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第12話 護衛依頼中の街での過ごし方
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俺とミアが馬車の前を護り、ナタリーとアメリアが後ろを護る。
本来の彼女たちのフォーメーションに俺が加わったからか、自然とそのような形に落ち着いた。
「それにしても、のどかなもんだな」
既に街を出発してから数時間経つのだが、街道を歩いているお蔭か平和そのもの。
途中、何度か馬車とすれ違ったくらいでモンスターや盗賊の影すらない。
「この街道は王都とつながる主要街道だからね。定期的に討伐隊が出ているし、盗賊もモンスターもあまり近寄らないんだよ」
俺の独り言にミアが反応して教えてくれた。
「なるほど。それにしてもすれ違う馬車は護衛を連れていなかったが、大丈夫なのか?」
「護衛依頼はお金が掛かるからさぁ。余程貴重な品を運ばない限りは雇ったりしないよ」
「あまりないとは思うが、モンスターや盗賊に襲われたらどうするんだ?」
もし護衛を雇わずに危険に身を晒したらどうするのだろうかが気になった。
「その時は馬を走らせて振り切るか、最悪荷物を捨てて逃げるでしょ」
「なるほど……」
この世界の住人の思い切りの良さに感心する。
決して命を軽視しているわけではなく、モンスターが存在している世界だからこそどのように対処するか最初から決めているのだ。
「まっ、あんたが逃げても気にしないから、危なくなったら逃げていいからね」
ミアはからかいの笑みを浮かべると俺にそう告げてきた。
「それでは、今日はここまでということで」
街を出発してから半日が経ち、日が沈み始めたころようやく次の街に到着した。
「私はこちらの宿に泊まりますので、また明日の朝集まってください」
ショウジュさんは宿の馬車置き場に馬車を仕舞い鍵を掛けると部屋へと入っていく。
どうやら俺たち護衛の部屋は用意されていないらしい。
「さて、酒場に行こっか」
ミアはナタリーとアメリアに声を掛けるとその場を離れようとする。
「ちょっと聞きたいんだが」
「ん? 何さ?」
二人の肩を抱いたままミアが振り返った。
「お前たちは宿はどうするんだ?」
こういう状況で他の冒険者がどうするのか、それが知りたかった。
「何? 道中話し掛けてあげたから勘違いしちゃった? 同じ宿とか冗談じゃないんだけど?」
目つきが鋭くなる。ナタリーとアメリアも同様の気配を放っており、俺を歓迎していないことがわかった。
「いや、そういうつもりじゃない。護衛依頼は初めてだから、どうすればいいのかわからないんだ」
俺が言い訳をすると、ミアの表情が幾分和らいだ。
「私たちが護衛をするのは街の外だけ。街中はモンスターが現れないから安全だし、もし中で何か危害を加えられるようなことがあっても関与しないことになってるの」
ミアの説明をアメリアが引き継いで続ける。
「街中でも護衛が必要な場合、雇い主は宿泊代も支払いますし、護衛料も上乗せします。ですが、余程の要人でもなければそこまではしませんね」
なるほど、それで三人ともあっさりとこの場を離れようとしたのか。
「冒険者の街での過ごし方は様々だ。武器や防具の修理をしたり、足りない道具を買い足したり、あるいは女を買ったりとかだな」
ナタリーがさらに説明を加える。
ようは仕事の時間にちゃんと戻ってくるのなら後の過ごし方は自由ということ。
「私たちは宿代がもったいないから、朝までやってる酒場でダラダラするつもりだよ」
そこで三人固まって交代で夜を過ごすのだという。
「あんたに寝顔を見られたくないから、遠慮して欲しいの。わかった?」
ミアの説明で納得した。確かによく知らないーー特に俺のような男に見られるのは気持ち悪いのだろう。
「ああ、そういうことなら理解した。明日の朝まで自由ってことなら好きにさせてもらうさ」
彼女たちに背を向けて歩き出すと、
