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悠久の約束と人の夢
25.揺れる守護者
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「大地。我の力はそれなり、だが…な」
「僕は事実を言っただけだ。愛しい海菜」
「……っ!だから…っ!」
魔術で移動することも忘れる程に動揺した愛しい伴侶。
部屋に入ると人へ姿を変え、睨んでいるつもりの深緑が僕を見る。
そして、美しい絹糸のような白金をなびかせ腕の中に飛び込んでくる。
鋭い眼に射抜かれ、惹かれるまま無防備な頬へ口づける。
「海菜。今でも神殿を守っているのは海菜だ」
断言する僕に動揺で揺らぐ深緑も美しい。
些細な変化も逃したくないほどに、いつまでも見ていられる。
「でも、知らない人が来た、です。
守りきれていない、です」
「鏡のことは予想されていた。
分担をしているから、あれだけで済んだ…と僕は考える。
海菜は必要だ。聖域や皆、そして僕が望んでいる」
涙をこらえて懸命に話す海菜を包むように抱きしめる。
できることを最大限に、気が遠くなるほど長い間、
大鏡が消えても他者よりは強い行動の制約を守る彼女を誰が責めようか。
否、誰も責めていない。
むしろ感謝されているが、愛しい伴侶は役割を守っているだけだと微笑むだけ。
「だがな、大地…我の役割は、前ほど要ではない。
もう、繋がっていないのだから。
今は裏鏡だけが唯一の道。
綻びは皆が見回ってくれている。
裏鏡は詩紅が我慢しきれず持ち歩いているが、
あれだけ見張りがいるなら…っ!」
おそらく不安なんだろう。
できることの少なさに。
しかし、今から新しいことをするには役が足りている現状に。
神殿は繋がっていないが、繋がっていた場所だから守らなければいけない。
大鏡は大空と魔術師が見ているし、裏鏡を覗く群れたちは他の何かも行っている。
しかし、僕は思う。
今でも皆を守っていることに違いはなく、
少しくらいは皆の感謝を心から受け取ってほしい。
願いを込めて、鱗のように煌めく滑らかな首筋を甘く噛む。
「海菜。僕、今、少しだけ機嫌が悪いんだ。
だから海菜を真似てみた。
でも、痛くはない、だろ?」
「……っ!!」
噛んだところを舌先でなぞれば、小さな悲鳴が上がる。
身を震わせ、腕を僕の背に回ししがみつく。
しかし、目をそらさないまま睨んでいる。
そして力がぬけた海菜に問いかける。
「海菜。今度、大空に聞いてみるか?
僕たちにできることがあるかもしれない」
「そうだ、な…聞きもせず思い込んでいた。
我が空を曇らせてしまうとは…我もまだまだ未熟だ」
いつもの穏やかさに戻った海菜は微笑む。
女神が誰かを守る、僕は女神の幸せを守りたい。
誓いをこめて、綺麗に弧を描く唇へ触れる。
「僕はどんな海菜も愛してる」
「大地…我も、ぁ…愛してる、です」
まっすぐに僕を見る海菜の笑顔は、雲一つない晴天の朝日のように綺麗で。
熱に浮かされた深緑を見つめる。
「見るな。見て良いが、今は見るな!」
「海菜。空は晴れているか?」
「…よく、晴れ澄んでいる、です!
