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【第一章】祈り
41.学びと、暑さと、約束と
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魔法試験が終わり、学園での学習が順調に進み、少し長い休みに入った。
青い葉が照り輝く中、出された課題を解いていると、窓から爽やかな風が入ってくる。
そんな休日のある日。
「暑い」
「しかたないだろ」
「あーつーいー」
五つの薄く黒い鉱石の羽が細い枠に収まり、涼冷魔石がはめ込まれ、
部屋に程よく冷たい風を流している。
部屋と言っても王族らしく豪華なリビングにある大きなテーブルで、
レイアの従者で婚約者のフィンが見守る中、少年レオンと少女レイアはうなだれていた。
もう一人の少女は、着物と呼ばれるアスカ国の衣装で静かに課題を解いている。
「一壬、大丈夫か?」
「うん。ここの暑さは過ごしやすいね」
「アスカ国って、ここより暑いの?」
「湿気が多い日は、同じ気温でも体感はとても暑かったです。
クレセント国は、湿気をあまり感じないので」
「地面が土か鉱石かで変わるのかもな」
「確かに。緑は豊かでしたが、土は水を含みますし」
それっきり、レオンとレイアは黙り目を合わせている。
静かにペンが走る音だけがする空間で、イスが動く音がした。
「休憩、しましょう」
「同感だ。課題ばかりも飽きるしな」
「一壬も少し休みませんか?」
「…はい。ありがとうございます」
レオンは課題から解放される安堵感から脱力し、
腕を上にあげ、凝った体をほぐしている。
レイアは、傍にいるフィンを見上げて顔を綻ばせる。
「決まりね。フィン?」
「はい。どちらまで行かれますか?」
「庭先まで、だと普段と変わりませんね。
…せっかくですから、街で買い物はいかがでしょう?
先週に課題で行った職業体験で頂いたお金のみを使う条件で。
働いたお金で買い物をするのも体験になります」
「そうね。とても良い案です。レオン、入口で集合ね」
「はいはい。お待ちしてま…っるせえ」
相談なしに予定が決まり、そっぽを向くレオンに何かを話したレイア。
レオンは、少し浮かれた様子で頬を赤くしながら部屋を出た。
「一壬は私とこちらへ。できれば着物を着てほしいけど、街だと目立つから。
残念だけど、私の服から選んでください」
「はい。お気遣いありがとうございます。靴をもってきます」
「そう…ね。服を選んだら、一緒に部屋まで行きます。
街から戻って夕食の後は、約束通りに浴衣を選ばせてね」
使用人たちが少女たちのやりとりを微笑ましく見守る中、
支度を終えた三人は従者を連れて街へ向かった。
青い葉が照り輝く中、出された課題を解いていると、窓から爽やかな風が入ってくる。
そんな休日のある日。
「暑い」
「しかたないだろ」
「あーつーいー」
五つの薄く黒い鉱石の羽が細い枠に収まり、涼冷魔石がはめ込まれ、
部屋に程よく冷たい風を流している。
部屋と言っても王族らしく豪華なリビングにある大きなテーブルで、
レイアの従者で婚約者のフィンが見守る中、少年レオンと少女レイアはうなだれていた。
もう一人の少女は、着物と呼ばれるアスカ国の衣装で静かに課題を解いている。
「一壬、大丈夫か?」
「うん。ここの暑さは過ごしやすいね」
「アスカ国って、ここより暑いの?」
「湿気が多い日は、同じ気温でも体感はとても暑かったです。
クレセント国は、湿気をあまり感じないので」
「地面が土か鉱石かで変わるのかもな」
「確かに。緑は豊かでしたが、土は水を含みますし」
それっきり、レオンとレイアは黙り目を合わせている。
静かにペンが走る音だけがする空間で、イスが動く音がした。
「休憩、しましょう」
「同感だ。課題ばかりも飽きるしな」
「一壬も少し休みませんか?」
「…はい。ありがとうございます」
レオンは課題から解放される安堵感から脱力し、
腕を上にあげ、凝った体をほぐしている。
レイアは、傍にいるフィンを見上げて顔を綻ばせる。
「決まりね。フィン?」
「はい。どちらまで行かれますか?」
「庭先まで、だと普段と変わりませんね。
…せっかくですから、街で買い物はいかがでしょう?
先週に課題で行った職業体験で頂いたお金のみを使う条件で。
働いたお金で買い物をするのも体験になります」
「そうね。とても良い案です。レオン、入口で集合ね」
「はいはい。お待ちしてま…っるせえ」
相談なしに予定が決まり、そっぽを向くレオンに何かを話したレイア。
レオンは、少し浮かれた様子で頬を赤くしながら部屋を出た。
「一壬は私とこちらへ。できれば着物を着てほしいけど、街だと目立つから。
残念だけど、私の服から選んでください」
「はい。お気遣いありがとうございます。靴をもってきます」
「そう…ね。服を選んだら、一緒に部屋まで行きます。
街から戻って夕食の後は、約束通りに浴衣を選ばせてね」
使用人たちが少女たちのやりとりを微笑ましく見守る中、
支度を終えた三人は従者を連れて街へ向かった。
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