澄み透る渡りの世で

秋赤音

文字の大きさ
上 下
56 / 81
片思い

2.後悔から始まる

しおりを挟む


ー 二人の足音と彼の機嫌が良い時に聞こえる口笛。

「ねえ、クリスマスを私と過ごしてほしいのだけれど」

立ち止まった彼の耳元に口を寄せた。
よければ、恋人のフリをしてほしいと囁いた。
すると、突然に繋がれた手。

「恋人繋ぎしていい?クリスマスは、離さないし」

耳元で囁かれた言葉で、私の願いが叶うと思った。
自分から頼んだとはいえ、初めて二人きりで過ごすと自覚すると緊張で血が沸騰する。
どうして今年に限って両親たちは仲良く旅行に行くのだろう。
家が隣り合わせなのに、なぜ日程がクリスマスなのか。
いつもは他の日に行っていたのに。

「赤い」

「え?」

頬に何かが触れた。

「今日、くるよな?」

聞きなれた言葉なのに、今日は何故か少し怖い。
怖いけれど、嫌ではない。

「うん。出された課題で分からないところがあって」

彼が踏み出した一歩を追う。
見慣れた街路樹は、赤と黄色と褪せた緑で道を飾る。
イルミネーションみたい、と思った。

「色とりどりだな。イルミネーション、これでいいだろ。電気代かからないし、寒くないし」

半歩分の隙間が埋まり、手がほどけてすぐ、指先が絡まって強く握られた。
寒さが苦手なのは変わらないらしい。
昔は腕に絡んできて離れなかったことを思い出す。
彼がいるから暖かく寒さを過ごせる時間があったことに、今さら気づく。

「イルミネーションは、電飾だからイルミネーションになると思う。
電気代は…まあ、そうだけれど。今よりは寒くないし」

「だろ」

嬉しそうに腕を寄せられる。
今までと違うのは、向けられる笑みが初めて見る表情で戸惑う。
まるで砂糖漬けのフルーツみたいに甘いのは慣れているが、今日は色気を感じる。
帰る方向は同じだから、問題はない。
それに、恋人らしいことに慣れなければいけない。
体に彼の温度が馴染んでいく。
いつもと同じはずなのに、なぜか怖くなった。

彼と過ごす恋人ごっこは、学校内でも行われた。
周囲から聞こえるのは「糖度が増しただけ」と呆れた声ばかり。
なぜか分からないが、危害は無さそうなので放置する。


クリスマス当日。
学生の冬季休みになると毎日会うのは変わらないまま迎えた。
慣れた二人きりの、子供だけの留守番。
いつものことで特別感は無い、予定だった。
幼馴染みではなく恋人として踏み入れた彼の家や部屋の景色は同じ。
だが、彼は初めて見る顔が多かった。
携帯ゲームをするとき私を背から抱える癖も同じ。
私の肩ごしに画面を見ながら遊ぶ器用さに感心しながら、いつものようにくる眠気で瞼を閉じた。

空調の冷たさで目が覚めた。

「あ、おはよう」

「ぇ…なっ…ぁ、なにをっ!」

胸の先を強く掴まれ、お腹が熱くなる。
着ていたはずの服は中途半端に脱がされていた。

「寝ている間に何回イったと思う?」

「ぁあっ、触らなぁんんっ!や、ぁ、あ…っ!」

目の前で潮を吹いた自分の体に驚くが、休む間もなく彼の指が陰部に入ってくる。
痛みはなく、大きさと場所がよくわかる。
胸と陰部を同時に弄ばれ、強い刺激で目が眩む。

「気持ちいいだろ」

「ぅ…ふ、ぁあっ!また、だめ…っ!」

「これで十回目」

「ぁっ、あひっ、とまらなぃいっ…なん、で…っ」

「僕が、した。大丈夫。僕が死ぬまで、気持ちよくするから」

「ぁあああっっ!!イく、ィくぅうううっっ!!!」

強く抱き締められて、背後に感じる雄の気配が体に新たな熱を生む。
玩具とは違う温かな感触は、なぜか体によく馴染んでいる。

「嬉しい…指が気に入ってくれたんだ。いつもは、身支度が終わってから目を覚ますから、少し寂しくて」

「…ぁ…んっ、熱い…っ、くるし…ぃっ」

「うん。もっと腰ふって。知らない気持ちいいところ、教えて」

「ぁんっ、指、ふえ…てっ、あぁんっ、ばらばら、だめ…っっ!!ん、はっ、ぁうぅ…っ!」

知らない感覚から逃げようとすればするほど、気が狂う。

「今日は最後までシようか」

「ぃやぁあ…っ、きょう、もってなぃいいっ…んぁっ!そこ、らめ…っ」

指をぬこうとするが、腰を固定され動けない。
一方的に弱点ばかりを撫でてくる。
イきそうでイけない絶妙な加減がもどかしい。

「自分のくらい、自分で用意している。だから、いい?今よりもっと、気持ちよくイってほしい。僕たち、恋人だろう?」

「ぁっ!んぅ…っ、イきたい…っ」

「うん。イかせてあげる。僕でしかイけない体にするから」

抱えあげられてベッドの上に座らされた。
どこかから出てきたらしい避妊具と、気づけば準備ができている彼。
また抱えられて、力が入らない足を開かされる。
ゆっくりと入ってきた彼のそれは、潔く、わずかな痛みで初めてを散らした。

翌日。
目が覚めると、彼の寝顔が目の前にあった。
少し見下ろせば、彼の部屋着らしい服が着せられている。
動こうとするが、腰をしっかりと寄せられていて動けない。
学校が休みでよかったと、心から思った。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

エッチな下着屋さんで、〇〇を苛められちゃう女の子のお話

まゆら
恋愛
投稿を閲覧いただき、ありがとうございます(*ˊᵕˋ*) 『色気がない』と浮気された女の子が、見返したくて大人っぽい下着を買いに来たら、売っているのはエッチな下着で。店員さんにいっぱい気持ち良くされちゃうお話です。

【R18 大人女性向け】会社の飲み会帰りに年下イケメンにお持ち帰りされちゃいました

utsugi
恋愛
職場のイケメン後輩に飲み会帰りにお持ち帰りされちゃうお話です。 がっつりR18です。18歳未満の方は閲覧をご遠慮ください。

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

ねえ、私の本性を暴いてよ♡ オナニークラブで働く女子大生

花野りら
恋愛
オナニークラブとは、個室で男性客のオナニーを見てあげたり手コキする風俗店のひとつ。 女子大生がエッチなアルバイトをしているという背徳感! イケナイことをしている羞恥プレイからの過激なセックスシーンは必読♡

結構な性欲で

ヘロディア
恋愛
美人の二十代の人妻である会社の先輩の一晩を独占することになった主人公。 執拗に責めまくるのであった。 彼女の喘ぎ声は官能的で…

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

初めてなら、本気で喘がせてあげる

ヘロディア
恋愛
美しい彼女の初めてを奪うことになった主人公。 初めての体験に喘いでいく彼女をみて興奮が抑えられず…

妻がヌードモデルになる日

矢木羽研
大衆娯楽
男性画家のヌードモデルになりたい。妻にそう切り出された夫の動揺と受容を書いてみました。

処理中です...