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3.不意の再会
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舞踏会には様々な客がいる。
主催はサンルーナ国だが、オーウィン国の者も招かれている。
優れた者同士がより交流を深めるための舞踏会。
貫禄のある商人貴族は、一人の青年に近づいた。
「これは、これは…元ギルテ家の。
六男様は家業を手伝わなくていいんですか?
女人のような美しさですから、色を売ってもいいでしょうな」
ニヤニヤと悪意をこめて揶揄う老男は、青年を見る。
青年の長く白い髪は一つに束ねられていて、紫の目は鉱石のように澄んでいる。
「僕は、ただいま仕事をしています。
こうして懐かしい方とお話させてもらう機会を得ました。
お久しぶりですね。お元気そうでなによりです」
「そう…でしたな。
ギルテ家で買った品のおかげで元気ですよ。
これも何かの縁でしょうから?
サンルーナ国にいる間は困りごとがあれば手助けしましょうか。
平民になって節度を顧みなくなったが腕は良いと評判ですよ」
青年は愛想笑いで淡々と言葉を返し、表情を変えない。
「ありがとうございます。
これからも、どうぞよろしくお願いします」
「そうだった。君、名前は?特別に護衛をつけよう」
男性は傍にいる二人の従者に目配せをした。
すると、一人は静かに立ち去った。
「シアと申します」
「シア?」
戻ってきた従者が連れる女性は、青年を瞳に映して驚いている。
「リディ?」
「知り合いでしたか。
年も近いですから…まあ、仲良くしてください」
男性はニコニコと綺麗な笑みのまま従者を連れて立ち去った。
女性は青年の隣に立つ。
「どうして。ここにいるのです?」
「僕は六男だから、です。
両親の命令は絶対です」
「そう、ですね」
互いに目を合わせ、互いを労わるような笑みを交わした二人。
「あ…よければ、踊りますか?
せっかくの舞踏会ですから」
「はい。シア様」
「様はいらないです。すでに主従は解消されています」
女性は青年の言葉にハッと表情を変え、小さくため息をついた。
「申し訳ありません。つい…」
「ごめんなさい、でいいです」
青年は女性に手をさしだす。
「あ…はい。シア、さん?」
「はい。リディ」
手を重ねた二人は楽しそうに微笑み合い、色とりどりの花が舞う中央へ向かった。
主催はサンルーナ国だが、オーウィン国の者も招かれている。
優れた者同士がより交流を深めるための舞踏会。
貫禄のある商人貴族は、一人の青年に近づいた。
「これは、これは…元ギルテ家の。
六男様は家業を手伝わなくていいんですか?
女人のような美しさですから、色を売ってもいいでしょうな」
ニヤニヤと悪意をこめて揶揄う老男は、青年を見る。
青年の長く白い髪は一つに束ねられていて、紫の目は鉱石のように澄んでいる。
「僕は、ただいま仕事をしています。
こうして懐かしい方とお話させてもらう機会を得ました。
お久しぶりですね。お元気そうでなによりです」
「そう…でしたな。
ギルテ家で買った品のおかげで元気ですよ。
これも何かの縁でしょうから?
サンルーナ国にいる間は困りごとがあれば手助けしましょうか。
平民になって節度を顧みなくなったが腕は良いと評判ですよ」
青年は愛想笑いで淡々と言葉を返し、表情を変えない。
「ありがとうございます。
これからも、どうぞよろしくお願いします」
「そうだった。君、名前は?特別に護衛をつけよう」
男性は傍にいる二人の従者に目配せをした。
すると、一人は静かに立ち去った。
「シアと申します」
「シア?」
戻ってきた従者が連れる女性は、青年を瞳に映して驚いている。
「リディ?」
「知り合いでしたか。
年も近いですから…まあ、仲良くしてください」
男性はニコニコと綺麗な笑みのまま従者を連れて立ち去った。
女性は青年の隣に立つ。
「どうして。ここにいるのです?」
「僕は六男だから、です。
両親の命令は絶対です」
「そう、ですね」
互いに目を合わせ、互いを労わるような笑みを交わした二人。
「あ…よければ、踊りますか?
せっかくの舞踏会ですから」
「はい。シア様」
「様はいらないです。すでに主従は解消されています」
女性は青年の言葉にハッと表情を変え、小さくため息をついた。
「申し訳ありません。つい…」
「ごめんなさい、でいいです」
青年は女性に手をさしだす。
「あ…はい。シア、さん?」
「はい。リディ」
手を重ねた二人は楽しそうに微笑み合い、色とりどりの花が舞う中央へ向かった。
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