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第40話 迷宮探索②
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「ちょっと待ってね、今地形を把握するから……【サーチ】」
警告エリアという、迷宮で誰も立ち入ったことがない場所に入ると、アリサは探索魔法を使った。
この魔法は、彼女を中心とした数百メートルの範囲を把握する魔法だ。
「うわぁ、結構近くに敵がいるわよ、色んなところで魔法がキャンセルされてるから」
アリサの説明では「頭の中に地図が浮かぶ」とのことらしいのだが、探索のために走らせた地形を把握する魔法は、生物には無効となる。
モンスターがいる場合、それより先のルートが表示されないので、範囲内にも関わらず道が途切れている場合、そこに何かしらの生物がいるということになる。
「わかった、それじゃあ一番近くの敵から案内してもらえるか?」
俺はアリサの返答を待って、彼女にモンスターのいる場所に連れて行って欲しいと頼む。
「言っとくけど、この魔法、本来はこうやってモンスターの場所を察知して避けるためのものだからね? あんたは利用の仕方がおかしい」
アリサはそう言うと、奇人を見るようなめで俺を見てきた。
「そうかな? 敵の位置がわかれば無駄に動き回らずに済むし、効率的な使い方だと思うんだが……」
「普通の人間は、体力も魔力も限界があるし、怪我をすると高いポーションで治すしかないの。あんたはエリクサーがあるから強気で行動しているだけなんだし……」
「確かに、そのお蔭で短期間で強くなれたのはあるよな」
この世界には剣も魔法もモンスターもあるが、蘇生魔法がなく死んだらそれっきり。
創作小説とかでもデスゲームに巻き込まれた主人公たちは安全マージンをとって探索をしたり戦ったりするのだが、真に命が懸かっている場合そのような行動になるのが当然。
よって、怪我を負うようなリスクある行動を取る者はあまりいないのだ。
そんな中、俺はというと、即死しなければ何とかなるとばかりにモンスターとの戦闘経験を積み、毒性を持つモンスターの肉を食らい、その力を取り込んで来た。
お蔭で、そこらの探索者相手ならば無双できる強さを手に入れたのだ。
「まあ、はっきり言って今のあんたに勝てるのがいるとしたらSランク冒険者か探索者、他は各国が囲い込んでいる英雄クラスでしょうね」
アリサもそんなお墨付きを与えてくれる。
「タンク並みの硬さの障壁を展開できるかと思えば、斥候並みの速度で動き回って、ウォーリア並みの破壊力で攻撃して、おまけに現役魔導師を超える魔力を保有している。こんなやつと敵対しなきゃならないなんて悪夢よね」
この世界での英雄パーティー四人で、それぞれに役割があるらしい。
・敵の攻撃を一手に引き受けるタンク。
・罠を見破り、敵を攪乱し削る斥候。
・正面から敵を攻撃して道を切り開くウォーリア。
・多彩な魔法を駆使して立ち回る魔導師。
四人が連携することで、迷宮の強敵に挑んだり、あるいは対人戦闘をしたりするらしい。
ところが、俺は少なくとも一人で二つか三つの役割をしているのだという。
敵の攻撃を引き付け、そのまま攻撃して倒し、魔法に関してはまだ未熟だが、一応収納魔法も使えるようになったし、他に関してもアリサから習う予定だ。
「何より一番厄介なのは、一撃で倒さないとエリクサー飲んで完全回復するとか、そんなやつ絶対倒せないし!」
悔しそうに考察するアリサ。もしかして知らぬ間に反感を買ったのだろうか?
俺の倒し方を考えている時点で怖い。もっと優しくするべきか?
「お、終わったら旨い飯でも食いに行こう。今日も俺が奢るからさ」
「ほんと!?」
アリサは振り返ると嬉しそうな顔をする。食事の約束さえしておけば大丈夫!
