勇者・賢者・精霊使いの最強能力を得た俺は三つの力を組み合わせ新たな能力で異世界を無双する

まるせい

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第16話 モンスターと遭遇

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 依頼を受けてから四日が過ぎた。

 ショウジュさんが向かっているのは王都とは逆の辺境側となっていた。
 すれ違う馬車の数も減り、途中あった野営広場では俺たちの他に馬車が停まっていないこともあった。

 道中、なぜ彼がそんな場所に行商に向かっているのか聞く機会があったので聞いてみたのだが、どうやらそこが彼の故郷なのだという。

 農業や狩猟で生計を立てている小さな村らしいのだが、両親や幼馴染みが村にいるらしく、できる限り物資を運びたいのだという。

 基本的に、王都から近ければ近いほど流行や文化を享受することができるのだが、辺境ともなると娯楽が少なく子どもたちも遊ぶよりは仕事をしている時間が長い。

 故郷の子どもに少しでも王都の文化に触れて欲しいと語るショウジュさんの目は穏やかだった。
 俺は少しでも彼の力になれたらと考え護衛をしていると……。

「ストップ」

 ミアが馬車を停める。

「どうされましたか?」

「あそこに、モンスターの影が見える。コボルトだね」

 遥か遠くを指差すミア。この距離から見ることができないのだが彼女は確証をもってそう言った。

「茂みに隠れてるのが数匹だけど、待ち伏せしている様子からして近くの林には十数匹はいると思う」

「このまま進むと襲撃されてしまいますわね」

 ミアの情報を下に、どうするか話し合いが行われる。

「コボルトだけならナタリーとアメリアと連携すれば防ぎ切れるかもだけどさ、オークとかがいた場合馬車まで手が回らないかも?」

 そう言いつつ三人は俺にチラリと視線を向けてくる。
 俺を戦力として組み込むべきか悩んでいるようだった。

「アメリアに魔法で支援してもらって、私とナタリーが先行して片付けてくるのはどうかな?」

「それしかないね」

 結果、俺のことは切り捨てて考えることにしたらしい。

「アメリアはここに待機して馬車と依頼人を守って」

「わかりましたわ」

 俺が黙っている間に、次々と話が進む。

「ちょっと待ってくれ」

 このままでは行動に移してしまいそうだったので話を遮った。

「何よ?」

 ミアが俺を睨みつけてくる。だけど言わずにはいられない。

「俺はその作戦には反対だ」

 今の作戦ではパーティの能力を完全に活かすことができず、護衛対象を危険に晒してしまう。

「俺とナタリーがモンスターを退治して、ミアとアメリアが残る。その方が戦力のバランスが取れているじゃないか?」

 ミアはスピードこそあるがパワーが足りておらず、前線で戦うのに不向きだ
。それよりは、索敵能力を使ってショウジュさんとアメリアを護る方が理にかなっている。

「貴方がですか? ナタリーの剣の腕は一流です。ついていけるのですか?」

 アメリアは顔を顰めると「足手纏いになるのでは?」と聞いてきた。

「確かに、足手纏いになるかもしれない。だけど、どうせ身体を張るなら男の俺が引き受けるべきだ」

 生傷が絶えない仕事とはいえ、どうせ危険を犯すなら男が前に出るのは当然だろう。
 アメリアが意外そうな顔でこちらを見ている。どうしたのだろうか?

「別に私は構わないよ」

 彼女の表情を観察していると、ナタリーが了承した。

「コボルト程度、足手纏いがいようが倒して見せる」

 彼女は剣を担ぎ上げると笑みを浮かべている。本気で言っているのだろう。例え俺が足を引っ張っても、コボルトを全滅させる自信があるのだ。

「まあ、ナタリーがやりたいならいいけどさ」

 ミアはそういうと戻ってきて俺の腰を拳で殴った。

「ここは譲ってあげるから、立派に男としての勤めを果たしてきなよ?」

 挑戦的な視線を送るミア。

「それじゃあ、ついておいで

 初めて、名前を呼ばれた。

「ああ、のぞむところだ!」

 俺は彼女についてコボルトが潜伏する場所まで向かう。

「本当に、人の話を聞かない方々ですね」

 身体が光に包まれ、力が増す。
 アメリアが俺とナタリーに補助魔法を掛けてくれたのだ。

「さて、軽く運動をするよ」

 そういったナタリーの表情はこれまで見た中で一番生き生きとしていた。



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