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逞しいの・・・人妻を誘惑する筋肉質のお兄さんが男らしい。私を抱くその腕に酔い知れて

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街で見かけた宅配会社のお兄さんが、重そうな荷物を運んでいた。
その腕は筋肉質で引き締まり、日焼けしていてとても逞しいの。
「ああ、あんな腕に抱かれてみたい…」私はそう思いながらお兄さんが目の前を通り過ぎる姿を見つめていた。
すると、目の前を通るときチラッと私の方を見て、ウィンクをしてきた。
「キャッ!」その瞬間、緊張が全身を駆け巡る。
「い、今、私にウィンクしたわよね?恥ずかしい!」
一人でパニックになる私。

胸がドキドキしてしまった私は、その場にジッとしていられない。
「またこっちに戻ってくるんだわ。どうしよう」
バッグを持ち、宅配会社のお兄さんとは反対方向に私は歩き出す。
その時、ジャラジャラと持っていたバッグから中身が道路に落ちてしまった。
慌てていたためバッグを上下逆さまに持っていたみたい。
「あ、いっけない!」

拾っていると「手伝いますよ」と私に声をかけてくるのは…「キャッ!」
筋肉質で日焼けしたイケメンの宅配会社のお兄さんだった。
「あ、あ」もうすぐ目の前に素敵なお兄さんがいる。
それだけでパニックに陥る私は、後ろに倒れてしまいそう。
「大丈夫ですか?!」筋肉質の腕がしっかりと私をキャッチすると、クールな顔で「家まで送りますよ」と言った。
「ありがとう。家はすぐそこです」と言う私を抱きかかえるように家へと送り届けたお兄さんは、「いつでも呼んでください」と名刺を渡してきた。
そこには携帯番号が書かれていた。

次の日。
思い切って携帯電話に電話をかけてみた。
「はい、稲本です」
ドキドキッ!
もう声を聞いただけで胸が高鳴る私。
「ああ、人妻には刺激的すぎるわ…」
「電話を待っていましたよ。ありがとうございます」
本当にいい声をしている。
もう胸の鼓動が止まらない。
「あ、ああ、はあはあ」
「今、どこにいるんですか?迎えに行きますよ」
「えっと、ここは・・・○サンタカフェの前にいます」
「今、向かいますよ」
カフェの店内でコーヒーを飲んで待っていると、イケメン男性が現れた。
普段着も素敵で、まるで白馬の王子様が現れたよう。
「私のためだけに来てくれたのね」
「僕もコーヒーをください」と頼み、私の前に座る。

宅配の筋肉質イケメンお兄さんを見つめていると、「そんなに僕のことに興味があるんですね」
「え、ええ。私、あなたを好きになってしまったかも」と私は伝えた。
「本当ですか?嬉しいな」
「私も、あなたとこうやってデートができて嬉しい・・・っていうか幸せだわ」
「僕も。こんなに心から惹かれる人に出会ったのは初めてだ。今日は僕と一緒にいてほしい」
「ええ、私も一緒にいたい」
あとは2人の世界。
「あ、もうこんな時間だわ・・・夫が帰りを待っているの。帰らないと」
「そんな・・・寂しいよ」
「ごめんなさい」

私は行かないでと腕を掴む宅配の男性のその手を振り解き、夫の待つ家へと帰るのだった。






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