澄み透る渡りの世で

秋赤音

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待てない

婚約者と、最愛と

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目が覚めると、婚約者が上にのって赤い目を細めて微笑んでいた。白金の髪を朝日が照らし幻想的な絵ではあるが、天使ではなく同じ魔族だ。セラフィールを妻にするのは許されたが、建前も整えなければいけなかった。だから、婚約者は全てを魔力に変える子を授かることができない体質の赤い目の女を選んだ。

「今日も、魔力をいただくわ」

「はあ。どうぞ」

下肢を楽にすると、遠慮なく婚約者は腰を落として一人で盛り上がる。互いの感情が噛み合わないこれは、性行というよりは体を使った自慰だ。

「ぁあっ!んっ、こんな体質…ぃや、だったけどっ、よかったぁ…っ!美味しい魔力、いっぱぃ…っ、はぁんっ!呪い、つきだけど…んっ!あぁっ!」「よかったな」

「んぅ…っ!前より、強ぃ…っ!拘束の呪ぃ…離れるのが、惜しく、なぁんっ!」

「婚約者だから、離れることはない。約束通り、妻になってもらう。ラセフィール」

婚約者は、嬉しそうに笑み、ナカをキツく締めあげて行為の終わりを迎えようとしている。

「あっ!あぁっ…ぅんっ!恩返し、する…っ!私、を見つけて、くれたクランさまぁ…イく、イぅううっっ!」

射精されたことに満足したのか、余韻を楽しみながら体から降りた婚約者は機嫌が良い。

「今日も、最高だったわ。あなた様の魔力が体いっぱい。おかげさまで社交場では私、愛され婚約者なのよ。では、また明日」

婚約者の気配が家から消えたのを確認し、ため息をついた。魔力に呪いを付与している自覚はあったが、指摘されて強くなっていることに気づく。過ぎた束縛は壊してしまうかもしれない。だが、それもいいかもしれない。セラフィールは、自分だけの人になるのだから。


七度目の呼び出しは、姿を現すことなく彼女を眺めているだけにした。長椅子で自分の名を呼びながら、しだいに発情して自慰を始める。しかし、最後まで満足できないらしい。疲れ果て眠るまで続いた。

八度目の呼び出しは、彼女を町で助けた男と旅を始めて少し過ぎた頃だった。
姿を見せると、すでに長椅子で自慰を始めている彼女。こちらを見て、苦しそうに微笑む。

「クラン様…私、夢で…一人で…い…ィけな…くなってっ…イっても、まだ足りなくて…っ」

目の前で一度、二度と出しても鎮まっていない。

「セラフ」

「ぁあっ…!クラン様ぁ…見ないで…見ないで…っ!」

名を呼んだ瞬間に絶頂し、とろとろと止まらなくなった射精。見ないでと言っていても、彼女の潤む赤い目はこちらをじっと見つめている。淫呪も効いて、さらに快感が昂るのだろう。ふと、イタズラを思いつく。ここは夢だから。起きれば忘れられ、現実に影響することはない。

「手助けをしよう。ここは夢だから、なんでもできるのでな」

呪いで陰部の一部を変える。男の証と女の証を共存させた。

「な、に…っ、おなか、あつぃ…撫でるの…だめ…っぁああっ!」

とろんとした目でこちらを見る彼女を抱き上げ、長椅子に座った膝の上に乗せた。細い背中を胸に、頭を肩に預ける彼女はくたりとしながら快楽を求める。体の異変を正しく感じたようで、お腹の子宮があるあたりに手をあてている。

「クランさまぁ…熱いです…っ体、変になって…壊れまし…ぁあああっ!」

言わなくても開かれた足。解放した自身を女の蜜口にあてがうと奥まで貫いた。

「壊れても、離さない」

「ぁ、ああ…っ!ィってるのに…イくのっ…しゃせ、してるのに…おなか、熱ぃ…っ!クランさまぁ…っ!」

甘い声で喘ぎ、律動に合わせてナカが締まり添う。玩具を使っても一人では叶わない淫呪による快楽に浸っているのだから、自慰で満足できなくなっても当然だろう。自分が近くにいることで発動する淫呪は一人では叶わない。無意識で淫呪を感じているのか、離そうとすればしがみついてくる。追加で付与した拘束の呪いも効いているのだろう。
呪いを二つ身に宿した彼女は、外側だけが人間のおかげで暮らしに影響が出ていないようだ。造り変えるまでと後に自分と魔力を交わしたことで、中身は急速に魔に染まりつつある。そして、三つ目の一部異性体化も完全に受け入れた。造り変えた体を元に戻すことも、一部を変えることも負担になる。が、彼女は見事に受け入れた。そして、淫らに喘ぎ男の欲望を悦ばせた。
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