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日常
煌めきを超えた先に
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幼い頃の思い出の地で美しい満天の星空を見上げ、
女神はため息をつく。
互いの瞳には、遠くで瞬く煌めきが映っている。
「どうして人間は空をみあげるの?
星に魅入られるの?」
珍しく人間界に降りたいと言ったルナは、
人間と同じ場所から星を見ることを望んだ。
よほどのことがないかぎりは人間に見られることはないが、
万が一もあるのでアスカ国の神殿を提案した。
受け入れてもらえたので、一番見晴らしのいい場所に降り立った。
「私にも分かりませんが、
星に何らかの魅力があるのは確かです。
占術や逸話、日ごろの息抜きと様々な理由で星を見ます」
「雷先生も星を見ていた?」
茶化すようにおどけて笑うルナ。
生前を思い出すと、意外と見ていたのかもしれない。
苦さも混じる思い出に、思わずため息をつく。
「はい。暗闇に浮かぶ月を。
遠い場所にいる大切な人を想って、見ていました」
「私は、ここにいるわ」
ふいに抱き寄せらせた。
近くなった温もりを見下ろすと、
今にも泣きそうな瞳と目が合った。
潤んで煌めく瞳は、
空の煌めきを尽きないまま閉じ込めたように美しい。
「そうだな。ルナは、私の傍に現れた」
「当たり前よ。私はいつも見ていたから」
「ありがとう。ルナ。永遠に愛している」
どちらともなく唇が重なる。
互いの瞳には、互いしか映っていない。
それを幸せそうに微笑むルナは、私に身を預けた。
女神はため息をつく。
互いの瞳には、遠くで瞬く煌めきが映っている。
「どうして人間は空をみあげるの?
星に魅入られるの?」
珍しく人間界に降りたいと言ったルナは、
人間と同じ場所から星を見ることを望んだ。
よほどのことがないかぎりは人間に見られることはないが、
万が一もあるのでアスカ国の神殿を提案した。
受け入れてもらえたので、一番見晴らしのいい場所に降り立った。
「私にも分かりませんが、
星に何らかの魅力があるのは確かです。
占術や逸話、日ごろの息抜きと様々な理由で星を見ます」
「雷先生も星を見ていた?」
茶化すようにおどけて笑うルナ。
生前を思い出すと、意外と見ていたのかもしれない。
苦さも混じる思い出に、思わずため息をつく。
「はい。暗闇に浮かぶ月を。
遠い場所にいる大切な人を想って、見ていました」
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ふいに抱き寄せらせた。
近くなった温もりを見下ろすと、
今にも泣きそうな瞳と目が合った。
潤んで煌めく瞳は、
空の煌めきを尽きないまま閉じ込めたように美しい。
「そうだな。ルナは、私の傍に現れた」
「当たり前よ。私はいつも見ていたから」
「ありがとう。ルナ。永遠に愛している」
どちらともなく唇が重なる。
互いの瞳には、互いしか映っていない。
それを幸せそうに微笑むルナは、私に身を預けた。
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