師追う背陰

秋赤音

文字の大きさ
上 下
12 / 14
00

03.群れる兎-流れる葉のように

しおりを挟む
保波 流花ほなみ るかは、血縁の両親を知らない。
唯一の家族である夜駆 間灯やがけ まとう は、唯一の話し相手であり、勉強を教えてくれる先生でもあった。
何度も鏡をみて似ているところを探した。
でも、あるとすれば銀色の髪が灰がかっていることだけ。
青い瞳は、おそらく母親似だろう。写真もないから確かではない。

夜駆 間灯__やがけ まとう__# と時間を過ごし、無事に15歳。
眠る時間に試作品の自動学習装置を使われて、特別に栄養を与えたから成長が他の人より早い。
でも、言ってはいけない。
お父様夜駆 間灯と私だけの秘密。

大人になった私は、男性に恋をした。
名前は、一兎いちと様という。
育ての親の息子だと知った今でも、初めて会ったときの衝撃は忘れられない。
いつ思い出しても心地良い思い出だ。
誰もいない裏庭で遊んでいると、まだ名前を知らなかった女装をしている一兎いちと様が走ってきた。

「あなたは…?名前…教えてっ」

保波 流花ほなみ るかです。保つ波、流れる花と書いて流花るかです」

保波ほなみ流花るかちゃん?」 

戸惑う表情の女の子は私を抱きしめた。
そして、あたった。女の子にはないはずのモノが。

「…っ、胸が、苦しい…なんで?がまん…できない…っ!」

返事をする前に口を塞がれ、舌が入ってきて圧迫感と熱量に力が抜けた。
逃げる前に抱えられて走られた。
甘い香りがする知らない部屋のベッドに投げ出されて、遠慮なく服を破られた。
痛いくらい胸を掴まれ、乱暴な愛撫。
でも、知っている気がする。


なんで?

「ぁあ…っ!落ち着く…っ」

痛いはずなのに、お腹の奥がジクジク熱い。
ふと、脳裏で思い出す。
でも、私は知らない。

『…さま、いち…っ、……とさまっ!』

胸の先が痛いのに疼く。
今と同じ状況だが、私は初めて。記憶は違う。
とても慣れている。

『いちと、って…呼んでくれないの…?ながれ』

「ぁああっ!なんで、なんで…ぁあっ!」

初めて会ったのに、知っていて、気持ち悪いのに気持ちよくて。
知らない記憶の身を任せるのが正しい方へすでに体が従っている。
触られると熱いのが身体中に広がっていく。

「…っ、なに、知らない…私…あぁあんっ!」

「きもち、いいんだね?嬉しい…もっと、しようね」

全身を余すことなく愛撫され、当たり前のように処女は奪われた。
なぜか嫌ではない。
見た目は女の子なのに、実は男の子。
私しか知らないかもしれないことは、胸を熱くする。
彼は孤児の中から私を選んでくれた。
十分だった。
今何時だろうか?いつの間に私も彼も服を脱いでいて、隙間がないくらい強く肌を重ねて。
背中から抱きしめられて、繋がったまま彼は何かに気づいた。

「僕、名前…一兎いちと。一に兎って書く」

「いち、と…さま?ぁんっ!また、お…きく…ぅんぁああっ!」

「名前、嬉しい…もっと、呼んで?流花るか、るか、るか?」

ナカが抉られているのに気持ちいい。
もう、彼でしか満たされないだろう。
胸と陰部にある硬い先も同時に指先で挟まれて、全部が熱い。ずっと繋がっていたい。

「いちと、さまぁっ…いちとさまっ、いちとさまぁ…っ!ぁ…んふぁああああっっ!せいし、いっぱい…っ…は、ふ…ぅ…っ」

「今度は、ここでしてね?」

下腹部から圧迫がなくなり、胸に移った。
膨らみを両脇から強く押しつけられても痛いのに気持ちいい。
皮膚を撫で抉られているが気持ちいい。
脳裏で再生される『ながれさん』の気持ちいいと重なって、体も心も気持ちいいでいっぱい。
ナカに射精されてもよかった。
目さえ閉じたら体のどこにかかってもいい。
だって、それが普通。
勉強のためだもの。
勉強?


勉強。


私はなぜ子作りの勉強をしているの?

この人に何度も抱かれているの?

「るか?」

「いちと…っ、わたし…こわい」

「うん。初めは誰でも怖い。ゆっくり、慣れていこうね。僕も流花るかだけを愛するから」

一兎いちと様がくれる温かな気持ちいいが、冷たくて怖い気持ちを消してくれる。
離れたくない。

「うんっ!ずっと、一緒に、いて…っ」

「約束する。流花るか。今度は、一緒に散歩しよう。
とっておきのお菓子も、食べさせてあげる」

優しい声を聞きながら、口元に押し当てられた彼の一部を胸と舌で味わった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

赤ずきんちゃんと狼獣人の甘々な初夜

真木
ファンタジー
純真な赤ずきんちゃんが狼獣人にみつかって、ぱくっと食べられちゃう、そんな甘々な初夜の物語。

極悪家庭教師の溺愛レッスン~悪魔な彼はお隣さん~

恵喜 どうこ
恋愛
「高校合格のお礼をくれない?」 そう言っておねだりしてきたのはお隣の家庭教師のお兄ちゃん。 私よりも10歳上のお兄ちゃんはずっと憧れの人だったんだけど、好きだという告白もないままに男女の関係に発展してしまった私は苦しくて、どうしようもなくて、彼の一挙手一投足にただ振り回されてしまっていた。 葵は私のことを本当はどう思ってるの? 私は葵のことをどう思ってるの? 意地悪なカテキョに翻弄されっぱなし。 こうなったら確かめなくちゃ! 葵の気持ちも、自分の気持ちも! だけど甘い誘惑が多すぎて―― ちょっぴりスパイスをきかせた大人の男と女子高生のラブストーリーです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

教え子に手を出した塾講師の話

神谷 愛
恋愛
バイトしている塾に通い始めた女生徒の担任になった私は授業をし、その中で一線を越えてしまう話

セクスカリバーをヌキました!

ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。 国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。 ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

憧れの先輩とイケナイ状況に!?

暗黒神ゼブラ
恋愛
今日私は憧れの先輩とご飯を食べに行くことになっちゃった!?

処理中です...