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般若のお面をつけた男が藁人形を柱に打ち付ける

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家族3人で仲良く座敷に布団を敷いて寝ていた。
部屋の明かりは消していた。
つけっ放しのテレビの明かりが、部屋を薄っすらと明るくする。
急に私の体は硬直したように動かなくなってしまう。
目だけが動かせる状態だった。
隣に寝ていた姉に「助けて」と目で合図をする。
だが、姉の様子もおかしい。
ピクリとも動かず、目だけがキョロキョロと挙動不審に動いているのだ。
「まさか・・・お姉ちゃんも金縛りに?」
なら、左隣に寝ているお母さんはと思い、そちらに目を向けると・・・
なんと、お母さんも金縛りにあっていた。
「なんなの?!これ・・・」
そう思っていたら、隣の仏間の襖がスーッと開いた。
「え?!誰もいないのに!」
私の目に飛び込んできたのは・・・
白足袋を履いた足だった。
「白足袋?」
予想外のものが飛び込んできた。
ズッ、ズズズズッと足を引きずるように部屋に入ってくる。
上の方に目を向けると、白い着物を着ていた。
手には藁人形を持っている。
髪はボサボサ、顔には般若のお面をかぶっている。
「うわうわうわ、なに、なにこれ!」
男は座敷の柱に藁人形を打ちつける。
「ヒヒヒヒヒッ」
笑いながら。
「うっ」
私は思わず言葉を発してしまった。
すると、ゆっくり男がこちらに顔を向ける。
「うわっ、気づかれちゃった」
藁人形を振り上げながら向かってくる。
「ひゃっ、どうしよう・・・助けて!」
その時だった。
ゴーン
テレビから除夜の鐘が響いてきた。
「はっ!!!」
幽霊はスーッと消えた。
金縛りがとける。
「怖かったよ~~~」
「うん」

私はこの家の土地について調べてみた。
すると、この家が建つ前、神社が建っていたと分かる。
その神社の庭には藁人形を打ちつける木があったそうだ。
今では伐られてしまっている。
どうも、家の柱にその木が使われているのではないかと思う。

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