「それじゃあ、こっち。案内してあげるわ」
スキップをするアリサ。既に心の中は食卓へと向いているに違いない。
何度かの曲がり角を通り、目的の場所へと辿り着いた俺たちが見たのは……。
「でかすぎだろ……」
こいつを配置するためにわざわざ天井を高くしたとしか思えない。
「サイクロプスよ」
高さ十メートル程の巨人が俺たちを見下ろしていた。
警告エリアという、迷宮で誰も立ち入ったことがない場所に入ると、アリサは探索魔法を使った。
この魔法は、彼女を中心とした数百メートルの範囲を把握する魔法だ。
「うわぁ、結構近くに敵がいるわよ、色んなところで魔法がキャンセルされてるから」
アリサの説明では「頭の中に地図が浮かぶ」とのことらしいのだが、探索のために走らせた地形を把握する魔法は、生物には無効となる。
モンスターがいる場合、それより先のルートが表示されないので、範囲内にも関わらず道が途切れている場合、そこに何かしらの生物がいるということになる。
「わかった、それじゃあ一番近くの敵から案内してもらえるか?」
俺はアリサの返答を待って、彼女にモンスターのいる場所に連れて行って欲しいと頼む。
「言っとくけど、この魔法、本来はこうやってモンスターの場所を察知して避けるためのものだからね? あんたは利用の仕方がおかしい」
アリサはそう言うと、奇人を見るようなめで俺を見てきた。
「そうかな? 敵の位置がわかれば無駄に動き回らずに済むし、効率的な使い方だと思うんだが……」
「普通の人間は、体力も魔力も限界があるし、怪我をすると高いポーションで治すしかないの。あんたはエリクサーがあるから強気で行動しているだけなんだし……」
「確かに、そのお蔭で短期間で強くなれたのはあるよな」
この世界には剣も魔法もモンスターもあるが、蘇生魔法がなく死んだらそれっきり。
創作小説とかでもデスゲームに巻き込まれた主人公たちは安全マージンをとって探索をしたり戦ったりするのだが、真に命が懸かっている場合そのような行動になるのが当然。
よって、怪我を負うようなリスクある行動を取る者はあまりいないのだ。
そんな中、俺はというと、即死しなければ何とかなるとばかりにモンスターとの戦闘経験を積み、毒性を持つモンスターの肉を食らい、その力を取り込んで来た。
お蔭で、そこらの探索者相手ならば無双できる強さを手に入れたのだ。
「まあ、はっきり言って今のあんたに勝てるのがいるとしたらSランク冒険者か探索者、他は各国が囲い込んでいる英雄クラスでしょうね」
アリサもそんなお墨付きを与えてくれる。
「タンク並みの硬さの障壁を展開できるかと思えば、斥候並みの速度で動き回って、ウォーリア並みの破壊力で攻撃して、おまけに現役魔導師を超える魔力を保有している。こんなやつと敵対しなきゃならないなんて悪夢よね」
この世界での英雄パーティー四人で、それぞれに役割があるらしい。
・敵の攻撃を一手に引き受けるタンク。
・罠を見破り、敵を攪乱し削る斥候。
・正面から敵を攻撃して道を切り開くウォーリア。
・多彩な魔法を駆使して立ち回る魔導師。
四人が連携することで、迷宮の強敵に挑んだり、あるいは対人戦闘をしたりするらしい。
ところが、俺は少なくとも一人で二つか三つの役割をしているのだという。
敵の攻撃を引き付け、そのまま攻撃して倒し、魔法に関してはまだ未熟だが、一応収納魔法も使えるようになったし、他に関してもアリサから習う予定だ。
「何より一番厄介なのは、一撃で倒さないとエリクサー飲んで完全回復するとか、そんなやつ絶対倒せないし!」
悔しそうに考察するアリサ。もしかして知らぬ間に反感を買ったのだろうか?
俺の倒し方を考えている時点で怖い。もっと優しくするべきか?
「お、終わったら旨い飯でも食いに行こう。今日も俺が奢るからさ」
「ほんと!?」
アリサは振り返ると嬉しそうな顔をする。食事の約束さえしておけば大丈夫!
「それじゃあ、こっち。案内してあげるわ」
スキップをするアリサ。既に心の中は食卓へと向いているに違いない。
何度かの曲がり角を通り、目的の場所へと辿り着いた俺たちが見たのは……。
「でかすぎだろ……」
こいつを配置するためにわざわざ天井を高くしたとしか思えない。
「サイクロプスよ」
高さ十メートル程の巨人が俺たちを見下ろしていた。
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