神殿にいても大地がいたから、我は空を見ることができた。
今も変わらず、綺麗だ」
頬に触れた柔らかな感覚に驚く。
海菜が…自発的に、身に起こったであろう事実に感動で眩暈がした。
何度でも嬉しいことに変わりはない。
照れはにかむ表情もたまらない。
「海菜」
「大地?待て、まず行き先くらいは…」
そっと抱き上げると、迷わず浴室へ向かう。
拒絶せずしっかりと首へ回されている腕にゆるむ顔は、きっと冴えてはいない。
身を預け合える幸せを噛みしめる。
「海菜。分かってるくせに…言ってほしい?」
耳を赤くして僕の肩へ顔をうずめ、照れ隠しの甘噛み。
僕の伴侶は可愛い。
「言う前に連れるのはお互い様だ、です」
浴室の椅子にゆっくりと降ろした後、
愛しい伴侶は妖しく微笑んだ。
「僕は事実を言っただけだ。愛しい海菜」
「……っ!だから…っ!」
魔術で移動することも忘れる程に動揺した愛しい伴侶。
部屋に入ると人へ姿を変え、睨んでいるつもりの深緑が僕を見る。
そして、美しい絹糸のような白金をなびかせ腕の中に飛び込んでくる。
鋭い眼に射抜かれ、惹かれるまま無防備な頬へ口づける。
「海菜。今でも神殿を守っているのは海菜だ」
断言する僕に動揺で揺らぐ深緑も美しい。
些細な変化も逃したくないほどに、いつまでも見ていられる。
「でも、知らない人が来た、です。
守りきれていない、です」
「鏡のことは予想されていた。
分担をしているから、あれだけで済んだ…と僕は考える。
海菜は必要だ。聖域や皆、そして僕が望んでいる」
涙をこらえて懸命に話す海菜を包むように抱きしめる。
できることを最大限に、気が遠くなるほど長い間、
大鏡が消えても他者よりは強い行動の制約を守る彼女を誰が責めようか。
否、誰も責めていない。
むしろ感謝されているが、愛しい伴侶は役割を守っているだけだと微笑むだけ。
「だがな、大地…我の役割は、前ほど要ではない。
もう、繋がっていないのだから。
今は裏鏡だけが唯一の道。
綻びは皆が見回ってくれている。
裏鏡は詩紅が我慢しきれず持ち歩いているが、
あれだけ見張りがいるなら…っ!」
おそらく不安なんだろう。
できることの少なさに。
しかし、今から新しいことをするには役が足りている現状に。
神殿は繋がっていないが、繋がっていた場所だから守らなければいけない。
大鏡は大空と魔術師が見ているし、裏鏡を覗く群れたちは他の何かも行っている。
しかし、僕は思う。
今でも皆を守っていることに違いはなく、
少しくらいは皆の感謝を心から受け取ってほしい。
願いを込めて、鱗のように煌めく滑らかな首筋を甘く噛む。
「海菜。僕、今、少しだけ機嫌が悪いんだ。
だから海菜を真似てみた。
でも、痛くはない、だろ?」
「……っ!!」
噛んだところを舌先でなぞれば、小さな悲鳴が上がる。
身を震わせ、腕を僕の背に回ししがみつく。
しかし、目をそらさないまま睨んでいる。
そして力がぬけた海菜に問いかける。
「海菜。今度、大空に聞いてみるか?
僕たちにできることがあるかもしれない」
「そうだ、な…聞きもせず思い込んでいた。
我が空を曇らせてしまうとは…我もまだまだ未熟だ」
いつもの穏やかさに戻った海菜は微笑む。
女神が誰かを守る、僕は女神の幸せを守りたい。
誓いをこめて、綺麗に弧を描く唇へ触れる。
「僕はどんな海菜も愛してる」
「大地…我も、ぁ…愛してる、です」
まっすぐに僕を見る海菜の笑顔は、雲一つない晴天の朝日のように綺麗で。
熱に浮かされた深緑を見つめる。
「見るな。見て良いが、今は見るな!」
「海菜。空は晴れているか?」
「…よく、晴れ澄んでいる、です!
神殿にいても大地がいたから、我は空を見ることができた。
今も変わらず、綺麗だ」
頬に触れた柔らかな感覚に驚く。
海菜が…自発的に、身に起こったであろう事実に感動で眩暈がした。
何度でも嬉しいことに変わりはない。
照れはにかむ表情もたまらない。
「海菜」
「大地?待て、まず行き先くらいは…」
そっと抱き上げると、迷わず浴室へ向かう。
拒絶せずしっかりと首へ回されている腕にゆるむ顔は、きっと冴えてはいない。
身を預け合える幸せを噛みしめる。
「海菜。分かってるくせに…言ってほしい?」
耳を赤くして僕の肩へ顔をうずめ、照れ隠しの甘噛み。
僕の伴侶は可愛い。
「言う前に連れるのはお互い様だ、です」
浴室の椅子にゆっくりと降ろした後、
愛しい伴侶は妖しく微笑んだ。
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