「あっ、色街はその道をまっすぐ行った三本目の左側だからね!」
ミアが大声でそう叫ぶのが聞こえた。
本来の彼女たちのフォーメーションに俺が加わったからか、自然とそのような形に落ち着いた。
「それにしても、のどかなもんだな」
既に街を出発してから数時間経つのだが、街道を歩いているお蔭か平和そのもの。
途中、何度か馬車とすれ違ったくらいでモンスターや盗賊の影すらない。
「この街道は王都とつながる主要街道だからね。定期的に討伐隊が出ているし、盗賊もモンスターもあまり近寄らないんだよ」
俺の独り言にミアが反応して教えてくれた。
「なるほど。それにしてもすれ違う馬車は護衛を連れていなかったが、大丈夫なのか?」
「護衛依頼はお金が掛かるからさぁ。余程貴重な品を運ばない限りは雇ったりしないよ」
「あまりないとは思うが、モンスターや盗賊に襲われたらどうするんだ?」
もし護衛を雇わずに危険に身を晒したらどうするのだろうかが気になった。
「その時は馬を走らせて振り切るか、最悪荷物を捨てて逃げるでしょ」
「なるほど……」
この世界の住人の思い切りの良さに感心する。
決して命を軽視しているわけではなく、モンスターが存在している世界だからこそどのように対処するか最初から決めているのだ。
「まっ、あんたが逃げても気にしないから、危なくなったら逃げていいからね」
ミアはからかいの笑みを浮かべると俺にそう告げてきた。
「それでは、今日はここまでということで」
街を出発してから半日が経ち、日が沈み始めたころようやく次の街に到着した。
「私はこちらの宿に泊まりますので、また明日の朝集まってください」
ショウジュさんは宿の馬車置き場に馬車を仕舞い鍵を掛けると部屋へと入っていく。
どうやら俺たち護衛の部屋は用意されていないらしい。
「さて、酒場に行こっか」
ミアはナタリーとアメリアに声を掛けるとその場を離れようとする。
「ちょっと聞きたいんだが」
「ん? 何さ?」
二人の肩を抱いたままミアが振り返った。
「お前たちは宿はどうするんだ?」
こういう状況で他の冒険者がどうするのか、それが知りたかった。
「何? 道中話し掛けてあげたから勘違いしちゃった? 同じ宿とか冗談じゃないんだけど?」
目つきが鋭くなる。ナタリーとアメリアも同様の気配を放っており、俺を歓迎していないことがわかった。
「いや、そういうつもりじゃない。護衛依頼は初めてだから、どうすればいいのかわからないんだ」
俺が言い訳をすると、ミアの表情が幾分和らいだ。
「私たちが護衛をするのは街の外だけ。街中はモンスターが現れないから安全だし、もし中で何か危害を加えられるようなことがあっても関与しないことになってるの」
ミアの説明をアメリアが引き継いで続ける。
「街中でも護衛が必要な場合、雇い主は宿泊代も支払いますし、護衛料も上乗せします。ですが、余程の要人でもなければそこまではしませんね」
なるほど、それで三人ともあっさりとこの場を離れようとしたのか。
「冒険者の街での過ごし方は様々だ。武器や防具の修理をしたり、足りない道具を買い足したり、あるいは女を買ったりとかだな」
ナタリーがさらに説明を加える。
ようは仕事の時間にちゃんと戻ってくるのなら後の過ごし方は自由ということ。
「私たちは宿代がもったいないから、朝までやってる酒場でダラダラするつもりだよ」
そこで三人固まって交代で夜を過ごすのだという。
「あんたに寝顔を見られたくないから、遠慮して欲しいの。わかった?」
ミアの説明で納得した。確かによく知らないーー特に俺のような男に見られるのは気持ち悪いのだろう。
「ああ、そういうことなら理解した。明日の朝まで自由ってことなら好きにさせてもらうさ」
彼女たちに背を向けて歩き出すと、
「あっ、色街はその道をまっすぐ行った三本目の左側だからね!」
ミアが大声でそう叫ぶのが聞こえた。
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