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第6話 アリサとのファーストコンタクト
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「ふわぁ、そっか……異世界にきたんだっけ?」
目を覚まし、周囲を確認する。
大きめのベッドに真っ白なシーツ、部屋も現実世界の六畳間に比べて倍の広さがある。
「学校に行くのを焦らなくていいのは得した気分だな」
先日までなら、朝早くに起きて身支度をし、受けたくもない授業を受けに高校へ登校しなければならなかった。
「昨日はちょっとしたトラブルがあったけど、他は順調な滑り出しだったし」
変な魔導具に疲労させられたが、錬金術ギルドでポーションなどのファンタジーアイテムも見ることができたし、宿の酒場で美味しい料理を堪能することもできた。
お酒に関しては、この世界での成人は十七歳ということもありギリギリクリアしていたのだが、現実世界での倫理観や、まだ慣れていない異世界で酔っ払うと、どのような落とし穴があるかもわからず呑むのを控えた。
「さて、今日はどうしようかな?」
一日、異世界観光をしてみても良い。これから生きていく世界なのだから色々知っておくのも悪くないだろう。
――グゥ――
「と。その前に、飯にするか」
動き回ったせいか、寝起きだからか、胃が空腹を訴えかけてきた。俺はベッドから降りると朝食を求めて食堂へと向かった。
食事をしている間に朝のせわしない時間を抜けたのか、外に出るとちらほらと店が開き賑わいを見せている。
この『商人通り』は広い道路が街の中央まで伸びているのだが、そこら中にゴザを引きアイテムを売っている人間が存在した。
彼らはたまたま入手した骨董品や畑で採れた野菜、古着など。バラエティに富んだ物品を並べいくばくかの小銭を稼ごうとしていた。
現実世界で言うバザーなのだが、金銭の獲得が生きる上で重要なこの世界では誰しもが油断なく、少しでも高く商品を売ろうと交渉している。
そんな熱気を見ていた俺は、この場を楽しむと一軒ずつ店を回っていた。
「おっ……ここは武器を扱っているのか?」
ゴザの上に剣や短剣などの他に装飾品が並べられている。その剣の一つに付いた宝玉の輝きが気になり足を止めた。
「何よ、冷やかしじゃないでしょうね?」
立ち止まっていると、店の主が声を掛けてくる。
俺と同い年くらいの女性で、整った顔立ちをしている。
この世界に来てからまだ二日目になるのだが、少なくとも今まで見てきた中では断トツの美少女だ。
「いや、武器が欲しいと思ってたのは間違いないぞ」
冒険者としてやっていけそうな目途はついたので、何処かのタイミングで購入する予定だった。
「ほんと!?」
俺がそう言うと、彼女は表情を変え華が咲くような笑顔を見せた。
「助かる! 減俸されてお金に困っていたのよ!」
必死な様子を見せる目の前の女性。美少女の笑顔には金を払う価値があるので、本当にここで買ってしまおうかと考える。
「どれがお勧めだ?」
「あっ……エート」
俺が買う気になったところで、彼女は一遍言葉を濁した。
「実はなんだけど……これ、単純な武器じゃないのよ」
「というと?」
「遺跡を発掘した際に出てきた魔導剣なんだけど、ある効果があるせいで使い勝手が悪いのよね……」
「へぇ、魔導剣。格好いいな」
剣身の真ん中に宝石が嵌めこまれている。磨かれていて美しい剣だ。
「実はこれ、冒険者向けじゃなくて、魔導師が護身用に使うもので、でも魔導師ってこんなの振るより魔法使った方が早いし効率的だから人気がないのよ」
俺はどう使い勝手が悪いのか彼女に聞くと、彼女はしぶしぶながらも説明してくれた。
「しかも、こんなのでも魔導具なわけだから、値段も結構高いのよ!」
彼女が提示した金額は、俺が持っている全財産より少しだけ高かった。
「うーん、力になってやりたいのは山々なんだけど、完全に予算オーバーだ」
こちらの世界に来て生活基盤を整えれば買えたかもしれないが、今の状況では金が足りない。
俺は彼女に手持ちの金額を告げ諦めようとすると……。
「それでいいわよ!」
「いいのか?」
俺は彼女の瞳を覗き込んだ。
「こっちもすぐにお金が欲しいし、早朝からずっと店を出してて興味を示したのあんただけなんだもん。ここで売れるなら手を打つわよ」
本気で困っているようで、俺はここまで言われたら流石に手を引けないと思い了承する。
「わかった、その魔導剣買うよ」
手持ちの金貨10枚(100万円相当)をカードを重ねることで支払いを終える(口座から直接取引可能)。
「えへへへへ、これでしばらくは生活できるわ。助かっちゃった。あんたいい奴ね」
説明を聞いて、俺にとって有用な武器だと思ったから買ったのだが、美人の笑顔を間近で見られて得した気分だ。
「私はアリサっていうの。そこの『魔導通り』にある錬金術ギルドのギルド員よ」
「俺は、熱海 湊だ」
錬金術師ということに驚く。彼女は魔導師でエリートということになるからだ。
「ふーん、ミナト。変わった名前ね」
アリサは唇に手で触れると、俺の名前を呟き笑顔を浮かべる。
「また縁があったら会いましょう」
彼女はゴザを片付けると立ち上がり『商人通り』の横道に入り、錬金術ギルドへと抜けていく。
俺はアリサを見送ると、手元に残った剣を見て、
「さて、早速崖っぷちに追い込まれたから稼がないといけないぞ」
この武器ならもっと難易度の高い依頼を請けられるのではないか?
