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第18話 キキョウの販売アイテム

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「さて、どうなるか?」

 あれから、俺とキキョウは迷宮で何匹ものモンスターを狩った。

 最初はできなかった連携も、お互いの動きがわかるようになると自然と足並みをそろえることができ、現れるモンスターをあっさりと倒すことが可能になった。

 出現するモンスターは青鬼もでたのだが、俺が普段倒しているリザードマンウォーリアやレッドベアも普通に出現した。

 他にも『餓鬼』と呼ばれるゴブリンのような小柄なモンスターも現れたのだが、そちらはキキョウの故郷のモンスターらしい。

 どうやら、キキョウが加わったことでお互いの地元のモンスターが半々で現れるようになっているようだ。

「まだでしょうか?」

 尻尾を揺らしながらモノリスを見るキキョウ。先程狩りをして得たドロップアイテムの半分を箱へと入れてある。

「きました! えっと……2500pt入ってます」

「無事に買い取ってもらえたようで良かった。そこで何か買い物をすれば、たぶん初回購入特典が出ると思うぞ」

「な、何を買えばよいのでしょう?」

「俺は回復石(小)にしたけど、ないか?」

 キキョウに確認する。彼女は俺と目を合わせると首を横に振った。

「あるのは『ヒールの巻物(5回)』ですね、こちら400ptも消費してしまうんですけど?」

「もしかして買えるアイテムも違うのか?」

 俺はキキョウに購入可能アイテム全種類について教えてもらった。

【販売品】

『術』
・ヒールの巻物(5回)価格400pt……ダメージから回復する。
・ファイアの巻物(5回)価格400pt……火の魔法が使える。
・アイスの巻物(5回)価格400pt……氷の魔法が使える。
・ウインドの巻物(5回)価格400pt……風の魔法が使える。
・アースの巻物(5回)価格400pt……土の魔法が使える。

『食べ物』
・梅御膳 価格5pt……食べると体力が回復する。
・竹御膳 価格10pt……食べると体力が回復する。
・松御膳 価格30pt……食べると体力が回復する。

『飲み物』
・水樽(18リットル) 価格10pt……水が入っている。
・米酒樽(18リットル) 価格30pt……米酒が入っている。
・焼酎(4リットル) 価格30pt……焼酎が入っている。

「なるほど、俺が得られるものとはまったく違うんだな」

「これも迷宮で遭遇する化け物の種類が増えたことと関係があるようですね?」

 キキョウの言葉に俺は頷く。

「とりあえず、どれも必要な物だから適当に選んでもいいだろう」

「では、そうさせてもらいます」

 キキョウはそう言うとモノリスに触れた。

 箱にアイテムが入ったようで蓋が開く。

「何を購入したんだ?」

 俺が質問をすると、キキョウは箱の中からアイテムを取り出した。

「松御膳という食事にしました」

 彼女の手には赤く光沢を帯びた食台とその上に多種類の料理が並んでいる。
 キキョウはそれを床に置くと、箱からもう一つ同じものを取り出した。

「お腹がすいたので、一緒に食べましょう」

「俺の分まで買ってくれたのか? ありがとう」

「ライアスにはここにきて色々教えてもらっていますからね。これほどの料理は祖国でも滅多に食べられない物です。期待してもらってかまいませんよ」

 ケモミミをぴくぴくと動かし、尻尾を振っている。魚の切り身が盛り付けられ、色鮮やかな料理が並んでいる。

 異国の料理に自然と期待が高まると、俺は唾を飲み込んでしまった。

「これ、生の魚なんだが、火にかければいいのか?」

「こちらはですね、このショウユにつけてたべるのですよ。お好みでワサビやショウガもあります」

 キキョウはそう言うと、率先して食べてみせる。

「ううーん、美味しいです。舌の上で蕩けます」

 頬に手をやり、幸せそうな表情を浮かべている。

「よくそんな枝二本で器用に食えるもんだな」

 料理を食べるための食器なのだろうが、とても使える気がしないので、俺は自前のフォークとスプーンを用意した。

「……美味いな」

「そうでしょう。祖国ではこれを食べられるのは一部の富裕層のみなのです。ライアスは実に運が良いですよ」

 何でもよいと言ったら料理を購入して見せるあたり、キキョウは食道楽のようだ。

 キキョウが言うだけあって、どの料理も美味い。試しに取ってみた一つは海老が何かに包まれているようでサクッとした触感の後に口にプリプリとした海老の甘味が広がる。

 クリーム色をした滑らかな料理は器が熱く、スプーンですくって吸い込むと、口いっぱいに何とも言えない優しい味わいが広がる。

 白い穀物も茶色い汁も美味かった。

「ふぅ、この料理を毎日食べられるなら私は満足ですね」

 すっかり至福のひと時を過ごしているキキョウ。

「流石に毎日は飽きると思うぞ」

「そうですね、私の方の料理だけでは飽きるので、毎日交互に買うというのはどうでしょうか?」

 俺の方で注文できる料理に目を付けてきた。

「それは後で話すとして、初回購入特典でてないか?」

「そういえば、忘れてました。今読み上げますね」

 キキョウはそう言うと、立ち上がりモノリスへと向かった。
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