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会社の神棚から水や米が落ちる!残業で1人残っていた俺の背後で起こる不可思議な出来事

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俺の働いている会社には神棚がある。
高い位置に立派な神棚がね。
会社が繁盛するように、社員は朝、いっせいに両手を合わせて拝むんだ。
いつもはやんちゃな社長も、神様なんて無縁の社員もね。

そんなある日、俺は1人職場に残って残業をしていた。
腕時計を見ると19時を回っている。
「どうりで腹が空くわけだ。早く仕事を終わらせちまおう」と俺は机に向かった。

すると、後方でポタポタと水が床に落ちる音がしてくるんだ。
かなり高い位置から。
「2階のトイレから水漏れでもしてんのか?」
俺は気になって、音のする方へと向かった。
すると、「え?神棚の瓶子が倒れてる」白くてとっくりのような形をした入れ物がひとりでに倒れていて、中の水が床に落ちていたんだ。
「なんだろ?」そう思いつつ、俺はまた瓶子を元に戻した。

席に戻り、また仕事を始めると、こんどはパラパラと落ちる音が背後からしてくる。
振り向くとまた、神棚から何かが落ちているのがわかる。
「もう!どうしたんだよ!」
神棚に行くと土器に盛られたお米が下に一粒づつ落ちていた。
これは明らかに・・・なにか目に見えない者が落としているような感じに見える。

背筋にゾクゾクっと寒気が走る俺だったが、なにを思ったのか、神棚からその米が盛られている土器を手に持ち、トイレへと流しちまった。
席に戻った俺は「これでもう神棚から落ちることもないだろう」と安心して、仕事に集中しようと思った。

だが、こんどは背後から人がこちらを見ているような気配がしてならない。
「うっ、なんだよ」俺はまったくその気配で集中できず、「もう!こんどはほんとうに幽霊が出てきたっていうのか?」と怒りを感じつつ席を立った。
そして、神棚の方へと振り向けば・・・
髪の毛が異様に長く、白い歯を見せて笑う女の顔が神棚にのっていた。
「ひ、ひやああ」俺は後ろの方へと倒れちまった。

「矢上!大丈夫か!」次の日、出勤してきた社長に起こされて、俺は目を覚ます。
「お前、神棚になにかしたか?!」
「い、いえ。水と米がひとりでに落ちていて、女性の顔がのっていて」
「休憩所で寝てろ!」
その日、俺は1日休憩所で寝るはめになっちまった。

あの神棚の上の階には社長の家があるんだが、トイレがちょうど真上にある。
もしかすると、それが悪い霊をおびき出しているのかもしれないと、俺は思った。
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