願いと欲望

秋赤音

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封じられた欲望

愛される者(1)

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セレン・リリアは、嫉妬で狂いそうだった。
聖女として民を守るために祈るという役割は、少しだけ気を紛らわせてくれた。
原因は、愛しい婚約者のウィルネス・ローザ様が纏う他の女の香り。
幸いにも問題は起きていないそうだが、不快さは募る。
王宮の別館に案内され、旅立った勇者様の助けになるよう聖女の仕事に専念している。
相変わらず、ウィル様が纏う他の女性の気配にいら立ちは募るばかり。
誘惑されないことも、問題がないことも従者から聞いているが不快だった。
纏う別の知らない香りに嫉妬し、焦り、気が狂いそうになる。
おかしくなる私を慰めてくれたのは、眠っている時だけ。
聖女になって出会い契約したリーシャ様だけ。
男性を虜にするための手段も教えてくれる、優しい天使様。
少しだけ、容姿も魔力も、ウィル様に似ている気がした。
起きているときは、
聖女として、王宮の者としてウィル様の傍にいられるように勉強もしている。
眠るとリーシャ様と過ごし学びの時間。
夢であったことは現実に影響はしないが、乙女の証には触れられていない。
蕩けるような口づけも、蜜口への愛撫も日ごとに強くなっていく。

「セレン…、今日もしますか?
愛しい人だと思って、いいですよ。
上手く扱えるようになっていますから、安心してください」

「リーシャ様…ありがとうございます」

太く天を向く男性の証に指先を添えて、ウィル様のものだと思いながらゆっくりと上下に擦ってみる。
出てくる白い液には魔力が込められている貴重なものだ。
舌先で液を舐めながら手を動かせばさらに太くなる証に嬉しくなる。

全てはリーシャ様の教えだった。
男性と女性の証は、排泄するだけではないものだと教えてくれた。
男性の証は、女の証がある股の奥に入れて子を宿すこともできると教えてくれた。
避妊魔法がなければ、魔力を注ぐと同時に子種を注ぐことにもなると告げられた。
知らなかった。
時折、王宮の従者が同じように愛撫をされている現場に通りがかり居合わせたことはある。
証同士を交わらせて子作りをする者もいた。
幼い男女が魔力を得るために大人の真似事で行っていることもあり、驚いた。
しかし、彼らは魔力を交わし力を高め合うだけだと言っていた。
魔力合わせと呼ばれている子作り行為を、
幼い子は気持ちの良い排泄行為だと言っていた。
大人ですら、交わせば稀に子を宿す魔力を得る方法程度にしか思っていない。
認識の違いがある現実の事情を知ったときは驚いた。

溢れてきた液をのみこむと、リーシャ様は口を離すように合図した。
熱く疼く体を抑えながら指示に従う。

「…ありがとうございました」

「本当なら、女の証で飲み込むのが一番魔力を得られますが。
…僕は遠慮します。
いつか、愛しい人にたっぷりと注いでもらってください」

いつか。
聖女の役目を終えるには勇者が封印を終えなければいけない。
いつと期日が分からない事柄に、少しだけため息が出る。

「そんなに欲しいなら、もらえばいいと思います。
結界を維持できていれば問題はないはずですから」

笑顔で告げられた言葉に驚いたが、納得してしまった。
ウィル様は三男だが、それでも王宮の者としての責任は負っている。

「そう…ですね。考えてみます」

「はい。セレンの憂いが少しでも晴れればいいですね。
さて、いつのもように腰を突き出してください。
股からこぼしている魔力を頂きます」

「はい」

いつものようにベッドにうつぶせ、腰を高く上げて足を広げる。
すると、女の証からこぼれる魔力が含まれる蜜をリーシャ様が飲む。
契約で決められた行いだが、最近は快楽を得るようになってしまった。

「…ん、今日も美味しい。セレン、もっとください」

「あっ、は、ぃ…っ、まだ、あります、からぁ…っぁあ!!」

奥から止まることなく溢れ続ける魔力は、リーシャ様にのまれていく。

「愛しい人にも同じことをねだれば、もっと気持ちいいです」

「ぁ…っ、だ、め…っ、それ、はぁああああっ!!」

少しだけ、考えてしまった。
熱い口づけをくださるウィル様の舌が私の魔力を舐める瞬間を。
捧げたい。
私の魔力とウィル様の魔力が全てで交わる悦びを感じたい。
ウィル様の全てがほしい。

「…自分に素直に、ですよ?」

「はい…リーシャ様ぁ…っ、んんっ」

「ご褒美です。特別に手本を見せます。
乙女の証までは奪いませんが」

「は、い…お願いします」

ゆっくりと入ってきた証。
指や舌とは比べられないような圧迫感が苦しいのに、なぜか心地よい。
壁があるところでとまると、入り口まで抜かれて戻される繰り返し。
気づけば腰を合わせて揺らしていたが、リーシャ様は褒めてくれた。
リーシャ様がお腹に精を放つと、体中に染みる満足感と共に瞼をとじた。

目が覚めると、いつもの日常だった。
今日もウィル様は女の香りを纏っていた。
いつからか私に気遣うように、帰ると一番に身を清めてくれる。
優しさが嬉しく、気遣わせているのに嬉しい自分が嫌だった。
でも、今日からは少しだけ変われる。
きっと、変わるはずだ。
ウィル様が身を清めている浴室に入り、身を寄せる。

「セレン」

「ウィル様」

ウィル様の胸に飛び込んで、腕を背に回してしっかりと抱きしめる。
押し当てて密着する体に感じる視線が嬉しい。

「セレン、冷えてはいけないから、まずは着替えてから「嫌です」

「セレン…っ!」

優しい気遣いが嬉しく、愛しい。
顔を上げた瞬間、ウィル様に近づいて唇を合わせた。
離そうとするがしがみついたまま、さらに続きを求めて舌先を唇に這わせる。
ウィル様の証が大きくなるのは感じ、さらに密着する。
そして、私の願いは叶えられた。
何度も魔力を注がれ意識が途切れ、目が覚めるとウィル様が身を清めてくださっている最中だった。
胎に放たれた子種と魔力をこぼさないようにしようとするが、こぼれていく。
互いに一糸まとわないで触れ合っていることで思い出した行為に身体が疼き広がっていく。
ウィル様の証から新しくこぼれている魔力をねだると、
体力が尽きるまで注がれ続けた。
しばらくは一人で歩けない暮らしだったが、
ウィル様が私から離れないことが広まり、女の香りをまとうことはなくなった。

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