澄み透る渡りの世で

秋赤音

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片思い

5.片重い

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「ど、して…聞くの」

「嫌がることはしたくないから」

「…っ!ぁ、ありがとう。もっと、触ってほしい」

背に回された腕は温かい。

「どこを?」

「キス、したい」

「どこに…?」

頬にある指先を唇にそえると、彼女の瞳に熱が灯る。
指に押しつけられた唇を返事にして、そっと唇をふさいだ。
舌すら簡単に受け入れる彼女は、胸に僕の腕を誘い押し当てる。
服の上から撫でると、彼女の腰が揺れる。

「ぁ…もっと、ん…っ」

手早く外された釦。
露になった胸が揺れ、押しつけられた僕の手が支える。
偶然にかすめた硬い先端。
彼女は悲鳴を飲み込んで背を反らした。
わざと当たるように膨らみを揉みながらかすめると、甘い声が聞こえ始める。

「元彼と、どっちがいい?」

「…ぇ?わから、なぃっ!初めて、で…気持ち、いぃっ!キスで、イって…っ、おなか、熱くて…っ」

僕は彼女に快楽を覚えてもらうことに専念した。
起きている彼女が何度も絶頂して、疲れた体を浴室で愛撫しながら清めた。

食事を終え、ベッドに寝かせる。
抱き包む温度は高く、目蓋がおりない彼女は潤んだ目で僕をみる。

「どうした?」

「ぅ…あ…、寝よう、ね?」

抱き枕のように寄せられ、柔い胸に押し当てられた腕が温かい。
しかし、先端はすでに硬く誘われる。

「シたい?」

「…っ!ぅ…んっ。
前は、求められればするのが当たり前だと…今は私が、今度は気持ちよくなってほしくて。
その…あたっている、ので」

「あー…うん。なら、明日の朝にお願いしようかな」

「朝?」

不思議そうに首をかしげた彼女。
元カレと朝まで過ごした話は聞いていないので、知らないかもしれない。

「おそらく、大変だから」

「大変?私にできることなら手伝う。
今日は、おやすみなさい」

「おやすみ」

そのまま眠り始めた彼女を抱きしめて、目を閉じた。
翌朝、本当に大変になったので彼女の手と胸で受けとめてもらった。

シャワーを貸している間に朝食の支度を済ませる。
見慣れた二人分。
でも、これからは違う景色になる。

「ご飯…ありがとう」

慌ててきた彼女は毛先を滴で濡らしたまま。
思わず腕に絡めとりかけたが、足に力をこめて留まる。

「髪、毛先まで乾かして」

「うん」

目尻をさげて微笑み背を向けたのを見送り待つ。
恋人のフリが死ぬまで続けばいいと願った。
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