俺は依頼を請けに冒険者ギルドへと向かった。
目を覚まし、周囲を確認する。
大きめのベッドに真っ白なシーツ、部屋も現実世界の六畳間に比べて倍の広さがある。
「学校に行くのを焦らなくていいのは得した気分だな」
先日までなら、朝早くに起きて身支度をし、受けたくもない授業を受けに高校へ登校しなければならなかった。
「昨日はちょっとしたトラブルがあったけど、他は順調な滑り出しだったし」
変な魔導具に疲労させられたが、錬金術ギルドでポーションなどのファンタジーアイテムも見ることができたし、宿の酒場で美味しい料理を堪能することもできた。
お酒に関しては、この世界での成人は十七歳ということもありギリギリクリアしていたのだが、現実世界での倫理観や、まだ慣れていない異世界で酔っ払うと、どのような落とし穴があるかもわからず呑むのを控えた。
「さて、今日はどうしようかな?」
一日、異世界観光をしてみても良い。これから生きていく世界なのだから色々知っておくのも悪くないだろう。
――グゥ――
「と。その前に、飯にするか」
動き回ったせいか、寝起きだからか、胃が空腹を訴えかけてきた。俺はベッドから降りると朝食を求めて食堂へと向かった。
食事をしている間に朝のせわしない時間を抜けたのか、外に出るとちらほらと店が開き賑わいを見せている。
この『商人通り』は広い道路が街の中央まで伸びているのだが、そこら中にゴザを引きアイテムを売っている人間が存在した。
彼らはたまたま入手した骨董品や畑で採れた野菜、古着など。バラエティに富んだ物品を並べいくばくかの小銭を稼ごうとしていた。
現実世界で言うバザーなのだが、金銭の獲得が生きる上で重要なこの世界では誰しもが油断なく、少しでも高く商品を売ろうと交渉している。
そんな熱気を見ていた俺は、この場を楽しむと一軒ずつ店を回っていた。
「おっ……ここは武器を扱っているのか?」
ゴザの上に剣や短剣などの他に装飾品が並べられている。その剣の一つに付いた宝玉の輝きが気になり足を止めた。
「何よ、冷やかしじゃないでしょうね?」
立ち止まっていると、店の主が声を掛けてくる。
俺と同い年くらいの女性で、整った顔立ちをしている。
この世界に来てからまだ二日目になるのだが、少なくとも今まで見てきた中では断トツの美少女だ。
「いや、武器が欲しいと思ってたのは間違いないぞ」
冒険者としてやっていけそうな目途はついたので、何処かのタイミングで購入する予定だった。
「ほんと!?」
俺がそう言うと、彼女は表情を変え華が咲くような笑顔を見せた。
「助かる! 減俸されてお金に困っていたのよ!」
必死な様子を見せる目の前の女性。美少女の笑顔には金を払う価値があるので、本当にここで買ってしまおうかと考える。
「どれがお勧めだ?」
「あっ……エート」
俺が買う気になったところで、彼女は一遍言葉を濁した。
「実はなんだけど……これ、単純な武器じゃないのよ」
「というと?」
「遺跡を発掘した際に出てきた魔導剣なんだけど、ある効果があるせいで使い勝手が悪いのよね……」
「へぇ、魔導剣。格好いいな」
剣身の真ん中に宝石が嵌めこまれている。磨かれていて美しい剣だ。
「実はこれ、冒険者向けじゃなくて、魔導師が護身用に使うもので、でも魔導師ってこんなの振るより魔法使った方が早いし効率的だから人気がないのよ」
俺はどう使い勝手が悪いのか彼女に聞くと、彼女はしぶしぶながらも説明してくれた。
「しかも、こんなのでも魔導具なわけだから、値段も結構高いのよ!」
彼女が提示した金額は、俺が持っている全財産より少しだけ高かった。
「うーん、力になってやりたいのは山々なんだけど、完全に予算オーバーだ」
こちらの世界に来て生活基盤を整えれば買えたかもしれないが、今の状況では金が足りない。
俺は彼女に手持ちの金額を告げ諦めようとすると……。
「それでいいわよ!」
「いいのか?」
俺は彼女の瞳を覗き込んだ。
「こっちもすぐにお金が欲しいし、早朝からずっと店を出してて興味を示したのあんただけなんだもん。ここで売れるなら手を打つわよ」
本気で困っているようで、俺はここまで言われたら流石に手を引けないと思い了承する。
「わかった、その魔導剣買うよ」
手持ちの金貨10枚(100万円相当)をカードを重ねることで支払いを終える(口座から直接取引可能)。
「えへへへへ、これでしばらくは生活できるわ。助かっちゃった。あんたいい奴ね」
説明を聞いて、俺にとって有用な武器だと思ったから買ったのだが、美人の笑顔を間近で見られて得した気分だ。
「私はアリサっていうの。そこの『魔導通り』にある錬金術ギルドのギルド員よ」
「俺は、熱海 湊だ」
錬金術師ということに驚く。彼女は魔導師でエリートということになるからだ。
「ふーん、ミナト。変わった名前ね」
アリサは唇に手で触れると、俺の名前を呟き笑顔を浮かべる。
「また縁があったら会いましょう」
彼女はゴザを片付けると立ち上がり『商人通り』の横道に入り、錬金術ギルドへと抜けていく。
俺はアリサを見送ると、手元に残った剣を見て、
「さて、早速崖っぷちに追い込まれたから稼がないといけないぞ」
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俺は依頼を請けに冒険者ギルドへと向かった。
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