操り人形は幸せを見つける

【第一章】祈り

60.全員訓練

医務室から戻ると、ちょうどヴァン先生の個人訓練が終わったところだった。

「ランファ先生、お願いします」
「はい」
「では、レイアさんから。次はレオンさん、一壬さん、エルナさん、一花さんの順です」

私も結局はヴァン先生と同じように軽い傷ができた。
大下座ではないけれど、できた傷に痛みを表情だけは主張する人たちの中で、
一壬さんと一花だけは平然としていることに自然と目が向いた。
生徒の手当をした後、成長しましたね。と、教え教わる楽しさを共有した。

「少しの傷でも体が動くようになっていたほうが楽です。
ということで、続けて組を作ってください。
今回は連携重視で、学校別にします」

エルナさんと一花さんに、フレイさんにも協力してもらう。
これで三人の組が二つできたので、予定通り始めた。

「これで五分、ですか」
「五分、でしたね」

終わった後の空間を見ると、内側はこげた戦地のようだった。

「魔力判定の水晶、粉々ですね」
「課題を三つにしてよかったです」

私は、用意していた最後の水晶を持ってくると、空間の真ん中に台を作って置いた。
空間を出ると、ヴァン先生が説明を半分ほど終わらせていた。

「最後の課題は、
先生たちが空間の外から全力で攻撃するから、空間の中で生き残ることです。
一番外側にも空間を作るので、もし空間が壊れても、頑張って生きてください。
五分後、また会いましょう」

一番大きな空間を作り終わると同時に説明も終わる。
立ち位置に向かうヴァン先生を確認し、生徒に声をかける。

「生徒さんは空間の中へ。フレイさんを除いた人は、空間の外へ円になってください」

空間を囲うように、先生二名と従者三名が立つ。
実践の結果は、良好。
身なりは新しくする必要はあったが、見事、魔力の枯渇もなく生き残った。