ブラスターの本当の歴史が語られます。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

自称サバサバ女の友人を失った話。

夢見 歩
エッセイ・ノンフィクション
あなたの周りには居ませんか? 「私ってサバサバしてるからさぁ」が口癖の女の人。

ただの独り言。

名無し。
エッセイ・ノンフィクション
ここでは日常の中で思ったことや ふと感じた事を書いていこうと思います。日記みたいな物です 感想でも何でも,気軽にどうぞ

処理中です...