澄み透る渡りの世で

片思い

6.日常

冬休みが終わり、学舎には賑わいと平穏で退屈な日々が戻ってきた。
休憩中、教室の隅にある机で歓談の声がした。

「本当に隠さなくなったね。まだ続いているし」

「なにが？」

質問する女子生徒の声に応えたのは、無邪気に重なる三つの女子生徒の笑い声。

「なにって…ね？あのことなら、クリスマス終わったからアピールしなくてもいいのに」

「彼氏と付き合ってることよ。休み明けたら別れてると思った」

無邪気な返事に返されたのは、無言の笑みだった。


別室でも、同じように囲まれている男子生徒がいる。
話をしているのは、囲んでいる男子生徒だけ。
無言の生徒は生徒を目に映すことなく、開いているノートをみている。

「クリスマス終わったし、彼女貸して？一晩だけでもいいからさー」

「わかる。一回ヤりたい。あのデカイ胸に顔埋もれたい」

「あのさ。無視しないで？話聞いてる？」「もしもーし？」

囲む生徒がノートを取り上げようとすると、授業前の合図が鳴る。



放課後。
学舎の門を通る一組の恋人。
互いに笑みを交わしながら歩く男子生徒と女子生徒は、手を繋いでいる。
男子生徒が周囲に目配せをしながら安全確認をするのも、入学してから変わらない日常風景の一つだ。
だが、彼らの日常は少しずつ変わっている。

親が不在の家。
机に横並び勉強を進める彼らは、課題に正解するたび口づけを交わす。
そして課題を終え、女の顔をした彼女はソファーの上で恋人に組み敷かれ笑みをこぼす。

「確かに勉強、終わったけど」

彼は彼女の首筋に甘噛みし、無防備な耳元へ唇を寄せた。

「終わったから、問題ない。僕たちは、きちんと我慢した」

「…っ！そこで、話さなぃっ…ぁあっ…んっ…っ、胸、だめ…っ」

彼女の服ごしに胸を撫でる彼の手に、彼女は身を逃がそうとする。
しかし、逃げることを許さない彼は煽るように指先で胸の柔さや硬い先端を弄ぶ。

「だめ？もう…ほら気持ちよくなってる。
勉強中もずっと甘い香りさせて誘っていたの…無意識？キスだけで何回イった？」

「ひっ、ゃ…あ、ぁっ…乳首ぃやああっ！イくっ、ィく…からぁっ、揺らさ、なぃで…っ、ぁ…あっ……っ！」

「お互い勉強の成績が良くなったよな。やはり、ご褒美は必要だ。だろう？」

彼の問いに彼女は喘ぎながら肯定した。
その様に、彼は笑みを浮かべる。

「明日が休みでよかった」