操り人形は幸せを見つける

秋赤音

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【第一章】祈り

67.傍観者

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「アルヴァ、暴走してるなあ」
「国王への加護は抑えているが。最近は苛々してばかり。
民への影響だけは、どうにかならないのか」
「某には無理」

上空では、人里の様子をみる者がいる。
悠長に話している二人に、ため息をつく人がいる。

「アルヴァが執着してる者を、彼女に捧げれば良い気がする」
「賛成…といいたいけど、それができない理由があるはず」

火と水を司る美しい姉妹は、嘆く。

「民が頑張れているうちは、まだいいけど…どうしようもない」
「私たちは、基本的に見守るだけ。意見を述べるだけ」

田畑を見守る人懐っこい笑顔は、曇っている。

「なあ、ヴァーレン。どうにか、ならないのか」
「イカヅチ…ホムラ、シズク、タロウ、ヒロミ。
アルヴァを気にかけてくれて、ありがとう。
でも、今回は、どうしようもない。
セレンも、みんな、わかっているよね?」
「・・・・・」

重い沈黙が続いた。
それを破ったのは、雷神だった。

「なるようになる、か」
「いつまでも、変わらない」
「私たちは、見守り」
「時には意見を述べるけど、それだけ」
「私たちが動くときは、気が向いたか、相当な問題があったとき」

儀式のように言葉を重ね、確認し合う。

「うん。そういうことで、今日は解散ね」

ヴァーレンの言葉をきっかけに、その場を去る。
残ったセレンとヴァーレンは、静かにため息をついた。

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