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【第一章】祈り
44.クレセント国王夫妻の試み
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避暑したいレイアの希望で、私とレイアはそれぞれ浴衣に着替えてからの夕食だった。
一度レイアと着付けをした後は、自分で着ているらしい。
「ワフク、というのも可愛いですね。
手本をお借りして仕立ててよかった」
「ねえ、フィンも仕立てませんか?」
「レイアと生地を選べるなら考えます」
「選びます。では、次の休みは約束ね」
「はい」
国王様は、少し寂しそうに楽しそうなレイアを見ている。
なにか思いついた様子の王妃様が国王様に話かけた。
「リンド、私もお揃いでほしいわ。
暑い日に着るほど涼しいそうです」
「リリスがそう言うなら、ぜひ。
生地は選ばせてほしい」
「はい。一緒に選ぶのを楽しみにしてますわ」
楽しそうな王妃様と、寂しさが和らいで王妃様を優しく見つめる国王様。
そして、国王様は何か思いついた顔でレオンをみた。
「せっかくだから、レイアにもう一着と、レオンのも仕立てよう。
これも文化交流の一つだ」
「そうですね。記念に一壬様のお品も仕立てますか?」
「いい案だな。一応アスカ国へお伺いしてからになるが」
「楽しみですね」
「そうだな」
国王夫妻の様子に諦めた様子のレオンから、
『まあ、なるようになるよな』と思念がきた。
目の前で、本人を置き去りに話は進んでいる。
どうやら通信魔法具で話し、許可をとることに成功したらしい。
「一壬様、国王の許可は頂いたので、交流の記念として贈らせてほしい。
作り方や着る方法は、国王から教えていただくことになった。
それを縫い師に伝えれば同じようにできるはずだ」
「後日、仕立て屋を呼ぶので、レオンやレイアと一緒に生地を選んでください」
「お心遣い、ありがとうございます。楽しみにしています」
お礼を申し上げると、お二人は満面の笑みを浮かべて深くうなずいていた。
そして、長い夕食が終わり、それぞれの部屋に戻る。
月が昇り、眠ろうと思ったときだった。
通信魔法具から慌てる一花の声で、オーヴァル国の従者と婚約すると聞いたのは。
一度レイアと着付けをした後は、自分で着ているらしい。
「ワフク、というのも可愛いですね。
手本をお借りして仕立ててよかった」
「ねえ、フィンも仕立てませんか?」
「レイアと生地を選べるなら考えます」
「選びます。では、次の休みは約束ね」
「はい」
国王様は、少し寂しそうに楽しそうなレイアを見ている。
なにか思いついた様子の王妃様が国王様に話かけた。
「リンド、私もお揃いでほしいわ。
暑い日に着るほど涼しいそうです」
「リリスがそう言うなら、ぜひ。
生地は選ばせてほしい」
「はい。一緒に選ぶのを楽しみにしてますわ」
楽しそうな王妃様と、寂しさが和らいで王妃様を優しく見つめる国王様。
そして、国王様は何か思いついた顔でレオンをみた。
「せっかくだから、レイアにもう一着と、レオンのも仕立てよう。
これも文化交流の一つだ」
「そうですね。記念に一壬様のお品も仕立てますか?」
「いい案だな。一応アスカ国へお伺いしてからになるが」
「楽しみですね」
「そうだな」
国王夫妻の様子に諦めた様子のレオンから、
『まあ、なるようになるよな』と思念がきた。
目の前で、本人を置き去りに話は進んでいる。
どうやら通信魔法具で話し、許可をとることに成功したらしい。
「一壬様、国王の許可は頂いたので、交流の記念として贈らせてほしい。
作り方や着る方法は、国王から教えていただくことになった。
それを縫い師に伝えれば同じようにできるはずだ」
「後日、仕立て屋を呼ぶので、レオンやレイアと一緒に生地を選んでください」
「お心遣い、ありがとうございます。楽しみにしています」
お礼を申し上げると、お二人は満面の笑みを浮かべて深くうなずいていた。
そして、長い夕食が終わり、それぞれの部屋に戻る。
月が昇り、眠ろうと思ったときだった。
通信魔法具から慌てる一花の声で、オーヴァル国の従者と婚約すると聞いたのは。
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