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片思い
2.後悔から始まる
しおりを挟むー 二人の足音と彼の機嫌が良い時に聞こえる口笛。
「ねえ、クリスマスを私と過ごしてほしいのだけれど」
立ち止まった彼の耳元に口を寄せた。
よければ、恋人のフリをしてほしいと囁いた。
すると、突然に繋がれた手。
「恋人繋ぎしていい?クリスマスは、離さないし」
耳元で囁かれた言葉で、私の願いが叶うと思った。
自分から頼んだとはいえ、初めて二人きりで過ごすと自覚すると緊張で血が沸騰する。
どうして今年に限って両親たちは仲良く旅行に行くのだろう。
家が隣り合わせなのに、なぜ日程がクリスマスなのか。
いつもは他の日に行っていたのに。
「赤い」
「え?」
頬に何かが触れた。
「今日、くるよな?」
聞きなれた言葉なのに、今日は何故か少し怖い。
怖いけれど、嫌ではない。
「うん。出された課題で分からないところがあって」
彼が踏み出した一歩を追う。
見慣れた街路樹は、赤と黄色と褪せた緑で道を飾る。
イルミネーションみたい、と思った。
「色とりどりだな。イルミネーション、これでいいだろ。電気代かからないし、寒くないし」
半歩分の隙間が埋まり、手がほどけてすぐ、指先が絡まって強く握られた。
寒さが苦手なのは変わらないらしい。
昔は腕に絡んできて離れなかったことを思い出す。
彼がいるから暖かく寒さを過ごせる時間があったことに、今さら気づく。
「イルミネーションは、電飾だからイルミネーションになると思う。
電気代は…まあ、そうだけれど。今よりは寒くないし」
「だろ」
嬉しそうに腕を寄せられる。
今までと違うのは、向けられる笑みが初めて見る表情で戸惑う。
まるで砂糖漬けのフルーツみたいに甘いのは慣れているが、今日は色気を感じる。
帰る方向は同じだから、問題はない。
それに、恋人らしいことに慣れなければいけない。
体に彼の温度が馴染んでいく。
いつもと同じはずなのに、なぜか怖くなった。
彼と過ごす恋人ごっこは、学校内でも行われた。
周囲から聞こえるのは「糖度が増しただけ」と呆れた声ばかり。
なぜか分からないが、危害は無さそうなので放置する。
クリスマス当日。
学生の冬季休みになると毎日会うのは変わらないまま迎えた。
慣れた二人きりの、子供だけの留守番。
いつものことで特別感は無い、予定だった。
幼馴染みではなく恋人として踏み入れた彼の家や部屋の景色は同じ。
だが、彼は初めて見る顔が多かった。
携帯ゲームをするとき私を背から抱える癖も同じ。
私の肩ごしに画面を見ながら遊ぶ器用さに感心しながら、いつものようにくる眠気で瞼を閉じた。
空調の冷たさで目が覚めた。
「あ、おはよう」
「ぇ…なっ…ぁ、なにをっ!」
胸の先を強く掴まれ、お腹が熱くなる。
着ていたはずの服は中途半端に脱がされていた。
「寝ている間に何回イったと思う?」
「ぁあっ、触らなぁんんっ!や、ぁ、あ…っ!」
目の前で潮を吹いた自分の体に驚くが、休む間もなく彼の指が陰部に入ってくる。
痛みはなく、大きさと場所がよくわかる。
胸と陰部を同時に弄ばれ、強い刺激で目が眩む。
「気持ちいいだろ」
「ぅ…ふ、ぁあっ!また、だめ…っ!」
「これで十回目」
「ぁっ、あひっ、とまらなぃいっ…なん、で…っ」
「僕が、した。大丈夫。僕が死ぬまで、気持ちよくするから」
「ぁあああっっ!!イく、ィくぅうううっっ!!!」
強く抱き締められて、背後に感じる雄の気配が体に新たな熱を生む。
玩具とは違う温かな感触は、なぜか体によく馴染んでいる。
「嬉しい…指が気に入ってくれたんだ。いつもは、身支度が終わってから目を覚ますから、少し寂しくて」
「…ぁ…んっ、熱い…っ、くるし…ぃっ」
「うん。もっと腰ふって。知らない気持ちいいところ、教えて」
「ぁんっ、指、ふえ…てっ、あぁんっ、ばらばら、だめ…っっ!!ん、はっ、ぁうぅ…っ!」
知らない感覚から逃げようとすればするほど、気が狂う。
「今日は最後までシようか」
「ぃやぁあ…っ、きょう、もってなぃいいっ…んぁっ!そこ、らめ…っ」
指をぬこうとするが、腰を固定され動けない。
一方的に弱点ばかりを撫でてくる。
イきそうでイけない絶妙な加減がもどかしい。
「自分のくらい、自分で用意している。だから、いい?今よりもっと、気持ちよくイってほしい。僕たち、恋人だろう?」
「ぁっ!んぅ…っ、イきたい…っ」
「うん。イかせてあげる。僕でしかイけない体にするから」
抱えあげられてベッドの上に座らされた。
どこかから出てきたらしい避妊具と、気づけば準備ができている彼。
また抱えられて、力が入らない足を開かされる。
ゆっくりと入ってきた彼のそれは、潔く、わずかな痛みで初めてを散らした。
翌日。
目が覚めると、彼の寝顔が目の前にあった。
少し見下ろせば、彼の部屋着らしい服が着せられている。
動こうとするが、腰をしっかりと寄せられていて動けない。
学校が休みでよかったと、心から思った。
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