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悠久の約束と人の夢
11.始動
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主様が消えた部屋。
無礼は後で叱られるのを覚悟で、
今h探す手がかりがないか調べることにした。
本棚を見ていると、視線を誘うように小さな光が漂い始め、
気づけば手には一冊の本があった。
内容を確認すると、『聖獣信仰と生活の関り』とある。
自分の鞄へいれようとすると、
主様から与えられた魔術具に吸い込まれる。
取り出したい物を想像すれば現れるので、
自分に与えられた使命だと考えることにした。
「クレルが消えた?」
王の間に響く声には悦びが滲んでいる。
上官の傍に黙っているだけだが、居心地が悪い。
「はい…」
「あと7日…それで見つからない場合は、静かに葬る」
親族の失踪を悲しむ表情は、人形のように整っていた。
国中を探してもいない主様を、先代のように葬った新王。
翌日。
上官に解雇を言い渡され、主様の私物と共に屋敷を追い出された、
行く当てもないので、本にもあった場所に向かうことにする。
育った故郷でもある街はずれの教会を脳裏に描く。
まずは、今も暮らしているであろう母親に買う手土産を街で選ぶことにする。
鞄一つで王宮を出る女性を遠目に見る新王と従者は、
優雅にお茶をのんでいる。
「あの女の生まれは?」
「確か…古い教会でした。街はずれの。
今は何もない草原ですが」
女性の姿が見えなくなると、新王は視線を窓から従者へ移す。
「叔父は孤児を拾って従えていたのか。
子供に恵まれなかったからか?」
「奥様に先立たれたので、おそらくは…」
「叔父に学び、丈夫な妃を選ばなければな」
「はい。国の未来は王の采配で決まります」
表情のない顔で従者は静かな声色で告げる。
「そうだな。良い伴侶の選び方をぜひ教えてくれ。
なあ、未亡人?」
「…体が丈夫な方がいいと、思います。
先立たれると、辛いですから」
淡々とした会話は、部屋の外から聞こえる足音で止まる。
「至急、報告があります」
「はいれ」
「失礼します」
扉が開くと、要件を話すよう促す目線に男性はうなずく。
「街の教会が壊れました」
「そうか。あれも古い建物だからな。
良い機会だ。建て替えよう。
明日にでも視察へ向かう。さがれ」
「はい。失礼します」
男性は急ぎ部屋を出た。
同刻。
「やはり、消した方がよかったですか?」
「いや。あれでよかったと思います」
女性が鏡をみて困った顔で悩んでいる。
その隣で寄り添うように立つ男性は、女性をそっと抱きしめた。
「大空、あの女性は?」
「クレルの気配がしますね。
詩紅が『一人だけ子供のように面倒を見ていた従者がいる』と…
その方かもしれません」
「…あの子、こっちに呼べないか?
番と似ているから…血縁かもしれない。
彼女を私の従者にしたい」
女性は深紅の瞳で懇願する。
その言葉を嬉しそうに聞いている深青の瞳は、笑みを浮かべている。
「地紅が望むなら、叶えます。
ちょうど、最後の教会へ向かっているようですから」
「ありがとう」
「友人の願いですから…当然です」
女性たちは、瞳に互いを映して笑った。
無礼は後で叱られるのを覚悟で、
今h探す手がかりがないか調べることにした。
本棚を見ていると、視線を誘うように小さな光が漂い始め、
気づけば手には一冊の本があった。
内容を確認すると、『聖獣信仰と生活の関り』とある。
自分の鞄へいれようとすると、
主様から与えられた魔術具に吸い込まれる。
取り出したい物を想像すれば現れるので、
自分に与えられた使命だと考えることにした。
「クレルが消えた?」
王の間に響く声には悦びが滲んでいる。
上官の傍に黙っているだけだが、居心地が悪い。
「はい…」
「あと7日…それで見つからない場合は、静かに葬る」
親族の失踪を悲しむ表情は、人形のように整っていた。
国中を探してもいない主様を、先代のように葬った新王。
翌日。
上官に解雇を言い渡され、主様の私物と共に屋敷を追い出された、
行く当てもないので、本にもあった場所に向かうことにする。
育った故郷でもある街はずれの教会を脳裏に描く。
まずは、今も暮らしているであろう母親に買う手土産を街で選ぶことにする。
鞄一つで王宮を出る女性を遠目に見る新王と従者は、
優雅にお茶をのんでいる。
「あの女の生まれは?」
「確か…古い教会でした。街はずれの。
今は何もない草原ですが」
女性の姿が見えなくなると、新王は視線を窓から従者へ移す。
「叔父は孤児を拾って従えていたのか。
子供に恵まれなかったからか?」
「奥様に先立たれたので、おそらくは…」
「叔父に学び、丈夫な妃を選ばなければな」
「はい。国の未来は王の采配で決まります」
表情のない顔で従者は静かな声色で告げる。
「そうだな。良い伴侶の選び方をぜひ教えてくれ。
なあ、未亡人?」
「…体が丈夫な方がいいと、思います。
先立たれると、辛いですから」
淡々とした会話は、部屋の外から聞こえる足音で止まる。
「至急、報告があります」
「はいれ」
「失礼します」
扉が開くと、要件を話すよう促す目線に男性はうなずく。
「街の教会が壊れました」
「そうか。あれも古い建物だからな。
良い機会だ。建て替えよう。
明日にでも視察へ向かう。さがれ」
「はい。失礼します」
男性は急ぎ部屋を出た。
同刻。
「やはり、消した方がよかったですか?」
「いや。あれでよかったと思います」
女性が鏡をみて困った顔で悩んでいる。
その隣で寄り添うように立つ男性は、女性をそっと抱きしめた。
「大空、あの女性は?」
「クレルの気配がしますね。
詩紅が『一人だけ子供のように面倒を見ていた従者がいる』と…
その方かもしれません」
「…あの子、こっちに呼べないか?
番と似ているから…血縁かもしれない。
彼女を私の従者にしたい」
女性は深紅の瞳で懇願する。
その言葉を嬉しそうに聞いている深青の瞳は、笑みを浮かべている。
「地紅が望むなら、叶えます。
ちょうど、最後の教会へ向かっているようですから」
「ありがとう」
「友人の願いですから…当然です」
女性たちは、瞳に互いを映して笑った。
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